校長からみなさまへ

校長からみなさまへ

2020年4月7日 14時06分

香川県立盲学校のWebサイト(ホームページ)をご覧いただき、ありがとうございます。

 

<令和2年度を始めるにあたって>

まず、令和2年度が予定どおり始められますこと、感謝の気持ちで、大変有難いことだと思っております。昨年度3月当初から、新型コロナウイルス感染拡大防止措置により、学校が臨時休業になりました。学年のまとめをする一番大切な時期に、幼児児童生徒のみなさんには不安と焦燥感を与え、ご家庭にも様々なご負担をおかけいたしました。休業中のご対応に厚くお礼申し上げます。私たち教職員も、学校にいるべき幼児児童生徒がいない、声も聞こえない非日常を、寂しく、もどかしく、悔しく感じるとともに、普通であることの有難さと幼児児童生徒の存在の大きさに改めて気づかされました。

新型コロナウイルスの感染は一向に収まる気配はありませんが、本校では厳重な感染予防対策を取りながら学習活動を進めて参ります。学校での安全・安心のために、様々な制約を生じることもあろうかと存じますが、保護者のみなさま、関係のみなさまにおかれましては、これまでと変わらぬご理解、ご支援とご協力をお願いいたします。

一緒に力を合わせて、この困難な状況を乗り切りましょう。

 

<香川県立盲学校について>

香川県立盲学校は、明治41年4月に私立香川県盲唖学校として開校し、大正11年、現在の敷地に校舎が落成しました。大正13年には県立に移管され、香川県立盲学校・聾唖学校の名称で発足し、昭和23年には新学制に基づき、香川県立盲学校と香川県立聾学校に分離されました。昭和29年に聾学校が高松市太田上町(現在の聾学校の場所)に移転するまで、同じ敷地内に盲学校と聾学校が併置されていました。今年で開校112年、盲学校単独校になってから72年の歴史と伝統のある学校です。

 

本校は、香川県下で唯一の視覚に障害のある子どもや成人の方のための学校です。学部としては幼稚部、小学部、中学部、高等部があり、高等部には普通科と保健理療科、専攻科理療科があります。令和2年度の幼児児童生徒数は17名ですが、幼稚部の4歳児から理療を学ぶ成人まで、非常に幅広い年齢構成となっています。

 

視覚障害についてですが、一般的には盲学校の「盲」という言葉から、全く目が見えない生徒が学んでいるというイメージを持たれているかもしれません。視覚障害者には、矯正視力が0.3未満の弱視者と0.04未満の全盲者がおり、視覚障害者全体では弱視者が8割程度と言われています。本校は全盲者と弱視者の割合はほぼ半々となっています。弱視であっても見え方は様々で、学校では一人一人の見え方に応じて工夫を凝らした学習に取り組んでいます。また、全盲の生徒はもちろんですが、弱視の生徒も移動のための歩行訓練や日常生活の訓練にも取り組んでいます。「見えない、見えにくい」幼児児童生徒一人一人に配慮した、専門性の高い教育を実践することで、一人一人の願いがかなう学校をめざしています。

 

また、本校は職業教育にも力を入れており、あん摩マッサージ指圧師をめざす保健理療科、あん摩マッサージ指圧師に加え、(はり)()(きゅう)()めざす理療科があります。3年間勉強して卒業しますと、それぞれの国家試験受験資格が得られます。これまでも多くの卒業生が、あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師として自分の夢をかなえ、社会で大いに活躍しています。

 

加えて、視覚障害教育のセンター機能を果たすため「見えにくさと学びの相談センター」を設置して、香川県内の視覚障害のある幼児から成人まで、またその保護者の相談に対応するとともに、県内各学校園にも本校教員を派遣して学習支援等にも取り組んでいます。本校独自の研修会も開催しています。見え方に困難を抱えており、将来について迷っている方、悩んでいる方は、ぜひ本校にご連絡、そしてご来校ください。お知り合いで、そのような方がいらっしゃいましたら、どうぞ本校のことをご紹介いただければと思います。

 

「自分の願いがかなう」学校をめざして、教職員一同、保護者、地域、関係機関とのつながりを一層深めていきます。今後とも、本校の教育活動にご理解とご協力、ご支援を賜りますようお願いいたします。

 

令和2年4月吉日

香川県立盲学校

校長 田中 豊