校長からみなさまへ

素晴らしい演奏に感謝

2025年6月12日 10時00分

 6月11日(水)に、高松市が主催する学校巡回芸術教室が本校の体育館で行われました。希望が叶って瀬戸フィルハーモニー交響楽団の方々が20人余り来てくださいました。見えない・見えにくい人に配慮された各楽器の説明があり、その後演奏をしていただきました。一つだけの楽器の音を生でじっくり聴く機会はあまりないため、それぞれの楽器の音の特徴がよく分かりました。本校の校歌を演奏してくださり、生徒職員みんなで校歌を歌いました。オーケストラによる伴奏の校歌は豪華な印象で、気持ちよく歌うことができました。3人の生徒が、ハンガリー舞曲第5番で指揮体験もしました。自分の手の動きに合わせて演奏のテンポが変わる、不思議な感覚を味わったのではないかと思います。生徒が演奏を聞いたり、指揮体験で喜んでいる姿を見ると、本当に来てくださって良かったと思いました。個々の楽器の美しい音色、合奏による美しいハーモニーと迫力など、質の高い芸術の素晴らしさを体感する機会に恵まれたことに感謝しています。

交流

2025年6月5日 16時30分

 地方にある多くの視覚支援学校(盲学校)の幼児児童生徒数は、本県と同じように少なくなっています。専門的な支援・指導を受け、学力を付けて大学に進学したり、あん摩マッサージ師などの仕事に就けることは、視覚支援学校の大きな利点ですが、集団での学校生活を通して学ぶ機会は、一般の学校(園)と比べて少ないことは否めません。たくさんの友達と一緒に過ごすことで学ぶことも多くあると思います。その欠点を補う方法の一つが交流です。交流には、本校の幼児児童生徒が本校近くの学校(園)に行き、一緒に活動する場合と、本校の幼児児童生徒が居住地の学校(園)に行く場合があります。本校では、昨年度まで部活動で交流をしている生徒がいましたが、今年度は、週に1回程度の居住地での交流を行っています。この他、県外の視覚支援学校(盲学校)の児童生徒とオンラインで交流することも可能です。いろいろと工夫をしながら、幼児児童生徒の自立と社会参加に向けて尽力しています。

通級による指導

2025年5月30日 14時30分

 「通級による指導」とは、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒が、大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部の授業について、障害に応じた特別な指導を特別な場(通級指導教室)で受ける指導のことです。指導形態には、①自校通級:通級指導教室設置校の教員が自校の児童生徒に指導 ②巡回による指導:通級指導教室がない学校へ教員が出向いて指導 ③他校通級:児童生徒が通級指導教室を設置している特別支援学校等へ移動してその学校の教員が指導 などがあります。本校は今年度から通級指導教室を設置しましたが、今年度は、上記の②巡回による指導として、県内の小学校へ本校教員が出向いていき、児童の指導を行っています。本校教員が行う指導は児童生徒の障害の状態で変わりますが、例えば、提示された文字や図に素早くルーペを近づけて読み取ったり、黒板の文字を単眼鏡で素早く読み取ったり、拡大読書器やタブレット端末等の使い方について指導をしています。これらの指導によって、指導を受けている児童生徒が障害による学習上や生活上の困難を改善又は克服できることを願っています。

音源走

2025年5月21日 10時00分

 5月17日(土)の体育祭は、雨天のため体育館ですることになりました。楽しみにされていた来賓の皆様には申し訳ありませんが、スペースの関係で、参観者は、幼児児童生徒のご家族と旧職員のみにさせてもらいました。本校の体育祭には、視覚支援学校ならではの特徴的な競技がいくつかありますが、そのうちの「音源走」を紹介します。スタート地点に生徒が一人立つと、ゴールの後方で教員が生徒の名前を呼び、手ばたきをします。その音を頼りに生徒は走っていく方向を把握します。笛の合図で走り始め、走っているときも手ばたきの音を頼りに真っすぐ走ってゴールを目指します。ゴールの方向やゴールまでの距離は、手ばたきの音を頼りに把握するため、周囲の人は走っている間は黙って静かに見守っています。  ゴールした瞬間、会場全体から大きな拍手が送られました。室内であったこともあり、拍手が大きく響き、会場全体に一体感がありました。体育祭全体を通して、自分の子ども以外にも声援を送る保護者、学部や担任の枠組みを超えて頑張りをたたえる教員など、参加者全員がそれぞれの幼児児童生徒全員にエールを送った温かい体育祭でした。

個別の〇〇計画

2025年5月9日 13時45分

 特別支援学校等に在籍している障害のある幼児児童生徒については、「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」というものを作成しています。一般の人がイメージしやすいのは、「個別の指導計画」だと思います。これは、各教科等の年間目標の他、学期や月ごとの目標及び指導方法や支援内容を、個々の幼児児童生徒の障害の状況に応じて記載し、学期末に実施状況を教員が評価・記録するものです。それに対して「個別の教育支援計画」は、①幼児期から学校卒業までの長期的な支援②生活を豊かにするための支援③学校以外の保護者、医者、福祉施設担当者等からの願いや助言等があることが特徴だと思います。例えば、「就学前」の「気になること・苦手なこと」欄に「食事量にむらがある。」と記載があったり、「医療歴」の欄に、いつ頃どのような診断結果が出たかなどの記載があります。学校が関係機関と連携し、幼児児童生徒個々の障害の状況に応じた的確な支援を、長期間一貫して行うために作成しています。

自分の思いを伝える力

2025年5月2日 16時30分

 5月2日(金)校内弁論大会を実施しました。中国・四国地区盲学校弁論大会や全国盲学校弁論大会の競技方法や審査基準を意識した大会ですが、生徒が自分の思いを伝える力を育成する良い機会と捉え、弁論とまではいかなくても、学習したこと等を発表する機会としても行いました。こんな立派な内容を堂々と語ることができるのかと感心したり、本校での生徒の成長を感じることができうれしくなりました。多くの先生方も聞きにきてくれ、先生方も生徒の姿に感心したり、生徒が伝えようとしたことの大切さを再認識したのではないかと思います。弁論大会だけでなく、様々な日常生活の場面で、自分の気持ちを言葉で正確に表現して相手に伝えることは大切なことなので、これからも言葉で表現する力をつけてほしいと、校長による講評を締めくくりました。

センター的機能

2025年4月25日 09時30分

 地域の特別支援教育を推進していく上で、特別支援学校は中核的な役割を担うことが期待されています。そのような役割を「センター的機能」といい、本校では「見えにくさと学びの相談センター」を設置しています。センター的機能は、文部科学省の例示に従いますと、以下のようになります。①小・中学校等の教員への支援 ②視覚障害教育等に関する相談・情報提供 ③視覚障害のある幼児児童生徒への指導・支援 ④福祉、医療、労働などの関係機関等との連絡・調整 ⑤小・中学校等の教員に対する研修協力 ⑥視覚障害のある幼児児童生徒への施設設備等の提供 

 4月23日(水)に本校で「かがわロービジョン研修会」を開催し、県内の小学校や高校で、視覚に障害のある児童生徒の指導に関わっている先生方に参加していただきました。本校教諭による視覚障害に関する講話の他、眼科医師や香川県視覚障害福祉センターの方から講話をしていただき、その後、相談も行いました。視覚に障害のある乳幼児から成人について、学習や日常生活、進路などのご相談されたいことがありましたら、電話でもメールでも構いませんので、ぜひ本校にご連絡ください。

階段

2025年4月18日 13時30分

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 本校の階段には、視覚に障害のある幼児児童生徒や教員が使いやすくなるような工夫がされています。まず、階段の手前には、横に広がった点状ブロック(警告ブロック)があります。そして、各面を識別しやすいように、階段の足を置く踏み面は白色、鉛直に立っている面の蹴上げはピンク色、廊下や踊り場の床面は青色というように、それぞれ異なる色になっています。そして階段両側の壁面には手すりを設置しています。少しの床面の凹凸も歩行には危険なため、他校では問題にならないようなレベルの床面の凹凸も修理をすることがあります。視覚に障害のある人は、学校以外の様々な施設を当然利用しますので、公共施設、民間施設問わず、このような工夫が浸透することを願っています。

こんなことにもタブレット端末

2025年4月10日 16時00分

 令和元年に文部科学大臣が「GIGAスクール構想」を発表し、子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現に向けて、1人に1台のタブレット端末の整備が進みました。本校の生徒は授業で、タブレット端末に入れられた教科書等のデータを拡大して読んだり、読み上げ機能で読ませた音声を聞いたりして活用しています。指で簡単に拡大できる機能は大変ありがたいです。本校では、入学式の新入生代表宣誓や卒業式の答辞等でもタブレット端末が活用されています。皆さんは、代表生徒が折りたたんだ紙に書いた文章をめくりながら読んでいく姿を想像すると思いますが、本校では生徒にもよりますが、タブレット端末内の文章を拡大して読むことがあります。読み終わった後、タブレット端末は自席に置き、壇上に上がって紙の包みを校長に手渡します。タブレット端末は、生徒が文化祭等の行事の司会進行をするときにも活用されるなど、授業以外でも大切な、なくてはならないツールなのです。

学校運営方針

2025年4月1日 16時45分

 本日が令和7年度の初日です。私にとっては、本校校長の2年目が始まりました。新しいスタッフを迎えて、今年度最初の職員会議を行いました。職員会議の最初の議題として、「学校運営方針と重点目標」の説明をしました。学校運営方針には二つの柱があり、一つ目の柱は、「視覚に障害のある幼児児童生徒の自立と社会参加に向け、障害の状態や発達段階を十分に把握して、幼児児童生徒一人一人の可能性を信じて、一人一人を大切にする教育活動を推進する。」としています。教職員には、幼児児童生徒と授業等で関わる中、自分の支援が自立と社会参加につながっているのか、一人一人の可能性を信じて関わっているのかなど、節目節目で自分の取組みを見直す基準として、この柱を思い返してほしいと伝えました。この春の人事異動で、教員の数は減りましたが、一人一人を大切にする教育活動を維持、あるいはより充実できるよう、学校運営に尽力したいと思います。

研修資料の提供

2025年3月28日 15時00分

 全国に視覚障害特別支援学校(盲学校)は、67校あります。面積の広い一部の道県と人口の多い都府県に複数の学校がありますが、多くは1県に1校しかありません。そのため先生方の指導力を高めるような研究会や研修会を県単位で開催することは難しく、どうしても県境をまたいで他県へ出かけていく必要がありますが、旅費の制約もあり、参加したい会に自由に参加できるわけではありません。そのような状況の中、先日、筑波大学附属視覚特別支援学校の校長先生から、他の元校長先生と協力して作られた研修資料が送られてきました。視覚障害特別支援学校に初めて勤務することになった先生に向けた視覚障害教育の専門性を高めるための資料です。内容が多岐に渡っており、1年間の勤務を終えようとする私にも大変有益な資料です。全国的に学校数が少ないからこそ、このような情報共有の文化があるのかもしれません。早速、本校の教職員に紹介をして、活用させていただきたいと思います。

「やればできるようになる」と信じて

2025年3月19日 18時00分

 本日、3学期の終業式を終え、令和6年度の授業や行事などの教育活動が終わりました。終業式では、この1年間で「できるようになったこと」を、それぞれ思い浮かべてもらいました。例として、「手すりや壁をたどりながら、一人で歩くことができる。」や「うれしかったことや嫌だと思うことを言葉で伝えたり、行動で周囲の人に伝えることができる。」などを挙げました。できるようになったことの中には、自分で気がついていないこともあります。新しい学年の4月からも「やればできるようになる」と自分を信じて、様々なことに挑戦してほしいと伝えました。思い返せば、この1年、始業式や終業式、入学式、卒業式等の講話は、ほとんど同じような内容を話していたような気がします。幼児から成人の生徒まで年齢層が幅広く、話す内容を考えることに加えて、できるだけ平易な表現になるように努力をしたつもりです。幼児児童生徒のみなさんには、この1年間でできるようになったことに自信をもって、春休みも元気で楽しく過ごしてもらいたいと思います。

高校生の「青春」

2025年3月10日 09時30分

 3月7日(金)に本校を卒業した高等部の生徒が、翌日8日(土)の香川県立高松工芸高等学校吹奏楽部の定期演奏会に参加しました。本校と高松工芸高校は、600m程度しか離れておらず、本校の行事に高松工芸高校の生徒が参加してくれるなど、交流をしています。本校を卒業した生徒は、高等部1年生のときからこの定期演奏会に参加させてもらっており、今回が最後の演奏会になります。本校の音楽室で、顧問と数人で演奏するのとは全然違って、音楽ホールで多くの観客を前に、数十人で合同演奏をしたことは、貴重な経験になったと思います。演奏会は、映像による演出や生徒によるトークもおもしろく、この3月に卒業した生徒や顧問の先生から部員に対する感謝の言葉もあり、高校生の「青春」を感じました。同世代の多くの高校生が心を一つにして何かを作り上げる喜びは、生徒数が少ない本校ではなかなか味わえず、交流があったからこそ実現できました。関係された皆さんに感謝したいと思います。

明るく楽しい家庭的な雰囲気

2025年3月6日 10時00分

 昨日、寄宿舎に入舎している生徒の卒業(高等部普通科)及び修了(高等部専攻科)を祝う送別会を行いました。本校の寄宿舎を利用している生徒は、中学生の年齢から成人まで幅広く、障害の状況も視覚だけではない生徒もおり、様々です。生徒による司会、生徒が考えて生徒が進行したクイズ、生徒と先生が協力して用意をしたクイズの景品や卒業生・修了生のための寄せ書き、卒業・修了を祝うくす玉など、今回、卒業・修了を迎える生徒はもちろんのこと、その他の生徒たちについても一人ひとりを大切にして楽しませようとする工夫や配慮、生徒間や生徒と教員間の温かいつながりなど、家族ではないが家族のような家庭的で温かい雰囲気を感じた送別会でした。卒業生・修了生からは、寄宿舎生活の思い出や関係した皆さんへの感謝の言葉、後輩へのメッセージなどをもらいました。本校寄宿舎の運営目標の一番目にある「明るく楽しい家庭的な雰囲気をつくる」を、正に実感できた時間でした。

点字ブロックの日

2025年2月28日 10時20分

 1967年3月18日に、世界で初めて岡山盲学校付近の交差点に点字ブロックが敷設されたことを記念して、3月18日が「点字ブロックの日」に制定されたそうです。本校では、点字ブロックに対する理解を一般の人に深めてもらうために、中学部の生徒が、理解啓発のためのカードを入れたポケットティッシュを配布する活動を2月と3月に行っています。先日の2月26日(水)には、学校近くのスーパーマーケットの入口前をお借りし、買物に来られた方に配布しました。中学部の生徒が声をかけると、多くの方が立ち止まってくださり、笑顔で受け取ってくださいました。同封したカードには、「点字ブロックは私たちの命綱です。自転車を停めたり物をおいたりしないでくださいね。」とあります。

 点字ブロックの幅は、肩幅よりも狭いです。ですから、点字ブロックの上だけが空いている状態では、安全に通行できません。みなさんには、視覚に障害のある方が白杖を左右に振って点字ブロックの位置を確認しながら歩いている状況を思い浮かべ、安全に歩くことができるだけの幅が空いているかどうかを確かめていただきたいです。