10月26日(土)~28日(月)にかけて、佐賀県で開催されていた全国障害者スポーツ大会のグランドソフトボールに、本校の生徒・教員8人が、選手・監督・スタッフとして参加していました。チームは、視覚障害のある本校卒業生と現役生徒及び教員から編成されています。5月に四国大会で優勝し、6月に中国地区代表の岡山県のチームに勝利し、中国・四国地区代表として今回の大会に出場しました。1回戦は、東海地区代表の三重県チームと対戦し、2対2の同点で、抽選により2回戦に進みました。2回戦は、九州地区代表の福岡県チームと対戦し、0対8で負けました。この福岡県チームが優勝しています。3位決定戦で開催地区の佐賀県チームに10対2の大差で勝利し、3位に入賞することができました。昨日、生徒が首に銅メダルをかけて、監督らと一緒に結果を報告に来てくれました。今後も競技力向上を目標に、社会人と一緒に練習に取り組んで、友情を深めたり、スポーツを純粋に楽しんでほしいと思います。また、より多くの人から障害者スポーツが注目されるようになってほしいと願っています。
ベルマーク運動の話が先日の本校PTA役員会で出ました。ベルマークといえば、自分が小学生低学年のころ、母親が家でお菓子の包み紙から切り出していたのを、おぼろげに思い出しました。ベルマーク教育助成財団のホームページを見ますと、ベルマーク運動は「すべての子どもに等しく、豊かな環境のなかで教育を受けさせたい」との願いのもと、1960年に始まったようです。食品や日用品等についているベルマークには、0.5点~数点の点数が書かれてあります。1点が1円に換算されて、ベルマーク預金になります。その預金を活用して、学校に必要な教材等を協力会社から購入できる仕組みです。本校では、昨年度のPTAの活動で集めたベルマークで、高さが低い平均台を購入しました。目が見えない・見えにくい子どもにとっては、少しの高さでも恐怖感があるため、高さの低い平均台を使って、体のバランスをとる練習をしています。ベルマーク運動に関わってくださっているPTAの皆さん、協力会社の皆さんに感謝しています。
参考:ベルマーク教育助成財団ホームページ
昨日の10月17日(木)と18日(金)に、サンポートホール高松において、「令和6年度全国盲学校長会 秋季研究協議会香川大会が開催されました。今回のテーマは、「これからの社会に求められる盲学校のあり方を考える」です。(香川県では、盲学校から視覚支援学校に学校名が変更されましたが、全国的には盲学校とついた学校も多く、今回の大会中も盲学校という表現は普通に使われています。)全国から60人の校長先生が参加してくださり、グループに分かれて、理療科をより魅力的にするためにはどうしたらいいかや、地域の小中学校や高校等に通う視覚に障害のある子どもたちをどのように支援すればいいかなどの様々な問題について議論をしたり、視覚障害教育を専門とした文部科学省の調査官や大学の先生から、視覚障害教育を取り巻く最近の状況や、先生方を一つにまとめるチーム作り等についての講話を聞きました。また、他県の校長先生から聞いた各校の話も参考になるものが多く、有意義な大会になりました。これまで、多大なエネルギーを投じて準備をしてきましたので、閉会式後、皆さんから満足された笑顔で大きな拍手をいただいたときには、涙が出そうになりました。
全て、校長の団体の略称です。年度当初は聞いても何の団体かすぐには分かりませんでした。香特長:香川県特別支援学校長会。中四盲長:中国・四国地区盲学校長会。全特長:全国特別支援学校長会。全知長:全国特別支援学校知的障害教育校長会。全盲長:全国盲学校長会。いずれの団体も定期的に会員(校長)が集まって総会を開いたり、研究会を開いたりしています。今年度は、全知長の研究大会が8月に香川で開催されました。本校は知的障害教育の学校ではないため、私は会員ではありませんが、大きな大会であるため運営の補助に行きました。そして、何と全国盲学校長会の研究協議大会も、今年度香川県で、来週の17日(木)と18日(金)に開催されます。初任の校長でかつ視覚障害教育に関わるのも今年度からという初心者の私が、いきなり最初の年に大きな仕事に巡り合いました。せっかく香川に来てくださる校長先生の皆さんに「良かった」と思っていただける研究協議会になるよう、他の人に少し助けてもらいながら、大半の準備を一人でがんばっています。
今日は、公益財団法人日本テレビ小鳩文化事業団主催のスクールコンサートが、本校体育館で行われました。誰しも知っているCMの音楽を演奏したり、有名なバンドのレコーディングをされている一流のプロの演奏家や歌手の方が来てくださいました。映画音楽やジャズ、アイドルの曲等幅広いジャンルの音楽を演奏してくださり、参加した生徒・保護者・教員は一流の演奏を楽しみました。Adoの新時代とAKB48の365日の紙飛行機は、本校の生徒と教員も演奏や歌に参加し、生徒、教員の普段見れない側面を見ることができました。みなさんいい刺激を受けたようで、理屈抜きで音楽には人を元気づけたり、感動させたりする力があるなと改めて感じました。本校のような生徒数の少ない学校で、プロの演奏家を自力で呼ぶのは難しいため、このような事業に取り組まれている団体があることは大変ありがたいです。
特別支援学校に今年度初めて勤務した私にとっては給食がとても新鮮で、栄養面がよく考えられた普段食べないような様々な料理をおいしく食べることができ、とてもありがたく思っています。校長である私は、他の人よりも早めに給食を食べています。「検食」のためです。「異物の混入がないか」「加熱調理は適切か」「異味、異臭その他異常はないか」という項目に加えて、「食品の量が適切か」「味付け、香り、色彩並びに形態等が適切か」や「児童生徒の嗜好との関連は配慮されているか」等をチェックしています。今まで大きな問題もなく、ありがたいと感謝して食べている私に対して、調理員の方から「(検食を)ありがとうございます」と言われます。作ってもらったものを食べてお礼を言われるのは、なんとも不思議な感じです。
本日、9月22日(日)科学へジャンプというイベントを本校を会場に実施しました。科学へジャンプは、視覚に障害のある生徒の理系離れを防ごうと、科学に関する実験や実習を通して興味関心を高めることなどをねらいとし、2008年に宿泊を伴う活動が東京で実施されたのが始まりです。現在は全国のいくつかの地域で日帰り形式の地方版科学へジャンプも行われています。今日は、中国・四国地区の盲学校や弱視学級等に通う児童、生徒や保護者が参加してくれました。中四国の盲学校の教員の他、広島大学総合博物館の学芸員の方や県内の企業の方にワークショップの指導をしていただきました。液体窒素を使った実験や化石に触れるなどのワークショップでは、「おもしろい!」など、時折子どもたちの大きな歓声が聞こえてきました。参加された児童、生徒の皆さんには、科学への興味関心が今後も継続することを期待します。
音訳とは、視覚に障害のある方のために、墨字(活字)で書かれている本や広報誌などの内容を読んで音声に変えることで、多くのボランティアの方が関わっています。本日、公益財団法人鉄道弘済会四国支部主催の「朗読録音奉仕者感謝の集い」に出席してきました。四国地区で長年に渡って音訳ボランティアに携わってこられた方13名が表彰されました。全盲の視覚障害者の方のためには点字図書もありますが、大人になってから視覚を失った人にとっては点字の習得は難しく、音声図書はとてもありがたいようです。受賞者代表の挨拶に、やがてはAIの音声が普及し、私たちボランティアが必要なくなるかもしれませんとの話がありました。最近は、ニュースの読み上げもAI音声のものが使われています。視覚障害者の方にとっては情報を得やすくなるのかもしれませんが、「少しでも人のためになれば」と思う機会がAIに置き換わっていく未来の社会はどうなるのでしょうか。思いやりのあふれる社会であってほしいものです。
学校給食法に学校給食の目標が7項目書かれています。栄養摂取、望ましい食習慣、学校生活を豊かにする、生命や自然の尊重、伝統的な食文化の理解などです。本校では各座席のテーブル上にメニューによって異なるものの、お椀やお皿、牛乳、スプーンなどを、できるだけ毎回同じ配置になるように置いています。全く見えないまたはほとんど見えない幼児児童生徒は、手で探って食器を手に取り、食べています。具材の大きさや形状、硬さなどがメニューによって異なるため、多くの幼児児童生徒が、隣にいる教員から必要に応じて支援をしてもらい、こぼさないで食べることができるように努めています。また、視覚以外の感覚を研ぎ澄まし、味覚や嗅覚、聴覚で感じることや食感などを学ぶ機会でもあります。時々おしゃべりもしながら楽しく食べていますが、食べることを通して多くのことを学んでいます。
8月28日(水)に、本校の教員、生徒、保護者の希望者と一緒に、国立ハンセン病療養所である大島清松園に行ってきました。自治会長さんの講話を聞いたり、社会交流館の展示を見たり、施設を見学させていただきました。参加者は、理不尽な隔離政策と言葉では言い尽くせない厳しい生活実態等について、初めて知ったり、再認識したりしたものと思います。展示資料の中に、本校にもある点字を書くための道具がありました。ハンセン病になると、手足の末梢神経の麻痺の他に、失明することがあるからです。失明して指先の神経が麻痺している場合、指先で点字を読むことができません。その場合、舌先で点字を読む(舌読)のです。読めるようになるまでには、何度も出血するなど、大変な苦労があったようです。「何もそこまでしなくても…」と思いましたか?健常者のみなさんは、スマホの画面から様々な情報を得たり、自分の感じたことを文字にして他の人に伝えていると思います。そんなことができなくなった自分を仮定し、舌読をしている人の気持ちを想像してみてください。
視覚障害者を安全に誘導するための点字ブロックは、正式名称を「視覚障害者誘導用ブロック」といいます。点字ブロックには、突起の形状が点状の「警告ブロック」と線状の「誘導ブロック」の2種類があり、いずれも弱視の方が認識しやすいように原則、黄色になっています。「警告ブロック」は、注意した方がよい場所である、横断歩道前、階段前、駅のホームの端、誘導ブロックが交差する分岐点等に設置されています。線状ブロックは、進行方向を示すブロックで、線状の突起が誘導する方向に向くように並べて設置されています。みなさん、路上や多くの人が利用する施設の室内等で、点字ブロックの「点と線」がどのように配置されているか確認してみてください。

本校校長室入口前の点と線
8月5日(月)に本校主催の研修会で、愛知教育大学の相羽大輔先生に講演をしていただきました。講演の中で「目が悪いという言い方は止めてほしい」と言われたとき、「暗いところで本を読んでいたら目が悪くなるで!」と何も気にしないで言っていたことを思い出しました。
講演後、「悪い」の意味を確認しました。質が低い。能力が劣っている。美的な面で劣っている。正常な状態でない。不当である。不親切である。人と人との間が円満でない。不足している。(行動が)正しくない。不吉である。などなど。こんな意味をもつ言葉が自分の体について使われることはもちろんのこと、他の人に使われているのを聞くことも嫌な気持ちにさせるのだろうと気が付きました。他にも同じように障害のある方を嫌な気持ちにさせている表現がないか、見直してみたいです。
最近はレストランや回転ずしなどで、タッチパネルを使って注文する店舗が増えました。手を挙げて「すみません」と大きな声を出して店員さんに来てもらって注文する方法に比べたら、席に着いた瞬間から注文できたり、店員さんの聞き間違いの問題もなくなり、利用者・店舗側双方が便利で、みんなにとって良くなったと思っていました。ところが本校に赴任して考えが変わりました。タッチパネルは見える人を前提に作られており、見えない人にとっては使い物になりません。スーパーのセルフレジ、コンビニの支払い、ホテルのチェックイン・チェックアウトなど、様々なところにタッチパネルが増えました。見えない人にとっては、どんどん不便な社会になっているのです。「誰もいないホテルのロビーは本当に困る」と本校教員が言っておりました。助けてくれる人が近くにいれば、何とかなるのです。タッチパネルが置いてあるだけの環境を「これもありだな」とは思わないようにしてください。
昨日、小中学生を本校に招いて、視覚障害について学んでもらうイベントを行いました。点字で自分の名刺を作ったり、視覚障害者が使っている便利な道具に触れたり、視覚障害者が楽しんでいるスポーツを体験したりしました。最後に視覚障害のある本校の教員から、日常生活で不便に思うことやうれしかった体験等の話がありました。交差点で信号が変わるのを待っているときに、小学生から信号が「青に変わりましたよ」と言ってくれただけで、すごく安心する。視覚障害者を専門的に案内する方法はあるけれども声をかけてくれるだけいい、その優しい気持ちがうれしいという話でした。みなさんも白杖を持っている方が立ち止まっていたりしたら、「何かお手伝いすることはないですか?」と声をかけてください。