本日が令和7年度の初日です。私にとっては、本校校長の2年目が始まりました。新しいスタッフを迎えて、今年度最初の職員会議を行いました。職員会議の最初の議題として、「学校運営方針と重点目標」の説明をしました。学校運営方針には二つの柱があり、一つ目の柱は、「視覚に障害のある幼児児童生徒の自立と社会参加に向け、障害の状態や発達段階を十分に把握して、幼児児童生徒一人一人の可能性を信じて、一人一人を大切にする教育活動を推進する。」としています。教職員には、幼児児童生徒と授業等で関わる中、自分の支援が自立と社会参加につながっているのか、一人一人の可能性を信じて関わっているのかなど、節目節目で自分の取組みを見直す基準として、この柱を思い返してほしいと伝えました。この春の人事異動で、教員の数は減りましたが、一人一人を大切にする教育活動を維持、あるいはより充実できるよう、学校運営に尽力したいと思います。
全国に視覚障害特別支援学校(盲学校)は、67校あります。面積の広い一部の道県と人口の多い都府県に複数の学校がありますが、多くは1県に1校しかありません。そのため先生方の指導力を高めるような研究会や研修会を県単位で開催することは難しく、どうしても県境をまたいで他県へ出かけていく必要がありますが、旅費の制約もあり、参加したい会に自由に参加できるわけではありません。そのような状況の中、先日、筑波大学附属視覚特別支援学校の校長先生から、他の元校長先生と協力して作られた研修資料が送られてきました。視覚障害特別支援学校に初めて勤務することになった先生に向けた視覚障害教育の専門性を高めるための資料です。内容が多岐に渡っており、1年間の勤務を終えようとする私にも大変有益な資料です。全国的に学校数が少ないからこそ、このような情報共有の文化があるのかもしれません。早速、本校の教職員に紹介をして、活用させていただきたいと思います。
本日、3学期の終業式を終え、令和6年度の授業や行事などの教育活動が終わりました。終業式では、この1年間で「できるようになったこと」を、それぞれ思い浮かべてもらいました。例として、「手すりや壁をたどりながら、一人で歩くことができる。」や「うれしかったことや嫌だと思うことを言葉で伝えたり、行動で周囲の人に伝えることができる。」などを挙げました。できるようになったことの中には、自分で気がついていないこともあります。新しい学年の4月からも「やればできるようになる」と自分を信じて、様々なことに挑戦してほしいと伝えました。思い返せば、この1年、始業式や終業式、入学式、卒業式等の講話は、ほとんど同じような内容を話していたような気がします。幼児から成人の生徒まで年齢層が幅広く、話す内容を考えることに加えて、できるだけ平易な表現になるように努力をしたつもりです。幼児児童生徒のみなさんには、この1年間でできるようになったことに自信をもって、春休みも元気で楽しく過ごしてもらいたいと思います。
3月7日(金)に本校を卒業した高等部の生徒が、翌日8日(土)の香川県立高松工芸高等学校吹奏楽部の定期演奏会に参加しました。本校と高松工芸高校は、600m程度しか離れておらず、本校の行事に高松工芸高校の生徒が参加してくれるなど、交流をしています。本校を卒業した生徒は、高等部1年生のときからこの定期演奏会に参加させてもらっており、今回が最後の演奏会になります。本校の音楽室で、顧問と数人で演奏するのとは全然違って、音楽ホールで多くの観客を前に、数十人で合同演奏をしたことは、貴重な経験になったと思います。演奏会は、映像による演出や生徒によるトークもおもしろく、この3月に卒業した生徒や顧問の先生から部員に対する感謝の言葉もあり、高校生の「青春」を感じました。同世代の多くの高校生が心を一つにして何かを作り上げる喜びは、生徒数が少ない本校ではなかなか味わえず、交流があったからこそ実現できました。関係された皆さんに感謝したいと思います。
昨日、寄宿舎に入舎している生徒の卒業(高等部普通科)及び修了(高等部専攻科)を祝う送別会を行いました。本校の寄宿舎を利用している生徒は、中学生の年齢から成人まで幅広く、障害の状況も視覚だけではない生徒もおり、様々です。生徒による司会、生徒が考えて生徒が進行したクイズ、生徒と先生が協力して用意をしたクイズの景品や卒業生・修了生のための寄せ書き、卒業・修了を祝うくす玉など、今回、卒業・修了を迎える生徒はもちろんのこと、その他の生徒たちについても一人ひとりを大切にして楽しませようとする工夫や配慮、生徒間や生徒と教員間の温かいつながりなど、家族ではないが家族のような家庭的で温かい雰囲気を感じた送別会でした。卒業生・修了生からは、寄宿舎生活の思い出や関係した皆さんへの感謝の言葉、後輩へのメッセージなどをもらいました。本校寄宿舎の運営目標の一番目にある「明るく楽しい家庭的な雰囲気をつくる」を、正に実感できた時間でした。
1967年3月18日に、世界で初めて岡山盲学校付近の交差点に点字ブロックが敷設されたことを記念して、3月18日が「点字ブロックの日」に制定されたそうです。本校では、点字ブロックに対する理解を一般の人に深めてもらうために、中学部の生徒が、理解啓発のためのカードを入れたポケットティッシュを配布する活動を2月と3月に行っています。先日の2月26日(水)には、学校近くのスーパーマーケットの入口前をお借りし、買物に来られた方に配布しました。中学部の生徒が声をかけると、多くの方が立ち止まってくださり、笑顔で受け取ってくださいました。同封したカードには、「点字ブロックは私たちの命綱です。自転車を停めたり物をおいたりしないでくださいね。」とあります。
点字ブロックの幅は、肩幅よりも狭いです。ですから、点字ブロックの上だけが空いている状態では、安全に通行できません。みなさんには、視覚に障害のある方が白杖を左右に振って点字ブロックの位置を確認しながら歩いている状況を思い浮かべ、安全に歩くことができるだけの幅が空いているかどうかを確かめていただきたいです。
昨日、高松ライオンズクラブの主催による「ハートフルコンサート」が本校の音楽室で行われました。歌謡曲やアニメソング等のピアノ演奏と歌を披露していただきました。「春よ、来い」を本校の生徒と合同で演奏したり、最後の曲「カイト」は、高松ライオンズクラブのみなさんや本校職員も加わり全員が一緒になって歌いました。音楽には、「心を一つにする力がある」と改めて感じました。コンサートの前にライオンズクラブについて調べていたところ、マザーテレサさんの「愛の反対は憎しみではなく、無関心である。」という言葉に出会いました。今回のコンサートは、コロナ禍を経て久しぶりの開催となりました。このように社会奉仕活動をされている民間団体の方から本校の生徒だけではなく、視覚に障害のある人々に関心をもってもらえていることに感謝しています。
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点字は、6個の凸点の組み合わせによって表現されています。一つの凸点の直径は、約1.4mmで、点の配置や点と点との間隔は、右図のようになっています。各点の位置を示す番号もあります。右図は、ちょうど10倍の大きさになるように、私がパソコンを使って描いたものを縮小して表示しています。私は、実際の点字を指先で触っても、小さくて違いが分からず、読み取ることはできません。
「アイウエオ」は、下図のようになります。「カ」は、「ア」の点字に、カ行を示す⑥の点が加わります。「ス」は、「ウ」の点字にサ行を示す⑤と⑥の点が加わります。この規則に当てはまらない「ヲ」と「ン」も示しました。
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このような規則性があるので、自分にも覚えられそうと思いましたか?実はそんなに単純ではありません。今回ここでは示しませんが、「ガ」のような濁音、「パ」のような半濁音、「キャ」のような拗音は、それぞれ2マスを使います。さらに数字やアルファベットに、「。」「、」「?」「!」「÷」「<」「∫(積分)」「⤴」「♪」「♭」等にも点字があります。数学や音楽も勉強しますので、学習に必要な記号には点字があります。 |
点字は、凸点を指先で触って読みますが、学校でノートをとるときなどは、点筆を紙に押し付けて、へこみを作って書いていきます。読むのは凸点、書くのはへこみです。右から書いていったノートを裏返して、左から読むのです。ここで気が付いた人はいますか? そう、読む点字と書く点字は、左右反転しているのです!! 点字の習得には、かなりの時間とトレーニングが必要であることが分かります。
視覚障害者の多くは見えにくい「弱視」の人で、全く見えず、点字の読み・書きをしている「全盲」の人は少ないです。今年度本校では、点字の読み・書きの勉強をしている生徒はいますが、点字でノートをとっている児童・生徒はいません。先日、他県の視覚支援学校の授業を見る機会があり、そこで、点筆(紙に金属棒を押し付けて小さなくぼみをつくる点字を書く道具)を使って、点字でノートをとっている中学生を見ました。「ダダダダダダ…」と、一瞬も止まることなく、点字を高速で書く姿に驚きました。また、点字で書いた内容を教員が目で読み取り、授業を展開していました。「点字を介して学ぶ、点字を介して授業をする」とは、こういうことかと、2月になってこんなことを実感するのは、校長として恥ずかしい限りですが、見ることができて良かったです。点字で学んでいる児童・生徒には、教科書以外のドリル学習教材などの副教材、テスト問題、通知表等を、その学校の教員が点字で作らなければなりません。時間と労力がとてつもなくかかりそうなことが容易に想像できます。
みなさんは、音の出る信号機の音といえば、「ピヨ」と「カッコー」の2種類あるのを知っていると思います。正確には、「ピヨ」と「ピヨピヨ」、「カッコー」と「カカッコー」それぞれが組になっています。これらの音と方角は特に関係がなかったのですが、今後、方角と関係を持たせるように高松市と丸亀市の信号機11か所を改良していくようです。本校には、昨年11月にこの情報が届いていましたが、本日の地方新聞にその記事が載っていました。北の信号機からは「ピヨ」、南から「ピヨピヨ」、西から「カッコー」、東から「カカッコー」と鳴るようです。このような信号機が増えますと、視覚に障害のある方は進んでいる方角が分かり、より安心できると思います。みなさんには、このような音の違いがあることを確認していただくとともに、交差点で困っている人がいれば声をかけてください。
これまで盲導犬のお仕事ぶりを何度も見ました。5月には、盲目のアーティストが大音量で歌っていても、じっと足元で寝そべって待っていて、歌い終わって挨拶が終わった瞬間、終わることが分かっているかのようにすぐに立ち上がりました。先週末には、本校同窓会の新年会がありましたが、美味しい食事が出てきても、じっとテーブルの下でおとなしくしています。これならレストランに入っても迷惑をかけないなと思いました。盲導犬ユーザーの方が前で挨拶をしているときは、足元で伏せてじっと待っていて、挨拶が終わると、やはり終わったことが分かっているかのようにすぐに立ち上がりました。「賢いなあ」と思いました。かわいいのでつい頭をなでたくなりますが、なでたり、食べ物を与えたり、声をかけたりしないのがマナーです。みなさんも街中で盲導犬を見かけたら、そっと温かく見守ってください。
「愛盲シール」というものを知っていますか? 大きさは切手くらいです。
愛盲シールを製作されている社会福祉法人日本盲人福祉委員会のホームページによりますと、視覚障害者の福祉及び教育に関係する団体の連絡調整と国際交流を目的として設立された日本盲人福祉委員会が、資金不足のため活動が十分にできず、シールを活用した募金を1958年から始められたようです。このシールは募金活動のシンボルですので、共同募金の赤い羽根のような存在でもあると思います。愛盲シール運動等で集まった寄付は、視覚障害者や支援者の団体に配分され、点字や録音資料の発行、スポーツ・芸術文化活動、会議や研修会の実施、視覚障害関連の調査研究、備品購入等に使われているようです。今期の愛盲シールは、アネモネやアイリスの花、シマエナガ(小鳥)、サンタクロースの4種類です。興味をもってくださった方は、日本盲人福祉委員会のホームページをご覧ください。
参考:日本盲人福祉委員会ホームページ、愛盲シール広報資料
1月8日(水)に始業式を行いました。始業式では、校長の講話がありますが、本校には幼稚部の幼児から高等部専攻科の成人の生徒まで年齢層が幅広く、話す内容を考えたり、できるだけ平易な表現で短くまとめることに苦心しています。今回は、スティーブ・ジョブズさんが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの内容のうち「点と点をつなげる」をテーマに話しました。いずれ役に立つとは考えもしなかった「美しい文字」について学んだ知識が、10年後のパソコン開発に役立ったということを簡単に説明し、「今、学んでいることや体験していることが何の役に立つか分からなくても、後で役立っていたと気づくこともあると信じて、色々なことに挑戦してほしい。」というメッセージを送りました。この内容は、私も共感することが多く、中高生のときに辛かったことや教員になってから経験した、授業の指導力とは直接関係のないような経験等も、今の自分が作られるのに役立っていたのだと40代になって以降よく思うようになりました。
12月23日(月)校内理療実習がありました。これは本校で、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家試験合格を目指して学習している、保健理療科と専攻科理療科の生徒が、教職員を対象にあん摩の施術を行い、専門の教員から助言を受け、更なる技術の向上を目指す取組みです。私はベッドで右を上にして横になり、肩、腕、首、背中、足のあん摩をしてもらい、次に左を上にして横になって同様のあん摩をしてもらい、最後にベッドに座って肩や背中のあん摩をしてもらいました。この日は肩こりや全身の疲れがあったわけではなかったのですが、あん摩が終わって立ち上がった瞬間、「(肩を中心とした)腕の動きが軽い!」と感じました。まるで動きが悪くなった機械に油をさした直後のような感じです。これが「あん摩」の力なのかと実感しました。