「あっちに集合してください。」「そっちに置いてください。」などは、多くの学校で普通に使われている指示だと思いますが、本校では使いません。方向を示す言葉には、左右もありますが体の向きによって変わりますので、本校では、東西南北をよく使います。4月に体育館で新しく転入された先生を紹介するときには、「東端の先生から紹介します。」と言いました。また、先生が机の上の教材や給食の位置を教えるときには、「10時の方向にサラダがあります。」など、時計の針の方向で指示することがあります。本校では、いかに「言葉」が大切であるかを実感しています。
本校の校訓は、「報恩」「自立自営」「反省」です。この中で報恩は、あまり耳にすることがないため、私はこの校訓を知ったとき、新鮮な印象といい言葉だなと思いましたので、今年度の入学式の式辞で、この報恩について話しました。
報恩とは、これまで自分がいただいてきた、またこれからいただくであろう自然の恵みや周囲の人々からのご厚意などに感謝し、自分ができる範囲でお返しをすることです。本校に入学後は、できることを少しずつ増やしていき、自分ができる範囲で周囲の人々を助けられる人になって欲しい。という趣旨の話を、願いを込めて新入生に送りました。
校訓の石碑とツツジ
本日、好天に恵まれ、体育祭を予定通り実施できました。競技の一つ「THE 視覚支援学校レース」を紹介します。2チームに分かれ、以下の①~⑥をそれぞれ別の人が、たすきをつないで競争します。①目隠しをして白杖を使って障害物をよけて進む。②伴走者と一緒にトラックをランニングする。③鍼治療の実技:細い管に鍼を片手で挿入する。④目隠しをして、ハンドボールを転がして狭い間を通す。⑤手引き歩行で狭い間を歩く。⑥模型化した点字で書かれた先生の名前を読み取り、その先生を呼び(援助依頼)、先生と一緒にゴールまで進む。 それぞれの難しさや魅力を書いているとたいへん長くなるので省略しますが、この競技に限らず、体育祭全体を通して、幼児児童生徒の年齢や障害の状態に応じて競技内容やルールを工夫し、みんなが参加でき、楽しむことができる体育祭で、普段の学びをご家族の方に見ていただく機会にもなっていました。
5月12日(日)にグランドソフトボール四国大会が、高松市西部運動センターでありました。視覚に障害のある選手10人(内4人以上は全盲:晴眼者が目隠しをしても可)で、チームが編成されます。ピッチャーは全盲で、ハンドボールくらいの大きさのボールを転がすように投げます。キャッチャーが手を叩いてストライクゾーンを伝え、ストライクが取れるように投げるのですから驚きです。その他にもたくさんの驚きがありましたが、一番印象に残ったのは、「スポーツをしたり、見て楽しむことに障害の有無は関係ない」ということです。本校のOB、生徒、職員からなる香川県チームが見事に優勝し、6月2日(日)に中国地区代表の岡山県チームと対戦します。
視覚障害は、見えない「盲」と「見えにくい」弱視の二つに大きく分けることができます。盲(全盲)の児童生徒については、学習できる年齢になれば点字の学習を始め、やがて点字で学んでいくようになります。弱視の児童生徒については、文字が拡大された教科書等の他に、最近ではタブレット端末やパソコンのモニタに文字や図等を大きく映して、自分の鼻先が画面につくくらい顔を近づけて学んでいます。そして、視覚障害者の大多数が実は「盲」ではなく「弱視」なのです。「見えない人」よりも「見えにくい人」が多いことを知っておいてください。
本校には、視覚に障害のある幼児児童生徒及び職員がおりますので、他の学校には無いような校内を歩くことに関するルール・マナーがあります。そのうちのいくつかを紹介します。
①原則、廊下・階段は右側通行 ②点字ブロック上や廊下の中央、階段で立ち話をしない ③扉は開けたら必ず閉める。中途半端に開けた状態にはしない。…理由はわかりますか? 右手が入るから「扉が開いている」と思って進んだら、顔や左肩を扉にぶつけるかもしれませんね。 その他、脱いだ靴はすぐに履く場合でも通行の邪魔にならない所に置くとか、そもそも廊下や職員室の床に物を置かないというルールがあります。
視覚に障害のある人の立場に立って考えると「それはそうだ」と思うことでも、普段はなかなか思いつかないですね。視覚に関してだけでなく、いろいろな人の立場に立って考えることができれば、誰もが暮らしやすい社会になりそうですね。
学校は誰のためにあるのでしょうか?当たり前ですが、学校に通う幼児児童生徒のためにあります。
ただ、それだけではありません。本校は、県内で唯一の視覚障害教育専門の特別支援学校です。その専門性を活かし、視覚障害教育のセンター的役割を果たし、地域社会に貢献しています。先日の4月25日(木)には、第1回かがわロービジョン研修会を実施しました。本校以外の小学校や高校に通っている、視覚に障害のある児童や生徒の担任の先生方が本校に集まり、本校教諭や香川県視覚障害者福祉センターの方、眼科医師の方から講話を聞いたり、情報交換を行いました。最後に行った情報交換は、予定時刻を過ぎるまで活発に行われ、有意義な研修会になったものと思います。このような研修会の他、相談活動も行っています。視覚に障害のある乳幼児から成人について、学習や日常生活、進路などのご相談されたいことがありましたら、ぜひ本校にご連絡ください。
本校では、視覚障害教育の基本的な内容を学んで、視覚障害教育のジェネラリストになることを目指す通称「G研」と呼ばれる教職員研修を、新転任者と希望者を対象に実施しています。今年度は年間11回が計画され、本日5回目が終わりました。私は毎回新しい気付きがあり、有意義な研修でありがたいと思っています。
ここでは、4月3日(水)の1回目の研修で印象に残ったことの一つを書きます。研修担当の教員から「コンビニのレジでタッチすること」や「セルフレジが増えてきたこと」は、視覚障害者のためにはなっていない。できないです。と聞いてハッとしました。世の中は、みんなのために便利な方向へ進んでいるものと思っていましたが、目が見えない・見えにくい人のことにまで考えがおよんでいなかったことに気付かされました。本校の幼児児童生徒の自立と社会参加のために尽力することはもちろんのこと、一般の方々にも視覚障害者について理解を深めていただくような働きかけが必要であると思いました。
香川県立視覚支援学校第31第校長として着任いたしました、池田達治(いけだたつじ)と申します。明治41年に創立した116年という長い歴史と伝統のある視覚支援学校の校長に着任できたことを光栄に思います。
特別支援学校の勤務は初めてですが、視覚に障害のある幼児児童生徒の自立と社会参加に向け、一人一人の可能性を信じ、その資質や能力を最大限伸ばせるよう、全力を尽くしてまいりたいと思います。本校の教育活動に、ご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。
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空調の故障した校長室で「暑い」を連呼した9月も終わり、10月になって急に秋めいてきました。
さて、今回はクイズからです。まずは第1問。
彼岸花が咲いていますが、その上にある階段はなんのために設置されているのでしょうか?

1 津波の際に避難するため
2 歩行訓練のため
3 昭和30年代までここに流れていた水路を渡るため
続いて、第2問です。
これは、ハンドボール用のボールですが、ある視覚障害者スポーツでも使用されます。そのスポーツは何でしょうか?

1 ブラインドフットサル
2 グランドハンドボール
3 グランドソフトボール
正解はこの記事の最後で
新池勇斗展開催

9月23日に実施した学校公開にて、本校中学部卒業生で、アールブリュットアーティストの新池勇斗さんの作品展を開催しました。新池さんの作品は、色紙などにいろいろな色の丸型のシールを貼り重ねて作り出されます。2021 年には、公募「ZEN 展」 (埼玉県立近代美術館)に作品を応募し、特別賞を受賞。さらに同展の選抜作家展(銀座大黒屋ギャラリー)に出展するなど、活躍の幅を広げています。当日は新池さんも本校を久しぶりに訪れてくださり、お話を伺うことができました。作品3点を譲り受け、うち1点は校長室に飾っています。11月3日の文化祭ではその3点を作品展で公開する予定です。
わくわく縁日リハーサル(小学部)

小学部が文化祭での催し物「わくわく縁日」のリハーサルをしていました。
「よく狙って〜」
「うまい!!入ったよ!!」
「やった〜」
「景品ゲット!!」
当日をお楽しみに!!
中学部修学旅行

中学部が10月11(水)〜13日(金)に阪神タイガース優勝でとても盛り上がっている(校長の個人的な見解?)大阪方面に修学旅行に出かけます。事前学習も荷物のパッキングもバッチリのようです。立派なしおりや自作のハンドブックも届けてくれました。予報ではお天気もまずまず良さそうです。友達との旅行を楽しみ、中学部での良い思い出作りとなって欲しいです。
それでは、クイズの答えです。
第1問の正解は・・・2です。
見えない、見えにくい方にとって階段昇降は危険が伴います。安全に建物の階段や歩道橋を利用できるよう、この階段で訓練をしています。本校職員も研修でアイマスクを着用して昇降します。私も体験しましたが、かなり怖かったです。階段等で視覚障害者の方が昇降していれば、安全に昇降できるようご配慮をお願いします。
第2問の正解は・・・3です。
本校は全国盲学校グランドソフトボール大会(平成28年をもって中断)で全国制覇3回を誇る名門校です。現在は卒業生を中心に社会人チームを結成して活動しているのですが、この度、激戦の中国・四国地区予選を突破し、今月末に開催される全国障害者スポーツ大会2023(鹿児島)に出場します。香川県から同大会に団体競技で出場するのは15年ぶりだそうです。監督によると「上位進出も可能なチーム力がある」とのこと。優勝目指して頑張って欲しいです。応援よろしくお願いします。
(グランドソフトボールの競技風景)※過去の大会

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2学期がスタートしましたが、まだまだ暑い日が続いています。
新型コロナウィルスもまだまだ感染者が多く、また例年よりずいぶん早くインフルエンザも流行の兆しということで、心配しましたが、全校幼児児童生徒のみなさんは元気に登校しています。
なんと、学期早々、1棟(管理棟)の空調が故障しました。職員室や事務室、校長室、音楽室、会議室などはエアコンが効かない状態で、復旧には数ヶ月かかる見込みです。【※2棟、3棟(教室棟)や寄宿舎は別ユニットなので空調は効いています。】

校長室の室温は31度オーバー、扇風機も生ぬるい風をかき混ぜているだけのような・・・

職員室(室温32度)には急遽スポットクーラーを設置。多少はましかな?
先生方の体調が心配です。早く涼しくなってもらいたいです。
夏休みのトピックス☓3
①遅れていた標識の付け替えが完了しました。

②サマースクールでは理科班がICT機器を活用して、イカの研究に取り組みました。

③高松北高等学校の皆さんが本校で研修をしました。

(画像を一部加工しています)
部活動の様子
2学期の部活動もスタートです。

陸上部には中学部生徒が入部しました。(ウォーミングアップの様子です)
音楽部は校内に管楽器の音色を響かせています。
卓球部も頑張っています。7月の中国・四国地区盲学校体育大会では惜しくも準優勝。早くも来年に向けて腕を磨いています。
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梅雨入りし、校内の紫陽花がきれいに咲き始めました。

今回はクイズからです。
先月、本校で介護等の体験研修をした学生さんたちが体験した次の画像のスポーツは何でしょう。


ヒント
①視覚障害者球技スポーツで鈴の入ったボールを転がす
②パラリンピックの正式種目
③1チーム3名で選手はアイシェードをつけて競技
次のA〜Cから選んでください
A フロアボール
B ゴールボール
C ブラインドドッヂボール
正解はこのページの最後で
タブレットであいさつ

中学部の生徒が保健室に健康チェックカードを提出するときに、タブレットにタッチしてあいさつをしている様子です。楽しい音楽も流れます。
中学部 理科の実験

ICTつながりです。理科実験の様子です。ディスプレイモニターとタブレットで手順を確認しながら行っていました。
専攻科 解剖学

ICTつながりでもうひとつ。専攻科授業の様子です。ディスプレイモニターに表示された人体の構造を骨格標本に触れながら確認していました。
中学部 生活単元学習

靴下を丁寧に手洗いしていました。絞ったり、数えたり、確認して報告したりと、さまざまな内容を学ぶことができていました。
さてクイズの正解は・・・
2 ゴールボール です
東京パラリンピックでは、日本は男子代表が5位入賞、女子代表は銅メダルに輝きました。本校でも体験できますし、本校の職員が出向いての体験会も実施できます。(※日時などは要相談)興味のある方はお問い合わせください。
体育祭も終わり、音楽、陸上、サウンドテーブルテニス、フロアバレーボールの部活動が本格化してきました。楽器の演奏やボールの弾む音、生徒たちの元気な声が校内に響き、賑やかさが戻ってきたことを実感しています。今月はサウンドテーブルテニスの県大会が本校で、来月には中国・四国地区盲学校体育大会が高知で行われます。選手の活躍が今から楽しみです。また、16日から高等部が修学旅行で沖縄を訪れ、オンライン交流を続けてきた沖縄県立盲学校を訪問し「リアル交流」を行う予定です。
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今日、4月27日は本校の創立記念日です。創立記念日には遠足(校外学習)に出かけるのが恒例となっています。ここ3年は新型コロナウィルス感染症流行のため実施できませんでしたが、今年は児童生徒の要望に応えて復活!!爽やかな天気のもと、小学部は峰山、中学部は栗林公園、高等部普通科は屋島、高等部保健理療科、専攻科は牟礼に出かけて行きました。

バスを待つ間に新しい門標を確認したり、門標をバックに記念撮影をしたりしていました。中学部は出発式で創立記念日にちなんで本校の歴史クイズをしていました。
その中からひとつ出題します。
本校は大正11年(1922年)に現在の場所に移転してきました。では、それまでにあった建物は何でしょう?
1 警察署 2 駅 3 市役所
正解は 2 駅 です。本校は初代高松駅(西浜ステーション)の跡地に建てられています。校内には当時のホームの跡が残っています。
今年で創立115年です。歴史と伝統に思いを馳せながら楽しんできて欲しいです。
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4月1日より、創立115周年という節目の年に学校名が「香川県立視覚支援学校」に変更になりました。

新しい門標です!!


案内板なども変更になっています。

臨床実習室の門標はピカピカで、私(校長)が写り込んでいます。

道路標識はまだ旧校名です・・・(近日変更予定)


冬の間に植えたチューリップも咲き、理療棟の桜も満開です。
申し遅れましたが、令和4年度に引き続き、菊田一之が校長を務めさせていただきます。
今年度より持続発展可能な学校づくりを目指し、学校強靭化のスローガンとして、「がいな学校」を標榜し学校運営に取り組んでまいります。(「がいな」:讃岐弁で強い、タフな)
幼児児童生徒にとっての「学びがい」
保護者の皆様にとっての「任せがい」
地域や関係機関の皆様にとっての「頼りがい」
教職員にとっての「働きがい」
この4つの「がい」を高めながらシンクロさせ、県下唯一の視覚支援学校として専門性を発揮しながら、より魅力あふれる香川県立視覚支援学校となるよう教職員一同、使命感をもって取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
令和5年4月3日
香川県立視覚支援学校長 菊田一之
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本校でも校内中に敷設され、世界中の街中でも見かける点字ブロックですが、実は日本のある都市が発祥の地です。その都市はどこでしょう?
1 札幌
2 長崎
3 岡山
4 仙台
正解は本ページの最後で
チューリップを植えました

かがわフラワースマイルプロジェクトの一環として国営讃岐まんのう公園から寄贈されたチューリップの球根を植えています。昨年は一部をカラスに掘り返されてしまったので、ネットをかけて守っています。春に咲き誇るのが楽しみです。
校内の掲示特集
今回は校内のさまざまな掲示を特集します。

1月24日(火)に学校公開・授業参観を実施しました。とても寒い日でしたが、保護者の方や幼児児童生徒が利用している事業所の方、本校に関心がある方などが参観してくれました。

寄宿舎の掲示板には舎生が今年の目標をしたためた絵馬を飾っていました。達成できるようがんばりましょう!!

1月24日から30日までは学校給食週間です。本校では毎年、給食を通じて食への関心を深めようと給食川柳作りを実施しています。

中には世相を反映したものや素直な気持ちを表した川柳もありました。青春は密なのでお腹も減るでしょうね。

中学部の掲示板には、鉄道が大好きな生徒の写真が貼りだされています。写真に詳しい先生によると「構図にセンスがある」とのことです。どれも美しく撮影ができています。

3学期恒例の持久走も始まりました。新記録の金メダルシールを貼れるよう、がんばりましょう!!

進路指導室には様々な進路情報が掲示されています。本校には就職・進学・理療・福祉と多様な進路があります。一人ひとりの進路実現のため本人や保護者にしっかりとした情報提供を行うことが大切だと考えています。

校長室に設置している「盲学校のココMAP」です。幼児児童生徒の居住地や教育相談などで訪れている学校などの所在地を示しています。
さて、クイズの正解は・・・
3 岡山 でした。
点字ブロックは、1965年(昭和40年)に三宅精一氏によって考案され、1967年(昭和42年)に岡山県立盲学校に近い国道250号原尾島交差点(岡山市中区)に敷設されたのが始まりです。私も昨年10月に現地に赴いてきました。


点字ブロックは点ブロックと線ブロックがあります。点ブロックは警告ブロックとも呼ばれ、注意を促すものです。線ブロックは誘導ブロックとも呼ばれ、方向を示すものです。

点字ブロックという偉大な発明は、お隣の岡山県で、視覚に障害のある友人に安心して街の中を歩いて欲しいという三宅さんの思いやりから生まれ、今や世界中の街で視覚障害者の方がこれを頼りに歩いています。