校長からみなさまへ

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2020年8月24日 14時13分

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<第2学期が始まりました>

 

8月24日(月)、始業式が行われ、2学期がスタートしました。3週間という短い夏休みでしたが、幼児児童生徒のみなさんも健康に毎日を過ごすことができたようで、全員の元気な顔を見ることができ、とてもうれしかったです。

始業式では、連日続く猛暑について話をした後、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という諺を引き合いに、校訓の一つである「報恩」についての話をしました。

今年は、7月末にようやく梅雨が明けたと思った途端、連日30℃を超える真夏日になりました。夏休み中の3週間、高松では35℃を超える猛暑日が12日もありました。最高気温は8月17日の38.3℃、体温だったら即病院へという気温でした。この気温は高松の過去最高の気温かも、と調べてみると、2013(平成25)年8月11日に38.6度という記録がありました。今から7年前の夏のこと、そういえば息子のインターハイの応援に大分県日田市まで車で出かけ、非常に暑かったなぁという記憶はよみがえってきました。しかし、高松市の歴代最高気温のことは全く記憶になし。たぶん新聞等には大きく載っていたと思うのですが…。

人間は、自分にとって関心のない出来事はすぐに忘れてしまいます。また、都合の悪いことは忘却の引き出しにしまい込んで、意図的に忘れたかのようなふりをすることもできます。忘れていかないと前に向いて進めないということもあるでしょう。しかし、苦境に立たされたとき、辛い場面に遭遇したときには、この忘却の引き出しを開け、二度と同じような失敗を繰り返さないよう行いを改めることができるのも人間です。始業式で「喉元過ぎれば熱さ忘れる」と「報恩」について偉そうに話をしたものの、自分はこれまでたくさんの人から受けてきた恩義に向き合いお返しができたか、不義理はなかったかなどと、都合の悪い引き出しもちょっとだけ開けながら反省しました。

このコロナ禍もいつまで続くか分かりませんが、いずれは収束し、以前のような生活が戻ってくると思っています。何年か先には、こんなこともあったなぁと笑顔で話ができる時代に早くなってほしいですが、この経験ははっきりと記録に整理し、記憶に留め、決して都合の悪い引き出しにはしまわないようにしたいと思います。

 

さて、話は変わりますが、8月22日(土)午後に本校で「サマースクール」と題して、県内の視覚障害のある中高生等を対象とした勉強会を開催しました。講師は教員などではなく現役の大学2年生で、ご自身も視覚障害があり地域の小・中学校、県立高等学校で学び、昨年県外の大学に入学された方、本校も教育相談等で関わってきた方でした。高校に入学してからのこと、大学入試のこと、大学生活のことなどについて、困ったこと、努力したことなどを分かりやすく話してくれました。今年は県内各校とも夏休みが短縮されたこともあり、校外からの参加者は少なかったですが、本校高等部普通科生徒の外、県立高校で学ぶ高1の生徒が1名参加してくれました。また、講師の高校時代の恩師の先生方もサプライズで参加してくれ、旧交を温めたようでした。勉強会の内容については、またホームページに掲載されると思いますが、一言感想です。講師の大学生は様々なことにチャレンジして、周囲から叱られる失敗もたくさんして、それでもへこたれずにたくましく生きているなあということです。淡々とした語りからは想像できない芯のしっかりした実行力のある方だと感心しました。本校の生徒がこの話を聞いてどう感じ何を考えたか、また聞いてみたいです。

 

では、2学期も感染症対策を継続しながら、幼児児童生徒の教育活動にできるだけ制約が出ないよう熟慮して取り組んでいきます。関係のみなさま、今学期もどうぞよろしくお願いいたします。

 

令和2年8月24

香川県立盲学校長 田中 豊

校長からみなさまへ

2020年8月18日 11時26分

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<第2回かがわロービジョン研修会を開催しました>

 

昨日8月17日(月)の午後から、今年度第2回目となるかがわロービジョン研修会を開催しました。第1回のロービジョン研修会の様子については、6月25日付の校長からのお知らせでも紹介しましたが、その中で第2回のことについても少し触れました。今回の研修会は、愛知教育大学の相羽大輔先生をお招きして、視覚障害のある子どもたちが大学入学までに身につけておいてほしい力などについて話をしていただく予定でした。しかしながら、いったん下火になったこの感染症が7月に入って徐々に拡大し、7月中旬から第2波の様相を呈するようになり、愛知県も県独自の緊急事態宣言が出されました。こうした状況等を総合的に判断し、相羽先生には大変申し訳なかったのですが、オンラインでの研修会に変更させてもらうことにしました。すべて双方向通信のオンライン研修会ができないか本校の担当の先生方が様々模索してくれましたが、校内のWi-Fi環境が十分でないために、2コマの講義については音声を入れたデータを事前に送っていただきオンデマンドの講義として、最後の約30分間だけZoomによる生中継でのお話と質疑応答の時間とさせてもらうこととなりました。

相羽先生の講義テーマは『高等教育までに身につけたいコミュニケーションスキル』。大学入試に臨むにあたって必要な準備や、大学入学後に必要な支援技術についても話していただきました。前半は生徒・保護者対象、後半は教職員対象の講義でした。前半、後半の講義ともに共通していたのは、障害のある子どもたち自身が周囲に自分の障害のことを説明(障害開示)し、必要な支援を依頼(援助要請)できるようになること、そのためには周囲との円滑なコミュニケーションの力を小学生から段々に養っていく必要があるということでした。小学校、中学校、高等学校の各段階で身につけておくべき力を、具体的事例を挙げながら分かりやすく説明してくれました。講義資料の抜粋ですが、「高校生になると、様々な場面で自分のニーズや必要な支援について、適切な方法ではっきりと周囲に伝え、かつ、円滑に支援がもらえるようなコミュニケーションができるようになる必要があります。また、信頼できる友達をつくり、上手に人間関係を育み、彼らを頼りながら、情報を補うこと、プライベートを充実させることが求められます。」と、本人の障害開示と援助要請というのは、周囲の温かい理解だけでなく、時には対立してぶつかり合い、語り合って、そして分かり合える本当の友達がいてはじめて可能なことだと改めて思いました。「プライベートを充実させる」というのもとても大事なことです。

相羽先生ご自身が、生まれつきアルビノというメラニンが欠乏する疾患により、先天性の弱視があります。小学校は地元で学び、中学校から筑波大学附属盲学校(現 視覚特別支援学校)に進学され、大学では心理学を専攻されたそうです。ロービジョンの当事者としてこれまで様々な経験をされてきたと察しますが、たいへん穏やかで優しい語りには説得力があり、障害のある子どもたちに寄り添う姿勢と愛情が感じられました。直接お会いして、もっと時間をかけていろいろな話を聞いてみたいとつくづく思いました。本当にありがとうございました。ぜひまた機会をつくって、本校に、香川にお呼びできればと考えています。相羽先生、よろしくお願いいたします。

本校で初めて催したオンライン研修会、双方向通信の時間は短く、通信の状態は十分とは言えませんでしたが、コロナ禍の収束が見通せない中、今後の研修の在り方の一考となったのではないでしょうか。他校より参加いただいた子どもたち・保護者の皆さま、熱心な先生方に敬意を表するとともに、オブザーバーとして参加いただいた眼科医の星川先生、視覚障害者福祉センターの中口さんに感謝申し上げます。そして、会の運営のために力を尽くしてくれた本校の先生方、ありがとうございました。

 

令和2年8月18

香川県立盲学校長 田中 豊

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2020年7月30日 10時57分

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<校内弁論大会を開催しました>

 

昨日7月29日(水)の6校時に、校内弁論大会を開催しました。例年であれば5月の連休明けあたりに開催していましたが、感染症による臨時休業のため延期とし、この日の実施となりました。

 

全国の盲学校(視覚支援学校)では、毎年、学校ごとに弁論大会を実施しています。これは年に1回、全国盲学校長会と毎日新聞社の主催によって開催される「全国盲学校弁論大会」につながっているからです。全国盲学校弁論大会に出場するまでには段階がありまして、校内で最優秀弁論になった生徒は、全国7地区(北海道・東北・関東甲信越・中部・近畿・中国四国・九州)の予選大会に出場します。その各地区の予選大会で最優秀に選ばれた弁士が、全国盲学校弁論大会に出場する資格を得ることとなっています。

昨年度、東京都立文京盲学校で開催された全国盲学校弁論大会は、なんと88回目の大会でした。この大会が最初に開催されたのは1928(昭和3)年で、1923(大正12)年に起きた関東大震災から、東京が新しい都市計画に基づき、ほぼ復興した時代に重なります。太平洋戦争が激しくなった1944(昭和19)年から終戦、戦後にかけての3年間はさすがに中断したようですが、それ以外は毎年開催されています。昨年度の全国大会には、本校高等部2年生(当時は1年)のY君が中国・四国地区代表として出場し、「My True Self」と題した弁論を発表しました。Y君は昨年度の校内弁論大会で最優秀となり、鳥取盲学校で行われた中国・四国地区盲学校弁論大会に出場、参加した各校代表9名のなかで最優秀賞を獲得し、全国大会への切符を手にしました。全国大会では3位までの入賞には届かなかったものの、優秀賞をいただき、本人も大いに自信をつけました。

今年度の全国大会は岐阜盲学校で開催されることとなっていましたが、新型コロナウイルスには敵わず、戦中戦後を除いて初めての大会中止となりました。中国・四国大会は徳島視覚支援学校で行われる予定でしたが、この大会も全国大会に連動する形で中止となりました。中四国の大会も全国の大会も中止となって、校内の弁論大会についてもどうするかの議論はありましたが、高等部3年生の「ぜひ開催してほしい」という熱意もあり、実施することとなりました。

 

昨日の大会、出場した弁士は4名、高等部普通科の2年生が2名、3年生が2名という顔ぶれでした。昨年度中国・四国大会で最優秀賞を獲得し、全国大会に出場したY君も登場しました。この日ばかりは各弁士ともマスクを外し、感染症対策の予算で購入したサブロク板サイズのアクリルボードの前に立って、感情をこめながら熱弁を振るいました。

 

各弁士の弁論テーマは…

高2のM君『17歳になってがんばりたいこと』、高2のY君『日々是好日』、

高3のK君『共生社会を目指して』、高3のYさん『Help ~この気持ち届け~』

 

それぞれが、自分の思いを自分の言葉で、表現することができました。やはりリモートでは味わえない臨場感と感動があり、言葉の力って凄いなあとあらためて感じました。発表後すぐに別室で審査となりましたが、いずれの発表もそれぞれの良さがあり、なかなか甲乙つけ難い審査でした。結果、最優秀となったのは、自分の過去を振り返りながら、本校に入学して仲間ができ、徐々に自分の障害を受け入れることで前向きになり、自分が社会に役立つ人間になることで社会を変えようとの決意を語った弁論でした。最優秀賞の発表は、明日の終業式の前にある表彰式となっていますので、ここでは伏せておきます。

言葉は自分の思いを伝える一つの方法ではありますが、相手に思いを伝える方法は様々です。手話だったり、サインやシンボルだったり、身体の動きだったり。文字だったり、絵画だったり、音楽だったり…、芸術といわれるものを数えればまだまだたくさんあります。その人その人にとって得意な伝え方が理解されることで、コミュニケーションも広がります。自分の伝えたい思いが相手に伝わったとき、お互いに笑顔になります。それが自然につながっていく世の中になればなぁと思います。大会後、来春に卒業を迎える高等部3年生が、「やりきった」という、とても晴れやかな表情だったのが印象的でした。

 

明日はいよいよ1学期の終業式です。年度の初めから、感染症への怖れも十分に感じながら様々な対策をして学校運営に取り組んできました。振り返れば長かったなあというのが実感ですが、今までの教員生活にはない「有難い」経験をさせてもらいました。(何ごともポジティブに考えて‥)幼児児童生徒のみなさん、そして先生方も、今日まで健康で本校のめざす教育活動に取り組めたことが一番の感謝です。保護者のみなさまのご協力にも、深く感謝申し上げます。

いつもより短い夏休みとはなりますが、何もしないだらだらとした時間を過ごすことも大切だと思います。それぞれの方法でリフレッシュしていただいて、8月24日から始まる2学期の始業式に、元気な笑顔を見せてくれることを楽しみにしています。

ありがとうございました。

 

令和2年7月30

香川県立盲学校長 田中 豊

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2020年7月17日 22時35分

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<「介護等の体験」に大学生2名が来校しました>

 

7月16日から2日間、徳島文理大学の学生さん2名が「介護等の体験」のため来校し、学んでいただきました。県下の各特別支援学校では、毎年「介護等の体験」の大学生を受け入れており、本校は2期に分けて4、5名の学生に来ていただいていますが、生徒数(学級数)の多い特別支援学校は、年間10名程度の学生を受け入れているところもあります。

そもそも「介護等の体験」とはなんでしょう。教員の皆さんや教員免許取得を目指す学生さんには説明するまでもないことですが、この制度をご存じない方のために少し説明します。

「介護等の体験」は、小学校教諭、中学校教諭の普通免許状を取得するために必要な大学の必修単位で、いわば大学の授業です。平成九年に法律第九十号として成立した「小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律」(以下、省略して介護等体験特例法といいます)で、平成1041日に施行され、それ以降に小学校・中学校の教員免許を取得した先生方は、すべてこの「介護等の体験」を経験しているということになります。介護等体験特例法には、介護等体験の内容として「障害者、高齢者等に対する介護、介助、これらの者との交流等の体験」、介護等体験の実施施設として「特別支援学校又は社会福祉施設」その他省令で定める施設とされています。実施時期及び期間については、「十八歳に達した後、七日を下らない範囲」とされていて、7日のうち文科省の通達では特別支援学校で2日、社会福祉施設で5日が望ましいと示されています。制度ができて最初に「介護等の体験」を受けた先生も、教員になって約20年、この経験を生かして、学校の中心となって活躍している人も多いのではないかと思います。

そういえば約20年前、最初に「介護等の体験」という制度と言葉を聞いたときに、違和感を覚えた記憶があります。当時は香川中部養護学校に勤務していましたが、「介護」という表現に、ここは介護のための施設ではない、ここは学校で、我々教員は「教育」をしているという思いが強く、体験に来た学生に対して「介護」とは違うという意識づけにこだわっていたように思います。でも「介護」の「介」という字は、人を両方から二本の柱で支えるという意味や人同士のやり取りを仲立ちするといった意味の会意文字であり、「護」は守るです。「介護」と「教育」の違いにこだわっていた頃の私は、恥ずかしながら「介護」に対する偏見がありましたが、今は考えを改めています。「介護」と「教育」は唇歯輔車であり、お互いの役割を確認し協力し補い合うことで、支援の必要な人たちの人生を支えています。

さて、本校での体験ですが、年度当初は5月中旬の体育祭の日に合わせて実施の予定でしたが、今回の感染症による臨時休業で体育祭を中止にしたため、時期をずらし平常日2日間の実施となりました。2日間の主な内容は、視覚障害の理解のための講話、授業参観や授業参加、点字体験や歩行指導の体験など、学生さんたちにとって中身の濃い時間であったのではないでしょうか。1日目の5校時の時間帯には、高等部普通科生徒のうち大学進学を希望する2、3年生3名と、自由に対話をしてもらいました。大学生活についてまだ具体的なイメージをもちづらい本校生徒にとって、現役の大学生からキャンパスライフの話を聞くことは、大変刺激的で貴重な経験です。私も教室に入って一緒に話を聞きたかったのですが、盛り上がった雰囲気を壊してはいけないと思い遠慮しました。あとでその時間に入っていた先生に話を聞くと、大学生から自分は高校時代に勉強をしなかったので後悔している、後悔しないように今を頑張ってほしいと生徒たちにエールをいただいたとのこと。本校の生徒にも夢があり、お二人の大学生にも夢があります。若い人たちがそれぞれの夢をもって努力できる世の中をつくっていくのは、彼ら彼女らより先を生きる大人の責任でもあります。しかし、大人もその責任を負って苦労するばかりでなく、それぞれの夢に向かって生きることが大切です。若者たちに自分の夢を語り、夢の実現のために努力し続ける姿を見せられる大人でいたいなぁと、この2日間で感じたことでした。体験に来られた二人の学生さんが、本校で感じたこと学んだことを、これからの人生の糧にしていただくことを切に願っています。

 

令和2年7月17

香川県立盲学校長 田中 豊

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2020年7月10日 21時25分

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<福祉サービス事業所体験実習にチャレンジ>

 

7月8日から3日間、高等部普通科3年生徒1名が、卒業後の進路選択を目的として障害者福祉サービス事業所で就業体験に取り組みました。場所は木田郡三木町井戸にある「いっぽ」というところです。「いっぽ」は、「一般社団法人あ・うん」が運営する、昨年9月にオープンしたばかりの生活介護のサービスを提供する事業所です。「一般社団法人 あ・うん」そのものが、昨年4月に登録した新しい法人で、居宅介護事業所「ありがとう」の設立を皮切りに、9月にはこの「いっぽ」、12月には地域活動センター「ありがとうZ」を設立するなど、事業規模を広げています。

今日、7月10日、進路指導主事の車に同乗し、実習へのお礼方々、「いっぽ」で頑張る生徒の様子を見学させてもらいました。さぬき新道(県道13号線から279号線に入る辺り)を東に向かって進むと右手にローソン三木町井戸店があり、その交差点を南に少し入ったところに、「いっぽ」はあります。一見すると昔ながらの大きな民家といった感じで、周囲の田園風景に溶け込んで優しい雰囲気を醸し出していました。この民家の中身を改修し、元々納屋であった建物には車いすの方でも利用できる広い空間を確保し、古民家の良さも残しながら落ち着いた感じの建屋となっていました。新規の障害者支援施設は、建物を新築して開所することが多い中、こちらはリノベーションにより、障害のある人々も地域で当たり前に暮らせるよう配慮した場所といった印象でした。

本校の生徒も初めての実習先でしたが、訪問時には入浴サービスを受けたあとで、この場にすっかりなじんでリラックスした様子でした。支援員の方も本人の意思を尊重し、伸び伸びと充実した時間をすごしているようで安心しました。ちょうど、香川中部養護学校の高等部3年生も実習中で、私も知っている生徒でしたので、挨拶をするとにこにこして返事をしてくれました。思わぬ出会いに、心が温かくなりました。

さて、この法人の「あ・うん」という名称について個人的に興味がありましたので、代表理事の高橋さんに命名の由来を聞いてみました。「あ・うんという法人名にしたのは、物事の最初は『あ』で始まり、最後は『うん』で終わります。最後まで障害のある方とともに歩みたい、我々と利用者さん、利用者さん同士が息を合わせて活動していくことを理想とする施設でありたいという願いからです。」とのことでした。ついでに、居宅介護事業所の「いっぽ」や地域活動支援センターの「ありがとう」という名称についても、平仮名にこだわったことと普段何げなく使っている言葉を大切にしたいという思いからその名にしたようでした。高橋さんと直接お話したのは初めてでしたが、15年ほど前に私自身も中部養護で進路指導主事をしていたことから様々な就労支援の施設等を回っていましたので、その時にお顔は拝見した記憶があり、話も盛り上がりました。いろいろなご縁を大切に生きていけば、幸せな時間が持てるのだなあとあらためて思いました。

仏教でいうあうん(阿吽)とは、「阿」がものごとの始まり、「吽」がものごとの終わりを意味すると言われています。人間はおぎゃーと声を発して生まれてきて、最後にはうんともすんとも言わなくなって呼吸を閉じて死んでいきます。阿吽とは、生命の一生を表す言葉でもあり、人間も生まれたからにはいつかは死ぬという理を表しているとも言えます。死に向かって今を生きていることは誰もが分かっていることですが、生に執着して一生懸命生きるのも人間です。生きていると苦しいこともたくさんありますが、楽しいこともたくさんあります。生きるとは一切皆苦、とお釈迦様は言いました。お釈迦様のように、生きることは諸行無常であり、諸法無我であることを悟り、涅槃寂静に至ることができればいいですが、なかなか難しいですね。「いっぽ」を訪問したあと、そんなことも考えました。

「あ・うん」の精神が広く理解され、これからも障害のある人々の生活に寄り添いながら、きっと地域に根づいていく場所になると信じています。実習への感謝とともに頑張ってほしいと思いました。

 

令和2年7月10

香川県立盲学校長 田中 豊

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2020年6月30日 15時13分

 

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<令和2年度 香川ロービジョンケア推進委員会に参加しました>

 

昨日6月29日の午後8時から、香川ロービジョンケア推進委員会が開催され、本校高等部主事と二人で参加しました。会場はそれぞれの自宅。そうです、ZOOMを使ったリモート会議でした。昨年は、かがわ総合リハビリテーションセンターの会議室でしたが、今年は感染症拡大防止のため、各々の自宅または職場からの参加となりました。

この推進委員会ですが、平成27年3月に、「香川スマートサイト推進委員会」として県内眼科医が中心となって発足し、同月、第1回の会議が開かれました。「スマートサイト」とは、視覚障害があるためリハビリテーションが必要な人々を、それぞれのニーズに対応できる専門機関に確実につなぐための仕組み、ツールです。2005年にアメリカ眼科学会で始まったインターネットを活用した情報提供の取組で、視覚障害者が利用可能な支援を行っている機関のサイト等を紹介するサイトとして始まったようです。日本では、2010H22)年に兵庫県眼科医会が「スマートサイト」を立ち上げたのを最初に、各都道府県に普及していったとのこと。目に異常を感じた人や見えにくい状態になった人は必ず眼科を訪れます。その際、眼疾等の診断と治療をするだけでなく、患者さんへのリハビリテーション(ロービジョンケアと言います)についての情報や福祉・行政等のサービスを適切に伝えることができれば、視覚障害者の生活の質の向上にどれだけ役に立つか、関係機関の連携を見直し、さらに深めていこうという視点から本県でも組織化されました。

本校も第1回の会議から参加させてもらい、今年度で6年目となります。平成30年度より会の名称を「香川ロービジョンケア推進委員会」に改称し現在に至っています。啓発のためのリーフレットの第一版は、2016H28)年の4月に完成し、〝よつばネットかがわ“として県内の眼科や視覚障害福祉センター、障害福祉相談所、そして本校など視覚障害に関わる機関に配布されました。

さて、昨日の出席者は16名で、香川県眼科医会会長さんを始め眼科医の先生が9名、視能訓練士の方が3名、歩行訓練士であり視覚障害者福祉センター職員の方が1名、視覚障害者福祉センターの館長さん、そして本校の2名でした。本校からは、今年度「見えにくさと学びの相談センター」が対外的に行う地域支援等に係る主な行事について説明し、簡単にコロナ禍における学校の様子なども報告させていただきました。

今回の会議の主な目的は、〝よつばネットかがわ“リーフレットの第二版作成についてでしたが、やはり話題の中心は、コロナ禍による自粛と政府が提唱する「新しい生活様式」がもたらす視覚障害者の困り感についてでした。新しい生活様式が杓子定規に取り入れられると、視覚障害者にとって生きづらい世の中になります。スーパーに買い物に行っても、今までは商品を手に取って確認していたが、それがしづらい雰囲気。スーパーでソーシャルディスタンスを取る方法としてカートを押すようにしたが、他の人にぶつけてしまうことがあるので困っている。100円ショップでは、コロナ対策のため従業員にはできるだけ話しかけないようにとのアナウンスが流れているなど、視覚障害者の生の声を各委員さんから聞かせていただきました。大変勉強になるなあと感心するとともに、自分の感性のなさを痛感しました。日常生活の中でなぜと疑問に思うこと、感じる心を絶えず磨く努力がまだまだ足りないと思いました。

第一版のリーフレットの改訂については、まだ余部が結構あることから、令和4年4月の発行を目指して編集作業に取り掛かることとなりましたが、これからの時勢に合わせた内容も盛り込む必要があるとの意見もありました。

最後に、眼科医会会長さんから日本眼科医会のロービジョンケアサイトの紹介がありました。関心のある方は
https://low-vision.jp/ にぜひアクセスしてみてください。

 

令和2年6月30

香川県立盲学校長 田中 豊

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2020年6月25日 09時29分

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<第1回かがわロービジョン研修会を開催しました>

 

今週初め6月22日の午後から、コロナ禍で延期していた「第1回かがわロービジョン研修会」を開催しました。昨年度までは、「弱視教育担当者研修会」の名称で本校のセンター的役割を担う視覚障害教育支援センター(見えにくさと学びの相談センター)が中心となって、県内の弱視学級を担当する先生方を主な対象として、視覚障害教育の専門性をお伝えすべく年間3~4回ほどの研修会を開いてきました。しかし、この研修会も年々回を重ねるうち、教育だけでは解決できない課題がたくさんあることが分かり、医療、福祉等の関係する方々だけでなく、本校生徒も含め弱視のある児童生徒、社会で活躍する当事者にも参加して話をしていただくなど、中身を発展させてきました。こうしたことから、今年度新たに研修会の名称を「かがわロービジョン研修会」に変更し、学齢期から社会参加後まで途切れることのない支援体制をつくるための学習の場、連携の場を目指すこととしました。

 

因みに、ロービジョン(Low Vision)とは、何らかの原因により視覚に障害を受け、見えにくさのために日常生活において不自由さをきたしている状態を指します。元々医学用語として使用されてきた弱視とほぼ同じ意味で使われています。

 

当日は、小学校から2名、高等学校から3名の先生方、医療の立場から、かがわ総合リハビリテーションセンター病院の眼科医の先生、福祉の立場から、香川県視覚障害者福祉センターで歩行訓練や生活支援を担当している職員の方、そして本校の担当者が参加しました。最初は「視覚障害のある子どもの理解と支援」と題して、本校教員より教員向けのお話をしました。そのあと、香川県視覚障害福祉センターの紹介と相談事例の紹介がありました。

福祉センターの方の相談事例をとおして考えさせられたのは、「障害受容」ということでした。視覚障害に限らず、人間の身心を考えたときに、身心の一部の機能が著しく低下して、今まで誰の援助もなく普通にできていたことが急にできなくなる、それが医療等によっても改善する見込みがない場合、その状態を素直に受け入れられるかということです。正直、自分がそのような状態になったとき、それをすぐに受け入れられるか、自信はありません。教師として過去の自分を振り返ってみたとき、障害のある生徒たちに対して「自己理解」や「自己受容」の大切さのみを前面に出して、それを乗り越える努力が当然のことのように生徒と向き合ってきたのではないかと考えさせられました。確かに自分の苦手なことやできないことを理解して、その後の人生を歩んでいくことは大切です。得意なことやできることに視点を当て、その力を伸ばし、本人に自信をつけることで、生徒たちは社会参加を果たしてきたと思ってきましたが、果たして本当にそうだったのでしょうか。「自己受容」をしても安心して前に踏み出すことができる周囲の環境を、教師として整えることができていたのでしょうか。「障害受容」の話を聞きながら、何人もの生徒の顔が頭の中に浮かびました。

私の頭の中はこれくらいにして研修会の様子に戻しますが、センターの方の話のあと、眼科医の先生より、眼科を受診してから学校も含めた関係機関につないでいくまでの流れについて、事例をもとにお話がありました。また、ロービジョンケアのために医療、教育、福祉、行政等が連携して組織している『よつばネットかがわ』の紹介もありました。『よつばネットかがわ』については、次の機会に詳しくお話しします。

それから、本校若手教員によるUDブラウザの使用方法や申請方法などの説明も行い、最後には研修会参加の小学校、高等学校の先生方と本校職員との間で、各校に在籍するロービジョンの児童生徒のことについての情報交換がなされました。

第2回目の研修会は8月17日(月)、ロービジョンの当事者で愛知教育大学の特別支援教育講座で教鞭をとられている相羽大輔先生をお招きして、講演を中心に開催します。関係の皆さまには、追ってお知らせいたします。どんなお話が聞けるか、今から楽しみです。

 

令和2年6月25

香川県立盲学校長 田中 豊

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2020年6月18日 18時08分

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<小学部でおはなし会がありました>

 

今日6月18日の5校時、小学部のおはなし会で絵本の読み聞かせをしました。先週の8日に、小学部の図書係の児童から、3冊の絵本を読んでほしいと依頼されていたのですが、今日がその本番でした。おはなし会に参加してくれたのは、小学部3、4、6年生がそれぞれ1名ずつ、合わせて3名の児童と担任の先生方でした。

最初に読んだ絵本は『とんとん とめてくださいな』(文・こいでたん、絵・こいでやすこ 福音館書店)という絵本です。ハイキングに出かけた3匹のねずみが森の中で道に迷ってしまい、日もとっぷり暮れて霧も出てきたので、森の中で見つけた一軒の家にお邪魔することになりました。「とんとん、とめてくださいな。」とドアをノックしても中には誰もいません。疲れていたねずみたちは、その家で一晩泊めてもらうことにしました。ねずみたちがベッドにもぐりこんでいると、外から足音が聞こえて、「とんとん、とめてくださいな。」と声が聞こえ、そっとドアを開けて入ってきたのは、道に迷った2匹のうさぎでした。次に道に迷ってやってきたのは、3匹のきつね。そして最後に家に入ってきたのは、黒い大きな熊、みんなは震え上がりましたが、実はこの家の優しいくまおじさんでした。くまおじさんは、道に迷ったひとを助けるのが仕事。人でも動物でも見かけで判断してはいけないこと、また「とんとん、とめてくださいな」というリズムのある繰り返しの言葉が心地よい絵本でした。

視覚障害のある児童には、点字付きの絵本や立体絵本、触素材を使った絵本などがありますが、通常の絵本を使った読み聞かせも行っています。絵本の楽しさは、やはりそこに描かれた「絵」にありますが、文の表現も豊かで精練されていて、ひと言ひと言に深みがあります。文だけでも十分にストーリーが分かる絵本もありますが、最小限の文だけのもの、中には擬声語や擬態語のみで、「絵」だけで楽しめる本もあります。全盲の児童に絵本を読むときには、「絵」で描かれた情景や登場人物の表情などに説明を加えることがあります。少し説明があれば情景や表情などが思い描きやすくなり、想像力も広がります。しかし、「絵」を説明しすぎると文の流れや調子、音韻が止まってしまいます。その加減が難しい。読み手も繰り返し繰り返し子どもたちの前で経験を積むことで、子どもたちの表情や反応を楽しみながら、その技術を磨くことが求められます。

そのほか今日は、『おこる』(作・中川ひろたか、絵・長谷川義史 金の星社)、『ちくわのわーさん』(作・岡田よしたか ブロンズ新社)の2冊を読みました。さて、今日の子どもたちの反応は…。みんな耳をしっかり傾けてくれて、まだまだ力不足な私の読み聞かせを表情豊かに聞いてくれました。タイムリーな子どもたちの反応にときどき脱線しながらでしたが、子どもたちも楽しめたようでホッとしました。子どもたちの想像力、それは空想の世界かもしれませんが、無限に広がっていると思います。この想像の世界があるから、子どもたちはそこでいっぱい遊び、想像力を身につけ、心が豊かになっていきます。この経験が、大きくなって「生きる力」につながっていくのではないでしょうか。

しかし、それがだんだん年齢を重ねていくと、現実の世界でしなければならないことが増えて、想像の世界を楽しむ時間や余裕が減ってきます。いま、大人も含め、「想像力の低下」とか、「想像力の欠如」が言われています。大人こそ絵本を読んでみる、難しいことは考えず絵本の世界にどっぷりつかってみる、絵本の魅力を見直してほしいなあと思います。

今日の楽しいひと時をくれた子どもたちや担任の先生方に感謝です。ありがとうございました。

 

令和2年6月18日

香川県立盲学校長 田中 豊

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2020年6月11日 17時37分

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 <第1回学校評議員会を開催しました>

 

昨日、6月10日、今年度第1回目の学校評議員会を開催しました。学校が本格的に再開されてまだ2週間も経過していない状態でしたが、この年度末から年度初めにかけて、今まで経験したことがない「コロナ禍」に対する学校の様子もタイムリーにお伝えしたいと思い、年度当初の予定どおりの期日で実施しました。

本校の評議員さんは、視覚障害者福祉センターの館長さん、眼科医の先生、老人対象のデイサービスセンターで機能訓練指導員をされている本校理療科の卒業生の方、そして本校元校長の4名にお願いしており、当日は全員が出席されました。30分ほど授業参観をしてもらったあと、コロナ対策も含め、今年度の本校の重点的な取組等を説明しました。最後に、評議員の皆さんからご意見や感想を伺いました。

 

なかでも、本校卒業生の評議員さんの話が心に滲みました。「6年前に盲学校を卒業して(社会福祉法人が運営する)デイサービスセンターに就職した。あん摩マッサージが主な業務であるが、一日のうち、あん摩の仕事は6割。残りの4割は利用者の食事介護やバイタルチェックなど、あん摩以外の様々な仕事に取り組んでいる。就職して1年ほど経った頃、本部長から、期待以上の仕事をしてくれていると褒められた。やっぱり嬉しかった。周囲は一生懸命やっていれば必ず見てくれている、認めてくれる…。」当然、大もとにはご本人のあん摩技術の素晴らしさがあると思いますが、何気ない気配りやコミュニケーションの力が残り4割の仕事の中に生かされているからだろうと感得しました。あん摩・はり・きゅうの技術レベルを高め、国家試験に合格することが理療科の最終的な目標ですが、在学中に『仕事の本質』部分も身につけられるようにすることも、同じくらい大切だと気づかされました。

 

また、眼科医の評議員さんからは、「眼科医として患者さんに対しては、今まで福祉(サービス)につなげていくことが多かったが、盲学校の様子や取組を聞いて、教育を受けることによって社会貢献ができる、社会で輝くことができることがよく分かった。」との感想をいただきました。障害があってもそれぞれの個性や特性が認められ、そして大切にされる社会。その個性や特性を生かして働くことができる社会。障害があっても働けることで自分に自信をもち、自分のことが好きになる社会。「共生社会の実現を目指す」ことが言われて久しいですが、「選択と集中」という名のもとに、本当に必要なものが切り捨てられているような世流の中にあっては、その達成は遠い道のりであるようにも感じます。でもこの道をライフワークとして歩んでいる以上、自分の役割を再確認し、自己点検しながら地道にやっていくことが私の使命です。

 

そのほか、本校のセンター的役割についてもご意見をいただきました。本校は、在籍する幼児児童生徒だけでなく、県内の視覚に障害のある幼児児童生徒全員の教育に責任を持つ気概で、「見えにくさと学びの相談センター」を設置しています。主には視覚障害のある幼児児童生徒、その保護者、担任等だけでなく、成人への教育相談、児童生徒同士の交流の場の設定や関係機関も含めた研修会など、業務は多岐に亘っています。また、視覚障害(児者)に対する理解啓発活動も担っています。「相談センター」といっても、特別な部署がある訳でも別に職員が配置されている訳でもなく、本校の教職員全員が分担してその任に当たっています。

(*詳細は「視覚障害者支援センター」のバナーをクリックしてください。)

この「相談センター」も、本校が果たすべき重要な役割であり、盲学校の存在価値を高める活動です。「視覚障害のことなら盲学校に聞け」と言われるためにも、その専門性を担保できるよう研鑽を重ねていかなければなりません。111年の伝統に胡坐をかかず、緊張感をもって学校運営をする、そんな思いを新たにした一日でした。

 

令和2年6月11日

香川県立盲学校長 田中 豊

校長からみなさまへ

2020年6月8日 17時03分

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 <プール学習が始まりました>

 

高松気象台のホームページによりますと「四国地方は、5月31日ごろに梅雨入りしたとみられます。今年の梅雨入りは、平年(6月5日ごろ)と比べ5日早く、昨年(6月26日ごろ)と比べ、26日早い梅雨入りとなりました。」とのことで、5月31日は雨が降りましたが、それ以降は降雨もなく段々と気温も上がってきています。今週半ば水曜日あたりから曇りとなり週末にかけては雨模様になるようです。今日の職員室の温度計は28.4℃でしたが、風も心地よく、過ごしやすい一日でした。しかし外に出ると日差しは強く、真夏はそこまで来ている感じです。

 

本校では、今日から体育の授業で水泳(プール学習)を始めました。今年度の水泳の開始にあたっては、国や県の通知、ガイドライン等を基に実施の是非も含めて慎重に検討しました。授業でプールを利用する児童生徒の人数は多くて3、4人までであり、更衣も少し時間帯をずらしたり教室で着替えたりするなど密集・密接にも配慮することで、実施の判断をいたしました。課題は教員が水泳時に着用するマスクでしたが、体育主任が市販のプール用マスク(価格は10枚入りで何と29,800円)のネット画像を参考に手作りしてくれました。クリアファイルを切り抜いて、隆鼻が当たる部分にはスポンジでパッドもつけてくれており、水泳指導に係る教員の数だけ作成してくれました。できない理由をつけるのは簡単ですが、できるように努力や工夫をする姿勢は本当に素晴らしいと思います。児童生徒も1年ぶりの水の感覚を全身で楽しんでいるようでした。プールでの学習は思いのほか体力を使いますので、十分な健康観察を心がけ、無理のないよう取り組みたいと思います。また、水質の管理も含め、感染症に対する衛生管理も十分に取り組んでいきます。

 

さて、今日の6時間目に、小学部の児童が校長室を訪ねてくれました。ときどき昼休みに校長室に遊びに来てくれる児童ですが、私のことが大好きで来てくれると勝手に思い込んでいるのですが、実は校長室の入口ドアが好きで、ドアが閉まる「カチャン」という音や、ドアノブから伝わる感触を楽しみに、いつもドアを開けたり閉めたりして遊んでいます。でも今日は遊びではなく、小学部の図書係として、私に絵本の読み聞かせを依頼するためにやってきました。お願いする言葉を教室で何度か練習したようで、担任の先生もついてはいましたが、授業中であることも十分理解して、ドアで遊びたい気持ちも我慢しながら一人ではきはきと話をしてくれました。

絵本の読み聞かせについては、普段は高松市立図書館に登録している読み聞かせボランティアの方々に来ていただいています。しかし、今学期に限っては感染症のこともあり、外部の方の来校はできるだけ見合わせるということで、私に大役が回ってきました。

手渡された絵本は3冊、読むのは6月18日、まだ日にちがあるので、それまでしっかり読み込んで、小学部の子どもたちに感動を与えられるよう頑張ります。私も楽しみたいです。

 

令和2年6月8日
                                 香川県立盲学校長 田中 豊

校長からみなさまへ

2020年5月29日 17時02分

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 <臨時休業が終わり、いよいよ来週から通常授業です>

 

4月13日から始まった臨時休業日も、本日5月29日をもって終了、来週6月1日から通常の授業が再開されます。給食も開始し、寄宿舎の利用もできるようになります。7週間にわたる長い臨時休業でしたが、幼児児童生徒のみなさんも先生方も、ほとんどが体調を崩すことなく健康でこの期間を乗り切ってくれたことに、まず感謝いたします。この間、保護者のみなさまには、多大なるご苦労やご不便、ご心配をおかけしました。ご理解とご協力をいただきましたことに、あらためてお礼申し上げます。ありがとうございました。

学校は再開しますが、感染症対策には継続して取り組んでいきますので、これまでと全く変わらない学校生活を送ることは難しい状況です。学習活動にも制約が出てきますし、子どもたちが楽しみにしている行事なども実施できない場合があります。また、不足する授業時間を補うために7時間目の授業や課外の時間を増やしたりすることで、生徒のみなさんにもしんどい思いをさせることもあろうかと思います。お気づきになることがございましたら、どうぞ遠慮なくお声がけください。

 

さて、これからの生活全般に対して、「新しい生活様式」とか「新しい日常」という言葉が盛んに言われるようになりました。5月22日には県教委より「学校再開時の感染症予防対策ガイドライン」が示され、「学校から始める新しい生活様式」とサブテーマがついていました。この感染症とは長期間つき合っていくという前提のもと、そのリスクを低減するための3つの条件(換気の悪い密閉空間、多くの人が密集、近距離での会話や発声)が同時に重なるのを避けることを基本として、学校生活全般においてチェックすべき事項が書いてありました。このガイドラインを参考にしながら、気を引き締めて慎重に、工夫しながら学校運営に取り組んでいきたいと思います。

 

ガイドラインとともに、県教委から「学校生活からはじめよう 3つの‟思いやり“で感染予防」というポスターが送られてきました。「新しい生活様式」と言われると、何か押しつけられているような感覚を持つ人にも、‟思いやり“という優しい表現だと伝わりやすいのではないでしょうか。とてもいいポスターだと思います。QRコードもついています。早速、校内のあちらこちらに、こんな感じで貼らせてもらいました。

 

ではまた来週、幼児児童生徒のみなさんが、明るく元気に登校してくれることを心からお待ちしています。

 

令和2年5月29日               香川県立盲学校長 田中 豊

校長からみなさまへ

2020年5月15日 17時40分

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 <国の緊急事態宣言は解除、臨時休業は予定どおりです>

 

5月14日、特定警戒都道府県のうち5県も含め39県については国の緊急事態宣言が解除されました。それを受けて翌15日には本県でも対策会議が開かれ、学校の再開時期についても検討されたようですが、県立学校の臨時休業は予定どおり今月末まで継続となりました。

 

6月からの学校再開に向けての準備期間として、県教委より25日(月)から分散登校による授業可能との連絡がありましたが、本日、新たに21日(木)から段階的に授業を実施してもよいとする連絡がありました。本校の21日以降の予定については、5月8日付の保護者配布プリントのとおり(21日は臨時休業日、22日は午前中の登校日)とします。追ってお知らせすることとしておりました25日からは、終日の登校日を毎日設けることにしました。

本校は全校幼児児童生徒17名の学校です。各ホームルーム教室に在籍する児童生徒は多くて2名であり、密集ではありません。2名の教室内でも、児童生徒間、児童生徒教員間に2mの距離、いわゆるソーシャルディスタンスを確保することが可能です。窓を開けて密閉も回避し、心地よい薫風も感じながら授業ができます。できるだけ児童生徒と密接しないよう配慮して授業に取り組みます。しかし、視覚障害児者が移動するときには「手引き」が必要な時があり、「手引き」をするときには言葉かけが重要になります。全盲の生徒であっても校内で手引きをすることはほとんどありませんが、手引きをする場合には十分気をつけたいと思います。

臨時休業中の給食は提供できませんので、25日から29日の間は弁当を持参していただくようになります。弁当の持参が難しい児童生徒は、申し訳ありませんが午前中のみの登校とさせていただきます。寄宿舎については、舎食(朝食・夕食)が準備できず宿泊が難しいため、寄宿舎生は通学をお願いします。風邪症状や微熱があるとか、体調不良のときには無理せず自宅で静養してください。

感染症予防対策には徹底して取り組み、マスク着用や手洗いだけでなく、教室や学校備品の消毒なども全職員で協力して行い、気を緩めず、緊張感をもって幼児児童生徒を迎えたいと思います。校内から感染者を出さないことが第一ですが、万が一感染が出た場合でも、事後の対応を的確に行い感染を広げないことと、感染した人への偏見等が生じないよう暖かく配慮します。

 

この感染症は細心の注意を払っていても、誰もが感染する可能性があると言われています。恣意的な行動により感染してしまった人はさておき、感染したほとんどの人は、ウイルスが引き起こす病への恐怖とまさか自分がというショックを受けるだけでなく、どうしても自責の念を抱いてしまうのではないかと思います。そのような精神状態にもかかわらず、周囲から厳しくまた好奇の眼で見られると、ウイルスに打ち勝とうとする気力も萎えてしまいます。

医師であり作家である鎌田實さんが、いつぞやの新聞に「感染した人に厳しい社会は、感染症に弱い社会」と書いていました。確かに、用心に用心を重ねて感染していない人の側から見ると、感染した人はどこかに油断や隙がある人と映ってしまい、その人への見方は厳しくなる、そんな心理状態になるのも理解はできます。でも、頭の中でそういう考えが過ったとしても、大概の人は感染した人の心情を慮り、当事者意識をもつことで態度や行動に表わさないのが普通です。しかし、これだけ自粛の期間が長くなり、今まで普通にやってきたことができないというストレスが重なってくると、それに耐えられずに態度や行動に出してしまう。結果として感染者を排斥するような他人に厳しい社会、お互いに監視し合うような社会が出現する。この延長線上には、社会的に弱い立場にある人たちまで排除する社会がくるように思います。こうなると、鎌田實さんがいう「感染症に弱い社会」が現実のものになってしまいます。これは絶対に避けなければなりません。

 

人間はまず自分中心に物事を思考します。これは当たり前です。自分が心地いい状態、幸せだと思わなければ他人(ひと)のことなど考えられませんし、ましてや他人を幸せにすることもできません。でも、その他人が自分の大切な他人だったらどうでしょう。また、その大切な他人にとっての大切な他人だったらどうでしょう。そう考えることができれば、きっと他人の幸せも少しずつ考えられ、他人にも優しくできると思います。大切な他人が喜ぶ顔を見て、自分も嬉しいと感じない人はいないはずです。

この感染症を機に、「感染症に弱い社会」ではなく、他人に優しく誰もが取り残されない新たな「感染症にも強い社会」をつくりたい。そのために少しでも力を尽くしたいと思います。

 

令和2年5月15日

 

香川県立盲学校長 田中 豊

校長からみなさまへ

2020年5月8日 14時43分

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<緊急事態宣言が延長されて>

 

 今日は令和2年度PTA総会がありました。臨時休業中でしたが現PTA会長のお子さまも卒業され、会長交代の時期でもありましたし、新年度予算の承認等も必要でしたので、ご心配や不安もあったようですが、登校日に合わせて開催しました。欠席の方には委任状もいただきました。総会では新会長さんや各役員さんも承認され、議事についても無事に審議を終えることができました。予定した時間より少し伸びましたが、審議にご協力いただきありがとうございました。

 さて、5月4日、総理大臣より全国の緊急事態宣言を延長するとの会見がありました。時期としては今月末までということで、それを受け、5日に本県でも対策本部会議が開かれ、県立学校は全て5月末まで臨時休業が延長することとなりました。1週間前の総理大臣の発言である程度予想はしていましたが、6月から本格的に再開するとして、学校もその後の予定を組み直さなければなりません。すでに、生徒等が関係する以下の文化的行事や対外のスポーツ大会が中止になっています。(年度は省略)

 ◆中国・四国地区盲学校弁論大会徳島大会(6月4日・5日)

 ◆中国・四国地区盲学校体育大会山口大会(6月26日・27日)

 ◆全国盲学校フロアバレー大会兵庫大会(8月18日~20日)

 ◆全国盲学校弁論大会岐阜大会(10月2日)

 ◆科学へジャンプinひろしま(11月22日)

 中国・四国地区の大会は、他県からの参加生徒に顔見知りも多く、また出会えることを楽しみにしていた生徒のみなさんにとって、大変残念な思いもあるでしょう。特に高等部3年生は、すべてが学生最後の大会です。中国・四国地区の大会については、何とか開催できないものかと各盲学校長同士で検討もしましたが、難しいとの最終判断に至りました。イメージしていた盲学校生活最後の一年への期待に応えられなくて、本当に申し訳なく思っています。加えて、大学受験に向けての学習や事業所等への就労に向けた学習に対しても、大きな不安を抱いているものと思います。校内でも各教科等の授業確保のために学校行事も見直さざるをえませんが、生徒のみなさんの意見も聞いて考えたいと思います。また、夏季休業日については期間を短縮し、7月末まで1学期を延長するとともに、8月24日から2学期を開始する予定にしています。

 話は前後しますが、29日までの臨時休業中にも各担任より学習課題をお渡ししますので、児童生徒のみなさんは、生活リズムを崩さないようしっかり取り組んでください。5月25日以降については、18日の県内の感染状況等にもよりますが、分散登校による授業が可能という連絡もありましたので、本校では、少人数の良さを生かして授業が開始できるよう調整中です。来週中には、生徒・保護者のみなさまにお知らせできると考えています。

 この新型コロナウイルスに対しては、政府の専門家会議から「新しい生活様式」という提言がなされています。今後もこの感染症と向き合いながら生活していかなければならないという意味で、「新しい」という表現をもって私たちの生活を変えるべきであるとの内容です。具体的に取り組むべきことの詳細は、厚生労働省のホームページや新型コロナウイルスに関する特設サイト等をご覧いただければいいのですが、何かしっくりこない感じもします。

 日常生活の中で気をつけることの一つに「身体的距離の確保」と示されていますが、仕事に関していうと身体的距離の確保が難しい職業がたくさんあり、その最たるものがあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師です。業界ではこれの頭文字をとって「あはき師」とも表現します。そのほか、「師」のつく職業、例えば医師、看護師、助産師、保健師、理容師、美容師などは、対象となる人々に直接触れることで成り立つ職業です。提言では、正面からの接近した会話なども控えるよう示されています。「あはき師」を考えた場合、患者に触れるだけでなく患者と会話しながら身体の状態を把握し、最適な施術を試みます。また提言の最後には、業種ごとの「感染防止ガイドライン」を作成することが求められていますが、身体に触れる職業そのものに対する偏見やそれを忌避する雰囲気につながらないか心配です。現在、「あはき師」を正業としている多くの卒業生や、いま理療科で「あはき師」をめざしている在校生にとって、希望の持てる「新しい」生活様式を私たち自身も考えていかなければなりません。コロナ禍の収束に向けて、専門家からの提言を守って生活するべきだとは思います。しかし、そういった人からの指示を待って思考を停止させるのではなく、それを受けて、自分はどう考えるのか、当事者意識をもって行動することが大切ではないでしょうか。

 教師も「師」のつく職業です。遠隔授業も新たな発見があったりして今後も展開していくべきだと思いますが、身体的距離は確保しながらも正面で向き合って伝え合う、お互いの熱気も感じながらぶつかり合って授業をすることに教師としての醍醐味がある、私はそう思っています。

 まだしばらく自粛する日々が続きますが、再開後の学校生活を思い描いて、準備しておきます。

 

令和2年5月8日

 

香川県立盲学校長  田中 豊

 

 

 

校長からみなさまへ

2020年5月1日 14時14分

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 <臨時休業中の登校日を実施して>

 

臨時休業期間が5月8日まで延長になっていますが、学校の状況に合わせて登校日を設定してもよいということで、本校は5月1日と8日に、午前中だけですが登校日を設けることとしました。

先生方の勤務も4月20日から臨時休業中の在宅勤務が始まり、寄宿舎の先生方も含め3グループに分け、1グループずつ出勤することとなりました。

今日5月1日は、幼児児童生徒17名のうち11名が登校してくれました。先生方も全員出勤し、学校も明るい雰囲気となり普段の様子を取り戻したようです。

今回の感染症に係る県内の状況は、4月20日に2名の感染者が報告されて以降踏みとどまっています。油断は禁物ですが、感染阻止への県民意識が高いことや協力する姿勢、行動が功を奏しているのではないかと考えられます。首都圏の感染者も、やや減少傾向にあるように思いますが、昨夕の総理大臣の会見では「全国緊急事態宣言」を延長する方向で検討との発言があり、いつになったら学校が再開できるか正直不安です。

いま、学校という場で学ぶことができない状況に対して、本校では高等部普通科の一部生徒について、オンラインでやり取りができるアプリを活用して一部の教科ではありますが遠隔授業や補習に取り組んでいます。この難局に対して、やれない(やらない)理由を探すのは簡単ですが、可能な方法を探しチャレンジする先生方がいることは、たいへん頼もしく嬉しいことです。ただし、生徒の自宅にインターネット環境があり、生徒自身が情報リテラシー(情報を扱うモラル)をもってパソコンやタブレット端末を扱えるという前提が必要です。また本校では、弱視の児童生徒のために開発されたUDブラウザというタブレット端末用のアプリを使って、教科書の中身を各児童生徒が持つタブレット端末にPDF版拡大教科書(デジタル教科書)としてインストールしています。こういった環境も、遠隔授業を推進する要件となっています。このUDブラウザを使うと、インストールしている教科書を自分が見やすいサイズに拡大したり、読み上げてくれたり、白黒反転させたり、書き込んで保存したり、しおりをつけたり…と普通の教科書ではできないことが可能で、現在もその研究開発が続けられています。

(※UDブラウザの詳細については、本校にお問い合わせください。)

今日は児童生徒だけでなく、先生方にも笑顔があふれ、とても生き生きとした表情を見ることができた嬉しい一日でした。これからも、現場の先生方が頑張っていることをお伝えできたらなあと思っています。

 

令和2年5月1日

香川県立盲学校長 田中 豊

校長からみなさまへ

2020年4月20日 14時12分

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 <臨時休業の延長について>

幼児児童生徒・保護者のみなさまへ

4月20日(月)、県教委より臨時休業期間延長の通知がありました。4月24日までとなっていた臨時休業の予定が、5月8日(金)まで延長となりました。何とか2週間で臨時休業が終わり、幼児児童生徒の明るい笑顔と元気な声が戻ってきてほしいと祈っていましたが、願いはかないませんでした。この社会情勢から判断すると仕方がないと言えばそれまでですが、やはり残念でやりきれない気持ちです。

本県の状況については、皆さまもよくご存じとは思いますが、感染の拡がりが下火に向かうといった感じはありません。新型コロナウイルスの正体がよく分からないことに加え、感染経路が不明である事例が多くなっていることが、不安への拍車をかけているように思います。

人は不安になるとストレスを感じ、またストレスを感じると不安になり、その不安やストレスを何かの形で解消しようと自己防衛本能が働くといわれています。これが過剰になると、自分を守るためという名目で相手への思いやりの心が薄れてしまい、自分勝手な行動をしたり、周囲の人を非難し攻撃したりすることで、不安やストレスから逃れようとします。いま命を懸けて仕事をしている医療関係者の子どもたちが誤った偏見をもたれ、差別的な言動を受けていることなどが報じられていますが、これはまさにその典型ではないでしょうか。自分の心にそのような思いがないか、そのような行動をとっていないか、私自身も自己点検をしなければと思っています。

4月14日の朝日新聞朝刊に、絵本作家の五味太郎さんが『休校はチャンスだぞ』という標題で、新型コロナウイルスで休校になっている子どもたちへのメッセージが寄稿されていました。そのなかで、このようなことが書かれていました。

「心っていう漢字って、パラパラしてていいと思わない?先人の感性はキュートだな。心は乱れて当たり前。常に揺れ動いて変わる。不安定だからこそよく考える。もっと言えば、不安とか不安定こそが生きていることじゃないかな。」

なるほど、と思いました。とは言え、いまはこれまで経験したことがない不安や不安定を感じている状況です。でもこの状況だから気づくこと、考えること、今までの枠組みに対して別の角度から焦点を当ててみること、そして、いま一度自分を見つめ直してみること。自宅に居てもできることはたくさんあります。どうぞ十分に体調を管理していただき、5月1日の登校日にお会いできればうれしいです。

 

令和2年4月20日

香川県立盲学校長 田中 豊