校長からみなさまへ

校長からみなさまへ

2020年6月11日 17時37分

香川県立盲学校のWebサイト(ホームページ)をご覧いただき、ありがとうございます。

 

 <第1回学校評議員会を開催しました>

 

昨日、6月10日、今年度第1回目の学校評議員会を開催しました。学校が本格的に再開されてまだ2週間も経過していない状態でしたが、この年度末から年度初めにかけて、今まで経験したことがない「コロナ禍」に対する学校の様子もタイムリーにお伝えしたいと思い、年度当初の予定どおりの期日で実施しました。

本校の評議員さんは、視覚障害者福祉センターの館長さん、眼科医の先生、老人対象のデイサービスセンターで機能訓練指導員をされている本校理療科の卒業生の方、そして本校元校長の4名にお願いしており、当日は全員が出席されました。30分ほど授業参観をしてもらったあと、コロナ対策も含め、今年度の本校の重点的な取組等を説明しました。最後に、評議員の皆さんからご意見や感想を伺いました。

 

なかでも、本校卒業生の評議員さんの話が心に滲みました。「6年前に盲学校を卒業して(社会福祉法人が運営する)デイサービスセンターに就職した。あん摩マッサージが主な業務であるが、一日のうち、あん摩の仕事は6割。残りの4割は利用者の食事介護やバイタルチェックなど、あん摩以外の様々な仕事に取り組んでいる。就職して1年ほど経った頃、本部長から、期待以上の仕事をしてくれていると褒められた。やっぱり嬉しかった。周囲は一生懸命やっていれば必ず見てくれている、認めてくれる…。」当然、大もとにはご本人のあん摩技術の素晴らしさがあると思いますが、何気ない気配りやコミュニケーションの力が残り4割の仕事の中に生かされているからだろうと感得しました。あん摩・はり・きゅうの技術レベルを高め、国家試験に合格することが理療科の最終的な目標ですが、在学中に『仕事の本質』部分も身につけられるようにすることも、同じくらい大切だと気づかされました。

 

また、眼科医の評議員さんからは、「眼科医として患者さんに対しては、今まで福祉(サービス)につなげていくことが多かったが、盲学校の様子や取組を聞いて、教育を受けることによって社会貢献ができる、社会で輝くことができることがよく分かった。」との感想をいただきました。障害があってもそれぞれの個性や特性が認められ、そして大切にされる社会。その個性や特性を生かして働くことができる社会。障害があっても働けることで自分に自信をもち、自分のことが好きになる社会。「共生社会の実現を目指す」ことが言われて久しいですが、「選択と集中」という名のもとに、本当に必要なものが切り捨てられているような世流の中にあっては、その達成は遠い道のりであるようにも感じます。でもこの道をライフワークとして歩んでいる以上、自分の役割を再確認し、自己点検しながら地道にやっていくことが私の使命です。

 

そのほか、本校のセンター的役割についてもご意見をいただきました。本校は、在籍する幼児児童生徒だけでなく、県内の視覚に障害のある幼児児童生徒全員の教育に責任を持つ気概で、「見えにくさと学びの相談センター」を設置しています。主には視覚障害のある幼児児童生徒、その保護者、担任等だけでなく、成人への教育相談、児童生徒同士の交流の場の設定や関係機関も含めた研修会など、業務は多岐に亘っています。また、視覚障害(児者)に対する理解啓発活動も担っています。「相談センター」といっても、特別な部署がある訳でも別に職員が配置されている訳でもなく、本校の教職員全員が分担してその任に当たっています。

(*詳細は「視覚障害者支援センター」のバナーをクリックしてください。)

この「相談センター」も、本校が果たすべき重要な役割であり、盲学校の存在価値を高める活動です。「視覚障害のことなら盲学校に聞け」と言われるためにも、その専門性を担保できるよう研鑽を重ねていかなければなりません。111年の伝統に胡坐をかかず、緊張感をもって学校運営をする、そんな思いを新たにした一日でした。

 

令和2年6月11日

香川県立盲学校長 田中 豊