本校には、あん摩マッサージ指圧師の国家試験受験資格が得られる保健理療科とあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家試験受験資格が得られる専攻科理療科があります。私は、高校の生物が専門なので、ある程度学習内容が分かるだろうと思って、先日、国家試験過去問題集を理療科の教諭から借りて見ました。一番分かることが多いのが生理学、その次に解剖学か衛生学に分かることが少しあるくらいで、東洋医学に関することは全く分かりませんし、その他の病理学や臨床医学、リハビリテーション医学などもほとんどが知らないことばかりで、全体の数十分の一くらいしか分かることがなかったのでショックを受けました。あらためて、専門的で高度な内容を学習しているのだなと実感しました。大学の医学部で学習するような内容がたくさん含まれていると思います。このように難しい内容を学習しているため、本校では国家試験合格に向けて、高校の進学校と同じように校外模擬試験や課外も行っています。他の特別支援学校にはない視覚支援学校の特徴の一つです。
12月2日(月)西日本放送の方が本校に来られ、公益財団法人日本テレビ小鳩文化事業団制作の点字カレンダーを、本校中学部の二人の生徒が代表していただきました。この時のようすは、当日18時過ぎからのニュースで放送されました。毎年いただいているカレンダーは、各教室に掲示したり、自宅に持ち帰らせて活用しています。2024年のカレンダーのテーマは、「動物たちの四季」です。動物は、見えない・見えにくい人も鳴き声や触れた経験があることなどから想像がしやすいと思います。2025年のカレンダーのテーマは、「風景を感じる」です。受け取った生徒は、1月の写真について「みほのまつばら」とタイトルを読めましたが、荒波の奥に松原があり、遠くに雪をまとった富士山がある三保の松原の風景を、晴眼者と同じように奥行きや広がり、波の動き等を正確に認識することは困難です。少しでもこの風景を認識できるように、今回は、各月の風景写真を説明する点字の解説文もいただきました。子どもたちには様々な生活経験を積んで、文章や自然の音などからさまざまな風景の素晴らしさを、感じるようになってほしいと思います。
先日、本校生徒と教員が学校から高松市の中心部に向かって30分程度歩く機会があり、白杖歩行の練習を始めている生徒の後ろを歩きました。視覚障害者にとって不便であったり、危険だと思うことがたくさんありました。①大半の歩道に点字ブロックがなく、白杖だけで道を確かめなければならない。②交差点の音声信号もほとんどない。③交差点によって、交差点の角からどのくらい離れて横断歩道があるかが異なり、横断歩道の位置が分かりにくい。④歩道に所々ある電柱や植込みの樹木も障害物になる。⑤走る車が少ないと静かなために車道が分かりにくくかえって危ない。⑥スマホの画面を見ている状態で前から歩いてくる人がいる。などなど。教員が横について歩いており、指示を出したり体を引き寄せたりして危険なことはなかったのですが、白杖を頼りに一人で歩けるようになるためにはかなりトレーニングが必要ですし、白杖を使いこなせるようになってからも、視覚障害者にとっては、道路をただ歩くだけでも危険なことがたくさんあるのが現実なんだとあらためて実感しました。
本校では、全校読書月間の取組みとして「絵本コラボ給食」というものを実施しています。これは給食の食材が出てくる内容の絵本の読み聞かせを、給食の時間に行い、絵本に登場する食材を食べることで内容をイメージしやすくし、絵本を読んでみたいという気持ちを高めることなどをねらいとしています。(今年の8月にあった全国学校図書館研究大会高松大会で、本校職員が紹介した取組みの一つです。)11月7日(木)に「いもさいばん」、11月18日(月)に「ミルクこぼしちゃだめよ!」の読み聞かせを行いました。18日は、読み聞かせを専攻科の生徒が中心になって行い、生徒の表現の場にもなっていました。「いもさいばん」は、人と野生動物の共生について考えさせられる内容で、これまで絵本と疎遠だった私は、「大きなテーマをこんなに優しい表現で考えさせることができるのか」と絵本の力にも感心しました。絵本は幼児のためだけにあるのではないんですね。
6月に高知県で行われた、中国・四国地区盲学校弁論大会で優勝した本校高等部の生徒が、10月4日(金)に茨城県水戸市で開催された第92回全国盲学校弁論大会に出場しました。入院したときの経験から自分の心と向き合うようになって、夢を抱いていく過程を、自分の言葉で力強く表現し、見事に準優勝しました。そのときの弁論大会のようすや本校での学習のようすなどが、他の受賞者のものと一緒に、11月19日(火)20時00分~20時30分にNHKのEテレ(教育テレビ)の「ハートネットTV」で放送されます。(再放送は、11月27日 0時30分~1時00分)私は、大会前の校内の壮行会で弁論を聞きましたが、胸が熱くなりました。なお、この生徒は、7月に香川県の代表として、別の内容で出場した全国高等学校総合文化祭の弁論部門でも全国入賞をしています。さらっと書きましたが、とてもすごいことです。先生方もいい刺激を受けています。ご都合のつく方は、ハートネットTVを見ていただき、他の出場者のことも含めて、視覚に障害のある生徒の思いや取組み等について理解していただきたいと思います。
11月2日(土)「新創世記 光輝く愛(Eye)が始まる ~みんなでつくろう わたしたちの最高の文化祭~」というテーマで、文化祭を開催しました。体育館行事としては、音楽部のサックス演奏、中学部の劇、小学部・中学部・高等部普通科の音楽発表(楽器演奏や歌)、幼小学部の学校生活紹介動画、高等部普通科の劇(頑張ったことの発表を含む)を行いました。体育館行事後は、ゲームやおみくじ、作業学習製品や野菜の販売、クイックマッサージ、作品展示、サウンドテーブルテニスの体験などを行いました。閉会前には専攻科によるバンドの演奏があり、最後は生徒と教員(私も参加)が「365日の紙飛行機」を歌って締めくくりました。来校された方からは、「とても感動した。」、「子どもたち一人ひとりが頑張っているようすがわかった。」、「先生方が一人ひとりを大切に思って、教えていることがわかった。」などの感想をいただきました。幼児・児童・生徒全員がそれぞれ主役となる機会があり、それぞれが光り輝いて見え、愛に満ちた最高の文化祭に私も感動しました。いい学校に配属になって良かったなあとしみじみ思いました。
10月26日(土)~28日(月)にかけて、佐賀県で開催されていた全国障害者スポーツ大会のグランドソフトボールに、本校の生徒・教員8人が、選手・監督・スタッフとして参加していました。チームは、視覚障害のある本校卒業生と現役生徒及び教員から編成されています。5月に四国大会で優勝し、6月に中国地区代表の岡山県のチームに勝利し、中国・四国地区代表として今回の大会に出場しました。1回戦は、東海地区代表の三重県チームと対戦し、2対2の同点で、抽選により2回戦に進みました。2回戦は、九州地区代表の福岡県チームと対戦し、0対8で負けました。この福岡県チームが優勝しています。3位決定戦で開催地区の佐賀県チームに10対2の大差で勝利し、3位に入賞することができました。昨日、生徒が首に銅メダルをかけて、監督らと一緒に結果を報告に来てくれました。今後も競技力向上を目標に、社会人と一緒に練習に取り組んで、友情を深めたり、スポーツを純粋に楽しんでほしいと思います。また、より多くの人から障害者スポーツが注目されるようになってほしいと願っています。
ベルマーク運動の話が先日の本校PTA役員会で出ました。ベルマークといえば、自分が小学生低学年のころ、母親が家でお菓子の包み紙から切り出していたのを、おぼろげに思い出しました。ベルマーク教育助成財団のホームページを見ますと、ベルマーク運動は「すべての子どもに等しく、豊かな環境のなかで教育を受けさせたい」との願いのもと、1960年に始まったようです。食品や日用品等についているベルマークには、0.5点~数点の点数が書かれてあります。1点が1円に換算されて、ベルマーク預金になります。その預金を活用して、学校に必要な教材等を協力会社から購入できる仕組みです。本校では、昨年度のPTAの活動で集めたベルマークで、高さが低い平均台を購入しました。目が見えない・見えにくい子どもにとっては、少しの高さでも恐怖感があるため、高さの低い平均台を使って、体のバランスをとる練習をしています。ベルマーク運動に関わってくださっているPTAの皆さん、協力会社の皆さんに感謝しています。
参考:ベルマーク教育助成財団ホームページ
昨日の10月17日(木)と18日(金)に、サンポートホール高松において、「令和6年度全国盲学校長会 秋季研究協議会香川大会が開催されました。今回のテーマは、「これからの社会に求められる盲学校のあり方を考える」です。(香川県では、盲学校から視覚支援学校に学校名が変更されましたが、全国的には盲学校とついた学校も多く、今回の大会中も盲学校という表現は普通に使われています。)全国から60人の校長先生が参加してくださり、グループに分かれて、理療科をより魅力的にするためにはどうしたらいいかや、地域の小中学校や高校等に通う視覚に障害のある子どもたちをどのように支援すればいいかなどの様々な問題について議論をしたり、視覚障害教育を専門とした文部科学省の調査官や大学の先生から、視覚障害教育を取り巻く最近の状況や、先生方を一つにまとめるチーム作り等についての講話を聞きました。また、他県の校長先生から聞いた各校の話も参考になるものが多く、有意義な大会になりました。これまで、多大なエネルギーを投じて準備をしてきましたので、閉会式後、皆さんから満足された笑顔で大きな拍手をいただいたときには、涙が出そうになりました。
全て、校長の団体の略称です。年度当初は聞いても何の団体かすぐには分かりませんでした。香特長:香川県特別支援学校長会。中四盲長:中国・四国地区盲学校長会。全特長:全国特別支援学校長会。全知長:全国特別支援学校知的障害教育校長会。全盲長:全国盲学校長会。いずれの団体も定期的に会員(校長)が集まって総会を開いたり、研究会を開いたりしています。今年度は、全知長の研究大会が8月に香川で開催されました。本校は知的障害教育の学校ではないため、私は会員ではありませんが、大きな大会であるため運営の補助に行きました。そして、何と全国盲学校長会の研究協議大会も、今年度香川県で、来週の17日(木)と18日(金)に開催されます。初任の校長でかつ視覚障害教育に関わるのも今年度からという初心者の私が、いきなり最初の年に大きな仕事に巡り合いました。せっかく香川に来てくださる校長先生の皆さんに「良かった」と思っていただける研究協議会になるよう、他の人に少し助けてもらいながら、大半の準備を一人でがんばっています。
今日は、公益財団法人日本テレビ小鳩文化事業団主催のスクールコンサートが、本校体育館で行われました。誰しも知っているCMの音楽を演奏したり、有名なバンドのレコーディングをされている一流のプロの演奏家や歌手の方が来てくださいました。映画音楽やジャズ、アイドルの曲等幅広いジャンルの音楽を演奏してくださり、参加した生徒・保護者・教員は一流の演奏を楽しみました。Adoの新時代とAKB48の365日の紙飛行機は、本校の生徒と教員も演奏や歌に参加し、生徒、教員の普段見れない側面を見ることができました。みなさんいい刺激を受けたようで、理屈抜きで音楽には人を元気づけたり、感動させたりする力があるなと改めて感じました。本校のような生徒数の少ない学校で、プロの演奏家を自力で呼ぶのは難しいため、このような事業に取り組まれている団体があることは大変ありがたいです。
特別支援学校に今年度初めて勤務した私にとっては給食がとても新鮮で、栄養面がよく考えられた普段食べないような様々な料理をおいしく食べることができ、とてもありがたく思っています。校長である私は、他の人よりも早めに給食を食べています。「検食」のためです。「異物の混入がないか」「加熱調理は適切か」「異味、異臭その他異常はないか」という項目に加えて、「食品の量が適切か」「味付け、香り、色彩並びに形態等が適切か」や「児童生徒の嗜好との関連は配慮されているか」等をチェックしています。今まで大きな問題もなく、ありがたいと感謝して食べている私に対して、調理員の方から「(検食を)ありがとうございます」と言われます。作ってもらったものを食べてお礼を言われるのは、なんとも不思議な感じです。
本日、9月22日(日)科学へジャンプというイベントを本校を会場に実施しました。科学へジャンプは、視覚に障害のある生徒の理系離れを防ごうと、科学に関する実験や実習を通して興味関心を高めることなどをねらいとし、2008年に宿泊を伴う活動が東京で実施されたのが始まりです。現在は全国のいくつかの地域で日帰り形式の地方版科学へジャンプも行われています。今日は、中国・四国地区の盲学校や弱視学級等に通う児童、生徒や保護者が参加してくれました。中四国の盲学校の教員の他、広島大学総合博物館の学芸員の方や県内の企業の方にワークショップの指導をしていただきました。液体窒素を使った実験や化石に触れるなどのワークショップでは、「おもしろい!」など、時折子どもたちの大きな歓声が聞こえてきました。参加された児童、生徒の皆さんには、科学への興味関心が今後も継続することを期待します。
音訳とは、視覚に障害のある方のために、墨字(活字)で書かれている本や広報誌などの内容を読んで音声に変えることで、多くのボランティアの方が関わっています。本日、公益財団法人鉄道弘済会四国支部主催の「朗読録音奉仕者感謝の集い」に出席してきました。四国地区で長年に渡って音訳ボランティアに携わってこられた方13名が表彰されました。全盲の視覚障害者の方のためには点字図書もありますが、大人になってから視覚を失った人にとっては点字の習得は難しく、音声図書はとてもありがたいようです。受賞者代表の挨拶に、やがてはAIの音声が普及し、私たちボランティアが必要なくなるかもしれませんとの話がありました。最近は、ニュースの読み上げもAI音声のものが使われています。視覚障害者の方にとっては情報を得やすくなるのかもしれませんが、「少しでも人のためになれば」と思う機会がAIに置き換わっていく未来の社会はどうなるのでしょうか。思いやりのあふれる社会であってほしいものです。