校長からみなさまへ

愛の反対は無関心

2025年2月18日 13時20分

 昨日、高松ライオンズクラブの主催による「ハートフルコンサート」が本校の音楽室で行われました。歌謡曲やアニメソング等のピアノ演奏と歌を披露していただきました。「春よ、来い」を本校の生徒と合同で演奏したり、最後の曲「カイト」は、高松ライオンズクラブのみなさんや本校職員も加わり全員が一緒になって歌いました。音楽には、「心を一つにする力がある」と改めて感じました。コンサートの前にライオンズクラブについて調べていたところ、マザーテレサさんの「愛の反対は憎しみではなく、無関心である。」という言葉に出会いました。今回のコンサートは、コロナ禍を経て久しぶりの開催となりました。このように社会奉仕活動をされている民間団体の方から本校の生徒だけではなく、視覚に障害のある人々に関心をもってもらえていることに感謝しています。

読む点字と書く点字

2025年2月14日 15時00分

 点字は、6個の凸点の組み合わせによって表現されています。一つの凸点の直径は、約1.4mmで、点の配置や点と点との間隔は、右図のようになっています。各点の位置を示す番号もあります。右図は、ちょうど10倍の大きさになるように、私がパソコンを使って描いたものを縮小して表示しています。私は、実際の点字を指先で触っても、小さくて違いが分からず、読み取ることはできません。

 「アイウエオ」は、下図のようになります。「カ」は、「ア」の点字に、カ行を示す⑥の点が加わります。「ス」は、「ウ」の点字にサ行を示す⑤と⑥の点が加わります。この規則に当てはまらない「ヲ」と「ン」も示しました。

点字基本
点字あいうえお区切り有  このような規則性があるので、自分にも覚えられそうと思いましたか?実はそんなに単純ではありません。今回ここでは示しませんが、「ガ」のような濁音、「パ」のような半濁音、「キャ」のような拗音は、それぞれ2マスを使います。さらに数字やアルファベットに、「。」「、」「?」「!」「÷」「<」「∫(積分)」「⤴」「♪」「♭」等にも点字があります。数学や音楽も勉強しますので、学習に必要な記号には点字があります。

 

 点字は、凸点を指先で触って読みますが、学校でノートをとるときなどは、点筆を紙に押し付けて、へこみを作って書いていきます。読むのは凸点、書くのはへこみです。右から書いていったノートを裏返して、左から読むのです。ここで気が付いた人はいますか? そう、読む点字と書く点字は、左右反転しているのです!! 点字の習得には、かなりの時間とトレーニングが必要であることが分かります。

点字のノート

2025年2月4日 14時00分

 視覚障害者の多くは見えにくい「弱視」の人で、全く見えず、点字の読み・書きをしている「全盲」の人は少ないです。今年度本校では、点字の読み・書きの勉強をしている生徒はいますが、点字でノートをとっている児童・生徒はいません。先日、他県の視覚支援学校の授業を見る機会があり、そこで、点筆(紙に金属棒を押し付けて小さなくぼみをつくる点字を書く道具)を使って、点字でノートをとっている中学生を見ました。「ダダダダダダ…」と、一瞬も止まることなく、点字を高速で書く姿に驚きました。また、点字で書いた内容を教員が目で読み取り、授業を展開していました。「点字を介して学ぶ、点字を介して授業をする」とは、こういうことかと、2月になってこんなことを実感するのは、校長として恥ずかしい限りですが、見ることができて良かったです。点字で学んでいる児童・生徒には、教科書以外のドリル学習教材などの副教材、テスト問題、通知表等を、その学校の教員が点字で作らなければなりません。時間と労力がとてつもなくかかりそうなことが容易に想像できます。

「ピヨ」「カッコー」

2025年1月30日 13時50分

 みなさんは、音の出る信号機の音といえば、「ピヨ」と「カッコー」の2種類あるのを知っていると思います。正確には、「ピヨ」と「ピヨピヨ」、「カッコー」と「カカッコー」それぞれが組になっています。これらの音と方角は特に関係がなかったのですが、今後、方角と関係を持たせるように高松市と丸亀市の信号機11か所を改良していくようです。本校には、昨年11月にこの情報が届いていましたが、本日の地方新聞にその記事が載っていました。北の信号機からは「ピヨ」、南から「ピヨピヨ」、西から「カッコー」、東から「カカッコー」と鳴るようです。このような信号機が増えますと、視覚に障害のある方は進んでいる方角が分かり、より安心できると思います。みなさんには、このような音の違いがあることを確認していただくとともに、交差点で困っている人がいれば声をかけてください。

賢いなあ

2025年1月24日 13時30分

 これまで盲導犬のお仕事ぶりを何度も見ました。5月には、盲目のアーティストが大音量で歌っていても、じっと足元で寝そべって待っていて、歌い終わって挨拶が終わった瞬間、終わることが分かっているかのようにすぐに立ち上がりました。先週末には、本校同窓会の新年会がありましたが、美味しい食事が出てきても、じっとテーブルの下でおとなしくしています。これならレストランに入っても迷惑をかけないなと思いました。盲導犬ユーザーの方が前で挨拶をしているときは、足元で伏せてじっと待っていて、挨拶が終わると、やはり終わったことが分かっているかのようにすぐに立ち上がりました。「賢いなあ」と思いました。かわいいのでつい頭をなでたくなりますが、なでたり、食べ物を与えたり、声をかけたりしないのがマナーです。みなさんも街中で盲導犬を見かけたら、そっと温かく見守ってください。

愛盲シール

2025年1月16日 14時30分

 「愛盲シール」というものを知っていますか? 大きさは切手くらいです。

 愛盲シールを製作されている社会福祉法人日本盲人福祉委員会のホームページによりますと、視覚障害者の福祉及び教育に関係する団体の連絡調整と国際交流を目的として設立された日本盲人福祉委員会が、資金不足のため活動が十分にできず、シールを活用した募金を1958年から始められたようです。このシールは募金活動のシンボルですので、共同募金の赤い羽根のような存在でもあると思います。愛盲シール運動等で集まった寄付は、視覚障害者や支援者の団体に配分され、点字や録音資料の発行、スポーツ・芸術文化活動、会議や研修会の実施、視覚障害関連の調査研究、備品購入等に使われているようです。今期の愛盲シールは、アネモネやアイリスの花、シマエナガ(小鳥)、サンタクロースの4種類です。興味をもってくださった方は、日本盲人福祉委員会のホームページをご覧ください。

参考:日本盲人福祉委員会ホームページ、愛盲シール広報資料

後で気づく

2025年1月10日 10時00分

 1月8日(水)に始業式を行いました。始業式では、校長の講話がありますが、本校には幼稚部の幼児から高等部専攻科の成人の生徒まで年齢層が幅広く、話す内容を考えたり、できるだけ平易な表現で短くまとめることに苦心しています。今回は、スティーブ・ジョブズさんが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの内容のうち「点と点をつなげる」をテーマに話しました。いずれ役に立つとは考えもしなかった「美しい文字」について学んだ知識が、10年後のパソコン開発に役立ったということを簡単に説明し、「今、学んでいることや体験していることが何の役に立つか分からなくても、後で役立っていたと気づくこともあると信じて、色々なことに挑戦してほしい。」というメッセージを送りました。この内容は、私も共感することが多く、中高生のときに辛かったことや教員になってから経験した、授業の指導力とは直接関係のないような経験等も、今の自分が作られるのに役立っていたのだと40代になって以降よく思うようになりました。

腕の動きが軽い!

2024年12月25日 14時30分

 12月23日(月)校内理療実習がありました。これは本校で、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家試験合格を目指して学習している、保健理療科と専攻科理療科の生徒が、教職員を対象にあん摩の施術を行い、専門の教員から助言を受け、更なる技術の向上を目指す取組みです。私はベッドで右を上にして横になり、肩、腕、首、背中、足のあん摩をしてもらい、次に左を上にして横になって同様のあん摩をしてもらい、最後にベッドに座って肩や背中のあん摩をしてもらいました。この日は肩こりや全身の疲れがあったわけではなかったのですが、あん摩が終わって立ち上がった瞬間、「(肩を中心とした)腕の動きが軽い!」と感じました。まるで動きが悪くなった機械に油をさした直後のような感じです。これが「あん摩」の力なのかと実感しました。

寄贈

2024年12月20日 09時30分

 12月17日(火)に、株式会社キザキの方から白杖を3つ寄贈していただきました。また、12月19日(木)には、株式会社三祥の方から、鉄琴とカバサという楽器、VOCA(言葉を録音・再生するコミュニケーションツール)、ポータブルスピーカーの4点を寄贈していただきました。

 白杖は、視覚障害者が身の安全を確保しながら歩行をするのに欠かせない物です。視覚障害者は、視覚からの情報が限られるため、聴覚(音)から情報を取り入れることや、楽器を演奏したり歌ったり、音を使って自分を表現することが大変重要です。今回寄贈していただいた物品は、授業や学校行事等で大切に活用させていただきます。本校の教育活動に対し、このように企業からご理解とご支援をいただけることに深く感謝しております。

国家試験合格に向けて

2024年12月12日 09時00分

 本校には、あん摩マッサージ指圧師の国家試験受験資格が得られる保健理療科とあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家試験受験資格が得られる専攻科理療科があります。私は、高校の生物が専門なので、ある程度学習内容が分かるだろうと思って、先日、国家試験過去問題集を理療科の教諭から借りて見ました。一番分かることが多いのが生理学、その次に解剖学か衛生学に分かることが少しあるくらいで、東洋医学に関することは全く分かりませんし、その他の病理学や臨床医学、リハビリテーション医学などもほとんどが知らないことばかりで、全体の数十分の一くらいしか分かることがなかったのでショックを受けました。あらためて、専門的で高度な内容を学習しているのだなと実感しました。大学の医学部で学習するような内容がたくさん含まれていると思います。このように難しい内容を学習しているため、本校では国家試験合格に向けて、高校の進学校と同じように校外模擬試験や課外も行っています。他の特別支援学校にはない視覚支援学校の特徴の一つです。

みほのまつばら

2024年12月5日 16時00分

 12月2日(月)西日本放送の方が本校に来られ、公益財団法人日本テレビ小鳩文化事業団制作の点字カレンダーを、本校中学部の二人の生徒が代表していただきました。この時のようすは、当日18時過ぎからのニュースで放送されました。毎年いただいているカレンダーは、各教室に掲示したり、自宅に持ち帰らせて活用しています。2024年のカレンダーのテーマは、「動物たちの四季」です。動物は、見えない・見えにくい人も鳴き声や触れた経験があることなどから想像がしやすいと思います。2025年のカレンダーのテーマは、「風景を感じる」です。受け取った生徒は、1月の写真について「みほのまつばら」とタイトルを読めましたが、荒波の奥に松原があり、遠くに雪をまとった富士山がある三保の松原の風景を、晴眼者と同じように奥行きや広がり、波の動き等を正確に認識することは困難です。少しでもこの風景を認識できるように、今回は、各月の風景写真を説明する点字の解説文もいただきました。子どもたちには様々な生活経験を積んで、文章や自然の音などからさまざまな風景の素晴らしさを、感じるようになってほしいと思います。

ただ歩くだけでも危険

2024年11月28日 14時00分

 先日、本校生徒と教員が学校から高松市の中心部に向かって30分程度歩く機会があり、白杖歩行の練習を始めている生徒の後ろを歩きました。視覚障害者にとって不便であったり、危険だと思うことがたくさんありました。①大半の歩道に点字ブロックがなく、白杖だけで道を確かめなければならない。②交差点の音声信号もほとんどない。③交差点によって、交差点の角からどのくらい離れて横断歩道があるかが異なり、横断歩道の位置が分かりにくい。④歩道に所々ある電柱や植込みの樹木も障害物になる。⑤走る車が少ないと静かなために車道が分かりにくくかえって危ない。⑥スマホの画面を見ている状態で前から歩いてくる人がいる。などなど。教員が横について歩いており、指示を出したり体を引き寄せたりして危険なことはなかったのですが、白杖を頼りに一人で歩けるようになるためにはかなりトレーニングが必要ですし、白杖を使いこなせるようになってからも、視覚障害者にとっては、道路をただ歩くだけでも危険なことがたくさんあるのが現実なんだとあらためて実感しました。

絵本コラボ給食

2024年11月19日 14時30分

 本校では、全校読書月間の取組みとして「絵本コラボ給食」というものを実施しています。これは給食の食材が出てくる内容の絵本の読み聞かせを、給食の時間に行い、絵本に登場する食材を食べることで内容をイメージしやすくし、絵本を読んでみたいという気持ちを高めることなどをねらいとしています。(今年の8月にあった全国学校図書館研究大会高松大会で、本校職員が紹介した取組みの一つです。)11月7日(木)に「いもさいばん」、11月18日(月)に「ミルクこぼしちゃだめよ!」の読み聞かせを行いました。18日は、読み聞かせを専攻科の生徒が中心になって行い、生徒の表現の場にもなっていました。「いもさいばん」は、人と野生動物の共生について考えさせられる内容で、これまで絵本と疎遠だった私は、「大きなテーマをこんなに優しい表現で考えさせることができるのか」と絵本の力にも感心しました。絵本は幼児のためだけにあるのではないんですね。

TVに出ます

2024年11月12日 16時00分

 6月に高知県で行われた、中国・四国地区盲学校弁論大会で優勝した本校高等部の生徒が、10月4日(金)に茨城県水戸市で開催された第92回全国盲学校弁論大会に出場しました。入院したときの経験から自分の心と向き合うようになって、夢を抱いていく過程を、自分の言葉で力強く表現し、見事に準優勝しました。そのときの弁論大会のようすや本校での学習のようすなどが、他の受賞者のものと一緒に、11月19日(火)20時00分~20時30分にNHKのEテレ(教育テレビ)の「ハートネットTV」で放送されます。(再放送は、11月27日 0時30分~1時00分)私は、大会前の校内の壮行会で弁論を聞きましたが、胸が熱くなりました。なお、この生徒は、7月に香川県の代表として、別の内容で出場した全国高等学校総合文化祭の弁論部門でも全国入賞をしています。さらっと書きましたが、とてもすごいことです。先生方もいい刺激を受けています。ご都合のつく方は、ハートネットTVを見ていただき、他の出場者のことも含めて、視覚に障害のある生徒の思いや取組み等について理解していただきたいと思います。

光輝く

2024年11月6日 15時00分

 11月2日(土)「新創世記 光輝く愛(Eye)が始まる ~みんなでつくろう わたしたちの最高の文化祭~」というテーマで、文化祭を開催しました。体育館行事としては、音楽部のサックス演奏、中学部の劇、小学部・中学部・高等部普通科の音楽発表(楽器演奏や歌)、幼小学部の学校生活紹介動画、高等部普通科の劇(頑張ったことの発表を含む)を行いました。体育館行事後は、ゲームやおみくじ、作業学習製品や野菜の販売、クイックマッサージ、作品展示、サウンドテーブルテニスの体験などを行いました。閉会前には専攻科によるバンドの演奏があり、最後は生徒と教員(私も参加)が「365日の紙飛行機」を歌って締めくくりました。来校された方からは、「とても感動した。」、「子どもたち一人ひとりが頑張っているようすがわかった。」、「先生方が一人ひとりを大切に思って、教えていることがわかった。」などの感想をいただきました。幼児・児童・生徒全員がそれぞれ主役となる機会があり、それぞれが光り輝いて見え、愛に満ちた最高の文化祭に私も感動しました。いい学校に配属になって良かったなあとしみじみ思いました。