校長からみなさまへ

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2021年12月24日 11時00分

香川県立盲学校のWebサイト(ホームページ)をご覧いただき、ありがとうございます。

 

2学期終業式を行いました。児童生徒たちは明日から冬休みに入ります。今年1年もあっという間に過ぎ、年末を迎えようとしています。

終業式では、2学期に行われた文化祭、声の力プロジェクト、修学旅行、寄宿舎での楽しい秋まつりなどの学校行事について触れました。そして、学校行事を通して勉強とは違ういろいろな体験をすることは、人の成長にとても大切な事であると伝えました。文化祭で、本番に向けて先生と一緒にアイデアを出したり、練習したり、失敗したり、思うようにいかなかったりした体験をすることで、笑ったり、悩んだりしながら少しずつ成長する。順調に物事が進むことも大切ですが、上手くできずにあれやこれやと考えることも同じくらい大切であり、これらの繰り返しが必要であることを話しました。最後に、来年もいろいろな事にチャレンジし、今年と比べて成長することを期待していると伝えました。

冬休み中は体調に十分気をつけて、クリスマスやお正月を楽しく過ごし1月11日の3学期始業式に元気な姿で登校してもらいたいと思います。

このHPをご覧いただきありがとうございました。皆さまが良い年を迎えるとともに皆さまのご多幸をお祈りいたしまして、今年の締めくくりといたします。

                                                             令和3年12月24日

                                                                                                  香川県立盲学校長 吉田 

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2021年12月16日 10時00分

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 毎週楽しみに見ていたドラマが、昨日最終回となりました。

このドラマは、盲学校高等部に通う弱視の生徒と顔に傷のあるヤンキー青年との間に起こるラブコメディーで、笑いあり胸キュンありのドラマでした。盲学校が撮影場所として使われていることもあり、白杖の他、拡大読書器や点字ブロック、点字が刻まれている手すりなど、本校でも日常にある風景が登場します。HR教室で3人の高等部の生徒が会話するシーンもあり、学校生活がよく表現されていました。ドラマでは「視覚障害者に関する豆知識」と題して、視覚障害者が感じる不便さや日常生活での想いが解説されます。視覚障害者は「このように感じているのか」などと、私も大変参考になりました。視覚障害者のテーマ以外にもLGBTQ、障害者の進学・就職、職場環境のテーマを取り扱うなど、社会で生きづらさを感じる人たちの様子も描かれており、社会の在り方について考えさせられました。

 本校では、視覚障害教育の専門性を有する教員が拡大読書器やICT機器を使いながら生徒の学力向上に努めています。また、歩行訓練士の資格を持った教員が、一人で屋外を歩けるようにするための歩行指導も行っています。さらに、日常生活動作などの学習のために台所や風呂場がある部屋を備えた研修棟など、本校は視覚障害教育について充実した環境が整っています。乳幼児、児童生徒、成人の教育や進路などの様々な相談・支援の窓口もあります。

学校は将来に向けて人を育て、児童生徒の夢の実現を支えるところです。夢に向かってチャレンジしたい人は、本校に連絡ください。

「ま、どっちか迷ったら行動してください」

                      令和3年12月16日       

                        香川県立盲学校長 吉田 

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2021年11月3日 15時00分

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 本日、令和3年度文化祭を開催しました。爽やかな秋晴れのもと、本校正門付近のキンモクセイが今日の文化祭を彩るかのように心地よい香りを漂わせていました。

新型コロナも落ち着きを見せておりますが、感染予防のため昨年と同様に文化祭の規模を小さくし、体育館での学習発表と卓球場での児童生徒作品展、体育館下ピロティでの簡易販売、野外ステージでの音楽同好会の演奏、高等部保健理療科・専攻科理療科のクイックマッサージを行いました。

体育館での学習発表では、各学部の楽器を使った演奏や歌唱、「SDGs」についての発表があり、簡易販売では、収穫した野菜、作業学習で作成した作品やお菓子を袋詰めしたものを販売していました。全校生徒の数が少ないため一人一人の役割が多くなっていましたが、すべての児童生徒が主役となって活動していて、表情豊かでみんな輝いて見えました。私も音楽同好会の野外ステージで、「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌(生徒と一緒に歌えるアニメソング)を生徒たちと歌い、文化祭の盛り上げに一役買いました。参加された保護者の皆さんには、児童生徒たちとともに多くの思い出を写真に収めていただけたと思います。

生徒たちが決めた今年の文化祭のテーマは、「世界に届け!~私たちのチームワーク~」です。今日の文化祭で盲学校のチームワークを発揮して準備した学習成果を届け、さらに、連帯感や協力することの大切さを届けることができたと思います。

一般公開できず多くの方に参加していただけなかったことは残念でしたが、工夫を凝らし文化祭に向けて準備した児童生徒、先生方の熱い思いに感謝します。

 

                   令和3年11月3日          

                                                      香川県立盲学校長 吉田 

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2021年11月1日 13時00分

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約2カ月ぶりの更新となります。9月13日から2学期が始まりました。最近では新型コロナの感染状況も落ち着いているため、感染予防を行いながら小学部遠足や理療科外来臨床実習の再開などの教育活動を行っています。

さて、視覚障害教育に関する理解・啓発のための視覚障害教育通信「eyeメール」を1026日に発行しました。私が書いた原稿の一部を掲載します。

すべての人に優しい社会

「ソーシャルディスタンス」「手指消毒の徹底」と言われても・・・。

コロナ禍において、視覚障害者にもコンビニやスーパーなどで戸惑いがあります。人との適切な距離間が分からない、消毒液がどこに設置されているのか分からないためです。そんなとき、私たちは困っている人に、自然と声をかけたり優しく手を差し伸べたりしているでしょうか。

視覚障害者が困って立ちどまっていたら「前に○歩進んでください」「○○行の電車(バス)がきましたよ」「信号が○○になりました」などと声をかけ、具体的な状況を説明し手を差し伸べてください。別れるときも「あと○○メートルほど歩いた先に○○がありますよ」と、周囲の様子を説明するなどの声かけをして離れてください。相手から「ありがとう」とお礼が返ってくると思います。障害者への優しい配慮とそれに対する心のこもったお礼は、すべての人に優しい社会の実現につながります。

本校は、本県唯一の視覚障害教育の特別支援学校として、乳幼児から成人までを対象に教育をしています。その専門性を活かして支援活動も行っており、

(略) 

本校は視覚障害教育の立場から、視覚障害者、延いてはすべての人に優しい社会の実現に向けて、その役割を果たしています。本校にいつでもご連絡ください。

私たちは、障害のある人もない人も互いに配慮しながら、すべての人に優しい社会を実現しなければなりません。そのためには、困っていることに敏感に気づき、相手の声を聴き、互いを理解し助け合うことが大切です。それがすべての人に優しい社会ではないでしょうか。

人の考えや想いはそれぞれ異なりますが、難しく構えることなく気軽に声をかけてみてはどうですか。コロナ禍だからこそ、より○○○が大切です。

(○○○→きずな(絆)、気づき、優しさ、ささえ(支え)など)

                        

                     令和3年11月1日          

                                                      香川県立盲学校長 吉田 

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2021年8月25日 15時00分

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昨日、香川県教育委員会から新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため912日まで夏季休業期間を延長するよう通知がありました。本県は、820日から国の「まん延防止等重点措置」の指定を受けており、感染拡大防止に努めていますが、県内の新規感染者数の増加や学校内での感染等が懸念されることから、本校でも新学期の始業式を913日といたしました。

さて、秋といえば「実りの秋」「芸術の秋」「スポーツの秋」などといわれ、一年の中でも過ごしやすい季節です。学習活動が深化するとともに、文化祭や修学旅行などの学校行事もあります。授業での学習活動はもちろん大切ですが、これらの学校行事でも学ぶことは多くあり、体験をとおして児童生徒の成長が見られます。新型コロナの収束は未だ分かりませんが、感染対策を十分にしたうえで保護者の理解のもと、可能な限り実施したいと思います。制約がある中での実施となるかもしれませんが、このようなときだからこそ成功を目指して協力すれば、より良いアイディアが生まれるものです。児童生徒が教員と一緒に工夫することで、これまでにない良い行事ができると信じています。新学期の始まりは少し遅くなりそうですが、2学期に児童生徒の明るい笑顔とたくましく成長する姿を楽しみにしています。

なお、HPのシステム入れ替え作業のため、1031日まで更新できません。11月から、改めて本校の様子などを伝えていきたいと思いますので、暫くお待ち下さい。これまでどおりHPの閲覧はできますので、ご活用ください。

 

                   令和3年8月25日

                                       香川県立盲学校長 吉田 稔

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2021年7月21日 10時30分

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1学期終業式を行いました。児童生徒たちは明日から夏休みに入ります。

4月に本校に赴任して、4ケ月が過ぎ、あっという間に今日の終業式になったような気がします。この間、ほぼ毎日各教室での授業を見学し、日頃の学習の様子を知ることができました。また、新型コロナ感染症の影響もありましたが、体育祭、デイキャンプ、校外学習、七夕コンサートなどの学校行事も実施できました。(本校HPのトップにその様子があります。)それぞれの体験は、児童生徒たちの成長に繋がったことと思います。

式では、東京オリンピック・パラリンピックに出場する香川県出身選手の話題を取り上げ、夢の実現に向けて行動に移すことは大切なことであり、行動し結果が得られれば次の目標に向けて進むことができ、結果が得られなくとも行動したことは必ず役に立つことを伝えました。

「こうなりたい、こうしたい」という想いを常に持ち、実現に向けて自分が何をするべきかを考え、そして実行すること、小さなことから実行したとしても思いもつかないような大きな夢に繋がるかもしれないことを話しました。

児童生徒が、夏休みしかできない有意義な経験をし、2学期には楽しい出来事をたくさん聞かせて欲しいと伝え締めくくりました。

 

                     令和3年7月21日         
                       香川県立盲学校長 吉田 稔

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2021年6月10日 13時00分

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PTAだより100号を521日に発行しました。記念すべき100号の原稿を書くことになり光栄です。その一部を掲載します。

 

 校庭の花たちに触れて

  (略)

さて、本校の正門付近には、ハナミズキ、サツキ、キンモクセイ、正門を過ぎて奥に行くと桜、その他農園にも多くの植物があり季節ごとに花を咲かせます。私が盲学校に着任した頃には、桜が満開でした。入学式の頃は若葉を風になびかせ、四月下旬は葉桜となり清々しさを感じました。来年の春には、美しい満開の桜の花が咲くことでしょう。桜と同じようにハナミズキ、サツキがきれいな花を咲かせましたが、初秋にはキンモクセイが花を咲かせます。これからも楽しみです。花の鮮やかな彩りに心を奪われますが、それと同時に花の香り、手触り、音を感じることも気持ちの良いものです。私も校内を歩くとき花たちに触れ、心が安らぎます。

本校の児童生徒には、花の色を感じながらも、花によって異なる匂いや風になびくことで生まれる音、季節ごとに変化する花の形から季節の移り変わりを感じてもらいたいと思います。花は私たちに色々な事を教えてくれます。児童生徒には、授業や学校行事で多様に体験することで、知識だけでなく、考え方や表現のしかたを学び、自分たちの能力を開花させ、成長することを期待しています。そして、季節が幾度か進み、卒業する頃には豊かな感受性のある人に育ってほしいと思います。

(略) 

                      令和3年6月10日  

                       香川県立盲学校長 吉田 稔

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2021年5月15日 15時00分

 

 

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5月15日に令和3年度体育祭を行いました。新型コロナ感染症対策のため、保護者のみの公開としました。児童生徒、教職員、保護者が参加した2年ぶりの体育祭は大いに盛り上がりました。

体育祭種目には本校ならではの内容があります。「THE 盲学校レース」という競技は、生徒と教職員、生徒と保護者が組になりリレー形式で行います。白杖を使って歩行、鍼を使って課題をこなす、点字を読むなどを行います。私は、グランドソフトボールのピッチャーとしてアイマスクをし、ピッチャーズプレートからボールを転がし、ホームプレートに置いているコーンに3回当てることをしました。コーンの近くにいる生徒が手で音をたて合図をします。音の方向にボールを投げることが思ったより難しく、クリアーするのに時間がかかってしまいました。

その他、「学習発表」という競技では、体育の時間に練習してきたことを発表します。難度の高い内容でも、児童生徒たちは一生懸命に取り組んでいました。競技を見て感じたことは、児童生徒たちは自分の持つ力を精一杯出し切ろうとしていて、成果を表現できていることです。児童生徒の実態にあったものを用意し、生徒に意欲を持たせながら指導している様子がありました。その結果、発表の場で見る人が笑顔を浮かべ、会場にいる皆が楽しむことができました。先生方には感謝です。

今日の体育祭で児童生徒の成長を感じ、私も楽しむことができました。

 

                   令和3年5月15日    

                      香川県立盲学校長 吉田 稔

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2021年4月13日 11時00分

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<校長挨拶>

 41日に盲学校第29代校長として着任いたしました。本校は、明治41年の創立以来、113年という長い歴史と伝統があります。歴代校長の取組を継承し、本校の更なる発展に尽力したいと考えています。

 さて、46日に11名の児童生徒が出席して始業式を、47日の入学式では5名の新入生を迎え、全校生徒16名で令和3年度の盲学校が始まりました。本校の校訓である「報恩、自立自営、反省」にあるように、自然や人にお返しができ、自然や社会の一員としての役割を果たし、自分の行動を振り返りそれを生かし実行ができるよう幼児児童生徒を育成していきます。

 本校は県下唯一の視覚障害者のための特別支援学校として、専門性を発揮し、関係機関と協力しながら教育を行っています。ICT機器を使った視覚障害教育の充実、寄宿舎生活をとおした社会自立への支援、『見えにくさと学びの相談センター』を設置し視覚障害教育のセンター的役割を果たす教育相談・指導支援の充実を図ることなどに取り組んでまいります。

 本校の児童生徒が自立を目指して勉学に励むよう支援していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

<香川県立盲学校について>

 香川県立盲学校は、明治41年4月に私立香川県盲唖学校として開校し、大正11年、現在の敷地に校舎が落成しました。大正13年には県立に移管され、香川県立盲学校・聾唖学校の名称で発足し、昭和23年には新学制に基づき、香川県立盲学校と香川県立聾学校に分離されました。昭和29年に聾学校が高松市太田上町(現在の聾学校の場所)に移転するまで、同じ敷地内に盲学校と聾学校が併置されていました。今年で開校113年、盲学校単独校になってから73年の歴史と伝統のある学校です。

 本校は、香川県下で唯一の視覚に障害のある子どもや成人の方のための学校です。学部としては幼稚部、小学部、中学部、高等部があり、高等部には普通科と保健理療科、専攻科理療科があります。令和3年度は幼稚部には在籍者はなく、小学部から専攻科までの児童生徒数は16名です。

 視覚障害についてですが、一般的には盲学校の「盲」という言葉から、全く目が見えない生徒が学んでいるというイメージを持たれているかもしれません。視覚障害者には、矯正視力が0.3未満の弱視者と0.04未満の全盲者がおり、視覚障害者全体では弱視者が8割程度と言われています。弱視であっても見え方は様々で、学校では一人一人の見え方に応じて工夫を凝らした学習に取り組んでいます。また、全盲の生徒はもちろんですが、弱視の生徒も移動のための歩行訓練や日常生活の訓練にも取り組んでいます。「見えない、見えにくい」幼児児童生徒一人一人に配慮した、専門性の高い教育を実践することで、一人一人の願いがかなう学校をめざしています。

また、本校は職業教育にも力を入れており、あん摩マッサージ指圧師をめざす保健理療科、あん摩マッサージ指圧師に加え、(はり)()(きゅう)()めざ理療科があります。年間勉強して卒業しますと、それぞれの国家試験受験資格が得られます。これまでも多くの卒業生が、あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師として自分の夢をかなえ、社会で大いに活躍しています。

加えて、視覚障害教育のセンター機能を果たすため「見えにくさと学びの相談センター」を設置して、香川県内の視覚障害のある乳幼児から成人まで、またその保護者の相談に対応するとともに、県内各学校園にも本校教員を派遣して学習支援等にも取り組んでいます。本校独自の研修会も開催しています。見え方に困難を抱えており、将来について迷っている方、悩んでいる方は、ぜひ本校にご連絡、そしてご来校ください。お知り合いで、そのような方がいらっしゃいましたら、どうぞ本校のことをご紹介いただければと思います。

「自分の願いがかなう」学校をめざして、教職員一同、保護者、地域、関係機関とのつながりを一層深めていきます。今後とも、本校の教育活動にご理解とご協力、ご支援を賜りますようお願いいたします。

  
                       令和3年4月     
                        香川県立盲学校長 吉田 稔

校長からみなさまへ(3月31日付)

2021年3月31日 12時52分

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<運動場の傍らに咲くソメイヨシノが満開になりました>

 

今年の春の訪れは、例年になく駆け足でやってきた感じがします。いつも入学式のころに満開となり、桜吹雪を舞い踊らせる運動場の傍らに咲く樹齢数十年?のソメイヨシノも、すでに満開となっています。

3月23日、県内の教職員の異動発表がありました。本校でも事務職員の方も含め4名の方がご退職、8名の方がご転任となりました。転任職員の中に校長である私も含まれていました。転任のみなさんのうち教諭・講師の先生は5名おり、そのうち4名は20代というフレッシュな先生方が異動することとなってしまいました。いずれも3年から6年という比較的短い勤務年数でしたが、どの先生方も本校にとっては貴重な戦力であり、本校にとっては大きな痛手となりました。しかし、若いうちに他校を経験することはたいへん意義あることだと思います。新しい学校でのご活躍を大いに期待したいと思います。

私は平成31年4月に新任校長として本校に赴任して2年というたいへん短い勤務でした。明日からは、さぬき市長尾にある香川東部養護学校で勤務することとなりました。本校在任中にたくさんのみなさまからいただいたご指導、ご支援、ご厚情に深く感謝申し上げます。

 

本校に勤務して2年間続けたことがあります。毎朝早めに出勤して学校の周囲を散歩しながらついでにゴミを拾う、そして、ご近所の方やすれ違うみなさんにこちらから「おはようございます」とお声がけさせてもらいました。「おはようございます」と挨拶を返してくれる人もいれば、黙って会釈だけしてくれる人もいます。誰だこの人といった少し怪訝そうな視線を向ける人もいました。人それぞれだなあと思いながら、挨拶を返してくれなかったからといって相手にそれを求めるような仕草もしませんでした。でも挨拶を返してくれるとこちらも気持ちがいいですし、今日はきっといい一日になるぞと私も元気をいただいていました。

本校の周りの道は、近隣中学校の通学路になっていて、私も大体同じ時間帯に歩いているので、よくすれ違う生徒もいました。生徒もそれぞれで、こちらが挨拶をする前に向こうからはきはきと挨拶してくれる女子生徒、こちらが挨拶をするとボソッと挨拶を返してくる男子生徒、それらの生徒たちの中に、いつも二人並んで楽しくおしゃべりをしながら登校している男子生徒たちがいました。最初はこちらが挨拶をしても、二人とも何の返答もなく無視している感じでしたが、ある時から二人のうちの一人が、小さな声ではありますが「おはようございます」と挨拶を交わしてくれるようになりました。4月からも根気よく声をかけて、何とかもう一人も、会釈だけでもいいから返してほしいなあと欲が出てきたところで、今回の転勤となりました。

 

人を育てるということは、簡単な道のりではありません。繰り返し繰り返し長い時間をかけて、根気よく取り組まなければならないことを、この二人組の中学生から改めて学ばせてもらいました。もしこの二人の中学生に会うことができたら、今度は「ありがとう」と言ってみようと思います。

いよいよ今日、盲学校を去ることとなります。たくさんのみなさまに恵まれて勤務できたこと、本当に感謝の一言です。どうぞみなさま、ご健康には十分気をつけられて、盲学校、視覚障害教育を盛り上げていってほしいと思います。2年間、本当にありがとうございました。

 

令和3年3月31

香川県立盲学校長 田中 豊

校長からみなさまへ(3月19日付)

2021年3月19日 15時17分

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<令和2年度 第3学期が終了しました>

 

終業式の前々日、3月17日(水)に令和2年度幼稚部の修了式を挙行しました。晴れの式に臨んだのは年長組の幼児1名で、平成31年4月に年中児から本校に入学し、2年間の教育を経て今日の修了となりました。式には小学部在校生、幼稚部・小学部の全職員、学校看護師さんを始め、保護者だけでなくおじいちゃん、おばあちゃんも出席され、多くのみなさんが修了児のまわりを温かく囲むようにお祝いしました。

本児が入学した2年前、医療的なケアが必要ということで学校看護師の配置などを県教委に要請し、学校では専用教室の確保など環境整備に取り組みました。入学当時は風邪などの感染症にもかかりやすいということでしたので、活動にも様々な配慮をしました。しかし、経験を重ねてみれば、本人も気持ちいい表情を見せたり、うれしそうに笑ったりすることがだんだんと分かり、担任も積極的に活動できる環境づくりに努めました。教室の外での活動もたくさん経験し、夏には校外保育としてJRに乗り津田の松原まで行って、海からの風や磯の香り、打ち寄せる波の感触などを楽しむことができました。姿勢の保持などの自立活動にも、専門的知識の高い他の特別支援学校の先生に来てもらいアドバイスを受けたりして、根気強く取り組みました。難しかったことが少しずつできるようになり、この2年間の成長に保護者も大変喜んでおられました。「やってみよう!」という言葉がぴったりの2年間だったと思います。4月からは本校小学部に進学します。これからもいっぱいの経験をして、豊かに成長してくれると思います。修了、おめでとう。

 

3月19日(金)快晴。校庭の桜も、今にも満開になりそうな勢いでたくさんの花を咲かせています。春が一足先にやってきた感じの今日、第3学期の終業式を行いました。卒業生・修了児がいないので、全校で10名という少し寂しい式になりましたが、全員が元気に出席してくれました。各部の代表者に修了証を渡したあと、幼児児童生徒のみなさんに少し話をしました。

この1年間の経験は、確かに「大変」な経験でした。時が経てば、この大変さもいずれは収まって、「あの時は大変だったなぁ」と過去の出来事の一つになるかもしれません。しかし、この出来事、自分自身の経験をとおして感じたこと、考えたことを、ぜひこれからの生活、これからの生き方に役立ててほしい。新型コロナウイルス感染症の流行によって、世界中でたくさんの人の命が失われたことは、たいへん悲しいことですが、この流行によって人種差別などの人権問題、北半球と南半球の経済格差や貧困の問題、エネルギー問題やグローバル経済の問題など、地球規模で考えなければならない問題が私たち人類に突き付けられたこと。解決は難しい問題かもしれないけれど、時々でもいいから一人一人が考え続けることが大切で、もしできることがあったら行動しよう、みんなで力を合わせれば、何かが変わる…そんな話をしました。

小学部や中学部の子どもたちには少し難しい話になりましたが、最後は、3学期、そしてこの1年間の頑張った成果に、「ありがとう」の感謝の言葉を伝えて話を終えました。

 

この校長からのメッセージも、今年度はこれで最後になるかなと思います。4月からまた心機一転、頑張って掲載を始めたいと考えています。拙文を読んでいただきありがとうございました。

では、また、4月にお会いしましょう。

 

令和3年3月19

香川県立盲学校長 田中 豊

校長からみなさまへ(3月10日付)

2021年3月10日 15時48分

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<令和2年度 卒業証書授与式を挙行しました>

 

3月10日(水)、令和2年度の卒業証書授与式を挙行しました。今年度は小学部2名、高等部普通科3名、合計5名が晴れて卒業の日を迎えることができました。朝から春を告げるような暖かい光が体育館に差し込み、用意してあったストーブを稼働することもありませんでした。感染症対策として開放した2階の窓からも、春を感じるやさしい風が時折カーテンを揺らしながら、門出の日を祝ってくれているようでした。

当日はKSB瀬戸内海放送から取材が入りました。1年半ほど前、盲学校に興味を持たれていたKSBの記者さんと知り合いになりました。盲学校に赴任したばかりの私も、本校の教育活動をもっと広く皆さんに知っていただきたいという強い気持ちもあり、取材に来てもらうこととなりました。それからのご縁です。その時に制作してくれた番組は、学校の様子だけでなく本校の卒業生も取材し、あん摩マッサージ指圧師鍼師灸師(通称:あはき師)として活躍している丸山さんや、県庁正規職員として頑張っている三野田さんの働く姿もあわせて盛り込まれ、昨年2月18日夕方のKSBスーパーチャンネルで6分半程度の特集『盲学校は今』として放映されました。この番組で紹介された高等部卒業生の山本華さんが、この春卒業しますよと記者さんにお伝えしたところ、ぜひ卒業式の様子を取材させてほしいという話になり、カメラマンの方を伴っての来校となりました。

 

さて、式は予定通り午前10時から、厳かな雰囲気のなか始まりました。来賓はPTA会長様と学校評議員様のみに限らせていただきましたが、在校生、教職員も全員が体育館に入り、あとはほぼ例年どおりの式次第で行いました。これも少人数の学校だからこそ可能なことで、ありがたいことです。式の準備の段階ではできるだけ時間を短縮しなければということから、校長式辞や来賓祝辞、送辞や答辞なども短くすることが検討されましたが、卒業生の思い、在校生の思いも強く、それぞれが自分の言葉で綴った思いの丈を短くするのは忍びない、そのままいこうということになりました。校長式辞も、思いの丈をしっかりと伝えさせてもらいました。

式の最初は卒業証書の授与、5名一人一人に手渡しました。続いて校長式辞。その中で卒業生へのはなむけの言葉として私が話をしたのは、これからの生き方、行動の在り方についてであり、こんな話をしました。

 

『さて、卒業するみなさんには、これからの信条として、心にとめておいてほしい、人としての三つの生き方について話をします。

一つ目は、自分の可能性を信じ、主体性のある生き方。

二つ目は、相手の幸せを考えて、正義感と勇気と思いやりの心をもって行動する生き方。

三つめは、連帯し協力し合う生き方です。

人間は、自然界の中では弱い存在であることが、件の感染症により改めて明らかになりました。弱い存在だからこそ、横へのつながり、縦へのつながりを広げていって、しっかりと織られた布のように強く団結していきたい。分断があってはなりません。

そして、連帯し協力し合うには、自分の幸せも考えるが、相手の幸せも考えられる、相手に思いを致す心が必要です。一方で、正しいことは正しい、間違っていることは違うといえる勇気も必要です。勇気のある行動をするためには、自分に自信を持つ、自信というのは自らの可能性を信じるということから始まります。自信ができれば、人生は主体的に生きられます。どうぞ、諦めないで行動してください。』

 

月並みで判り切っている内容かもしれませんが、言葉に出して唱えることで日々の生活が変わり、だんだんと生き方や行動もそれに沿ったものになっていく。これから彼ら彼女らが遭遇するであろう様々な困難や試練に立ち向かわなければならないとき、そういえば校長がこんなことを言っていたなぁと少しでも心に留めておいてくれたらうれしく思っています。

次にPTA会長山本さんから祝辞をいただきました。その言葉がまた素晴らしかったので、一部紹介します。

 

『でも、大人も失敗します。それに偉い人ほど失敗が多いのです。それは誰よりもチャレンジしているからです。だから卒業生の皆さん、失敗を恐れず新しいことにチャレンジして、頑張っている自分を褒めてあげましょう。』

『生きていくうえで、私が一番大切だと思っていることは「バランス」です。自分にとってちょうど良い加減と、相手にとってちょうど良い加減。一生懸命も大事だけれど頑張りすぎると疲れます。たまにはいい加減になることも大事です。食べることや寝ることも同じです。バランスが崩れると体調も悪くなります。平均台でバランスをとるように少しずつ前へ進み、落ちてもまた、そこからやり直せばいいのです。変化を恐れず、様々な変化に柔軟に対応できるバランス感覚を身につけていってください。』

 

分かりやすくてたいへんいいお話に私も感動しましたし、卒業生たちもきっと勇気づけられたことでしょう。大概の失敗はやり直せるもの。やらないで後悔するより、とりあえずやってみようという気持ちと行動を支えてくれる、一人の親御さんとしての温かい心を感じました。

在校生代表による送辞、卒業生代表山本華さんの答辞も、5名の卒業生一人一人の思いをしたため、とても感動的なものでした。本校で学べたことへの感謝の言葉、何よりも私たち教職員にとっての褒美であることが改めて心にしみました。


 では、卒業生のみなさん、特に本校を離れることとなる高等部を卒業する3名のみなさん、まずは健康で、
自分だけしか歩めない自分の人生を、自分らしく胸を張って生きてください。

みなさんのこれからに、幸多かれと願っています。

それから…、困ったことがあってもなくても、いつでも学校においで‼

 

令和3年3月10

香川県立盲学校長 田中 豊

 

<補足>

※本校の卒業式の様子が、3月10日(水)2054分からのKSB瀬戸内海放送のニュースで流れました。見逃した方は、下記URLにて視聴できます。よろしければご覧ください。

 

https://www.youtube.com/channel/UCH9jlbggZY_mRx7Q0k49TuQ

校長からみなさまへ(2月25日付)

2021年2月25日 13時35分

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<第2回学校評議員会を開催しました>

 

2月24日(水)午後から、今年度第2回目の学校評議員会を開催しました。年度末の開催ということで、令和2年度の本校の取組等について報告し、各委員さんからご意見やご助言をいただきました。当日は本校理療科卒業生でデイサービスセンターにて機能訓練指導員をされている評議員さんが急なご都合で欠席されましたが、あとの3名、視覚障害者福祉センターの館長さん、眼科医の先生、本校元校長の各評議員さんが出席されました。

最初に、校長から今年度の取組の概要と次年度の学校のグランドデザインについて説明し、続いて教頭より重点目標に対する成果や学校評価結果の報告、教育研究部からの授業力向上の取組、進路指導部から進路状況等の報告をしました。また、本校の重要な役割である「視覚障害教育支援センター(見えにくさと学びの支援センター)」の取組については、少し時間を長めにとって担当より報告させていただきました。

各評議員さんからは様々な質問が出ました。GIGAスクール構想で具体的に学校はどう変わるのか、UDブラウザを使ったPDF版拡大教科書を地域の学校の生徒が使うにはどのような手続きが必要か、県内初のヘルスキーパー採用となったがその仕事状況はどうか、臨時休業中のリモート授業の状況はどうだったか…、などなど。一つひとつ丁寧にお答えしたつもりですが、どうだったでしょうか。評議員さんからの質問を聞きながら、評議員さんは真に本校のことを考えてくれていると実感し、ありがたく思いました。そしてそれらの質問に的確に答える各担当の先生方もたくましく感じられ、自画自賛になってはいけないと思いつつ、少しうれしい気分になりました。

会の最後に指導助言として、「地域に学ぶ子どもたちへの支援ができる学校であり続けてほしい」というご意見をいただきました。来年度、本校で学ぶ幼児児童生徒数は減少しますが、地域の小・中・高等学校で学ぶ視覚障害のある児童生徒の数は増えることとなります。今後ますます、視覚障害教育の「支援センター」としての役割が大きくなってきます。かといって、本校で学ぶ子どもたちへの教育が疎かになっては本末転倒です。校内の教育実践により先生方一人ひとりの専門性や教師としての力量を高め、それを礎に地域支援に臨む。地域支援を実践することで、また先生の力量が上がる。それが子どもたちへの教育効果となって表れる。正のスパイラルとでも申しますか、相乗効果を高めていかなければなりません。それにはやはり教員の数も必要です。在籍者数には表れない本校の全県的使命を果たすためにもです。

また、「本校の専門性のある先生が地域の学校を支援することで、その学校で教えている先生方や周囲の子どもたちへの(視覚障害に対する)理解が進んでいくことは素晴らしいこと」というエールもいただきました。来年度も『香川県立盲学校グランドデザイン2021』の学校運営方針のなかに示す「県内の視覚障害のある幼児児童生徒の教育に責任を持つ気概で地域支援に取り組む」ことができるよう頑張らなければと思いも新たに、そして勇気をいただいた時間でした。評議員のみなさま、お忙しい中ありがとうございました。

 

令和3年2月25

香川県立盲学校長 田中 豊

校長からみなさまへ(1月29日付)

2021年2月1日 16時48分

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<防犯訓練を行いました>

 

1月29日(金)の放課後、体育館で教職員対象の防犯訓練を実施しました。高松北警察署生活安全課から警部補、巡査長の2名の警察官に来ていただき、不審者が校内に侵入して来たときの初期対応の方法やさすまたを使った撃退法、そしていざというときの護身術等の研修に取り組みました。

 

学校現場で防犯訓練が積極的に行われるようになったのは、平成13年6月に大阪教育大学附属池田小学校で起きた侵入者による殺傷事件が契機かと思われます。それまでも学校に不審者が侵入して事件を起こすことはありましたが、この事件は衝撃的で現場の教員の対応にも様々な意見や批判がありました。この痛ましい事件のあと、児童生徒が在校している時間帯の学校の門は閉ざされることとなり、国立大学附属の各学校においては正門に警備員を常駐させるなどの対応をしました。

私が小学生だった昭和40年代後半、小学校はとても開放的で、学校の門はいつも開いていました。学校には泊り勤務の用務員さん(当時の表現)がいて、学校を守ってくれているイメージがありました。また昼休みに運動場で遊んでいた私たちの様子を、近所のお年寄が運動場の端にあったベンチに腰掛けて眺めていた、そんな記憶もあります。のんびりした時代を懐古しても仕方がありませんが、いま学校内の安全も組織的に確保していかなければならない社会状況であり、学校を支える地域の力も、昔のように自然発生的に何となくというのではなく、組織的に機能させていく時代になっています。学校現場だけでなく、地域社会にも昔のようなゆとりや余裕、余力というのが随分減ってきているように感じます。

 

さて、不審者への対応訓練の様子です。今年は感染症対策で接触を控えるということもあって、昨年度実施した防犯訓練のように、不審者役の警察官をさすまたで取り押さえる実戦的な訓練ではなく、学校に入ってきた不審者を発見したときの最初の声かけと誘導の訓練でした。不審者役には身長180センチ超え、体重も優に100キロはあろうかという巡査長さんが担当。正門から入って来たとの想定で、第一発見者の教員による声かけ、続いて応援が一名、そしてもう一名が応援に来て、三名で対応し事務室へ誘導するという訓練でした。巡査長さんの不審者役も板についていましたが、本校の先生方の対応も良かったと思います。まずは用件を聞くこと、さり気なく手を前に出して相手との距離を取ること、複数の応援が駆けつけたら誰かがさり気なく事務室に行って通報することなど、警部補さんからも事後の講評で褒めていただきました。私が良いと思ったのは、三人目に応援に駆けつけた女性の先生が、「ここは寒いので、事務室で温かいものでもどうですか?」と話しかけたことでした。ひょっとしたら、相手は危害を加えてやろうと懐に凶器を忍ばせた凶悪な人間かもしれません。それでも、相手を落ち着かせる、人間の「良心」に働きかける温かみのある良い声かけだと感心しました。

 

初期対応訓練のあとは、3グループ程度に分かれてさすまたの使い方を指導していただき、グループ内で模擬的に使ってみました。そのあと、女性でも簡単にできる護身術のデモンストレーション、不審者、特に女性に対する犯罪を防ぐためのVTR視聴をして研修を終えました。

最後に校長より謝辞ということで、警部補、巡査長のお二人にお礼の言葉を述べました。校内で見知らぬ人に出会い、それに対応するというのは、ある程度の「胆力」も必要です。いざとなったら(きも)を据え、周囲の状況を俯瞰し判断し行動する。簡単にできることではありませんが、訓練を積み重ねていくことで少しはできるようになると思っています。加えて、普段からのイメージトレーニングも大切です。実際にそういう場が生じないことを祈りますが、いざというときには、何はともあれ私も現場に駆けつけたいと思います。公務お忙しいなかご指導いただいた警部補さん、巡査長さんには改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

令和3年1月29

香川県立盲学校長 田中 豊

校長からみなさまへ(1月8日付)

2021年1月8日 16時50分

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<令和2年度3学期が始まりました>

 

2021年、令和3年が幕を開けました。新年おめでとうございます。本日1月8日、学校では第3学期の始業式が行われ、令和2年度のまとめとなる3ケ月がスタートしました。

今年の元旦はたいへん寒い朝でしたがお天気も良く、私が東かがわ市のとらまる公園から見た初日の出は、神々しく無心で合掌するほどでした。昨年の初日の出とは何か違う、平穏な日常が戻ってほしいという祈りを込めていたかもしれません。とにかく、太陽は今日も明日も昇り続ける、古代から人は太陽を神と崇めてきたということが実感できたような瞬間でした。

 

今日から始まった3学期、始業式は、前日からの寒波到来でストーブを焚いても冷蔵庫のような体育館でしたが、そこで実施しました。昨日の積雪のため登校できなかった生徒もいましたが、そのほかの児童生徒は元気に参加してくれました。

 

さて、時間は遡りますが、2学期の終業式講話では「事実を知る」、「事実を知る努力をする」ことの大切さについて話をしました。この感染症が拡大し特に情報過多となっている今の世の中で、たくさんの情報に対して、まずは、なぜ?どうして?本当?という「疑問」や「疑念」を持って自分で調べてほしい、探求してほしいと言いました。情報の真偽をよく確かめずにそれを信じて、もしそれが事実と違う情報であると分かったとしても、‟裏切られた“と相手に責任を押し付けてしまえば楽かもしれません。しかし、それを何も考えずに鵜呑みにした自分はどうなのか…。すべてのことに疑心暗鬼になっては、なかなか前に進めませんが、何かがおかしいと感じたときに「疑問」や「疑念」を持ち、想像力をいっぱい働かせて、事実やその先にある真実を知る努力をしてほしいという話でした。

生徒たちにこのような話をした手前、冬休みは私もこれまで以上に「疑問」や「疑念」を持って過ごそうと考えました。そして「なぜ」と思ったのが、元旦に煌々と昇ってきた太陽でした。初日の出を見終えて、朝日を真正面に受けながら自転車を漕いで家路につきましたが、ふと、太陽は本当に永遠に昇り続けるのだろうかという疑問がわいてきました。そして、その疑問に答えられない自分に気づきました。関心を持って調べたことがないがために、知識がありませんでした。帰宅してから早速インターネットで検索し、とりあえず分かりやすく説明してあるような書籍を調べ、年始に書店が開いてから買い求めにいきました。いま宇宙について勉強中ですが、分かったことの一つは、太陽にも永遠はないということ、当然地球にも永遠はないということです。

 

3学期の始業式の講話では、宇宙について「疑問」を持って、いま勉強していることを話したうえで、地球上のあらゆる生命、人間もウイルスも地球という太陽系にある奇跡の惑星に存在する自然の一部であること、その存在全てが数えきれない奇跡が重なって、いまここにあること。みなさん自身も宇宙の大きな営みの中で生まれ育まれた奇跡の存在であることを自覚すれば、自分の生き方も変えることができる。変われる自分の可能性を信じて、3学期も怠らず努力してほしいという内容の話をしました。

 

2021年、まだしばらくは様々な活動が制限され、不安な日々が続くかもしれません。しかし、いまが連帯して行動するチャンスだと思います。みんなで知恵を出しあって協力して、できることは前向きに取り組んでいきたいものです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

令和3年1月8日

香川県立盲学校長 田中 豊