校長からみなさまへ

校長からみなさまへ

2020年5月8日 14時43分

香川県立盲学校のWebサイト(ホームページ)をご覧いただき、ありがとうございます。

 

<緊急事態宣言が延長されて>

 

 今日は令和2年度PTA総会がありました。臨時休業中でしたが現PTA会長のお子さまも卒業され、会長交代の時期でもありましたし、新年度予算の承認等も必要でしたので、ご心配や不安もあったようですが、登校日に合わせて開催しました。欠席の方には委任状もいただきました。総会では新会長さんや各役員さんも承認され、議事についても無事に審議を終えることができました。予定した時間より少し伸びましたが、審議にご協力いただきありがとうございました。

 さて、5月4日、総理大臣より全国の緊急事態宣言を延長するとの会見がありました。時期としては今月末までということで、それを受け、5日に本県でも対策本部会議が開かれ、県立学校は全て5月末まで臨時休業が延長することとなりました。1週間前の総理大臣の発言である程度予想はしていましたが、6月から本格的に再開するとして、学校もその後の予定を組み直さなければなりません。すでに、生徒等が関係する以下の文化的行事や対外のスポーツ大会が中止になっています。(年度は省略)

 ◆中国・四国地区盲学校弁論大会徳島大会(6月4日・5日)

 ◆中国・四国地区盲学校体育大会山口大会(6月26日・27日)

 ◆全国盲学校フロアバレー大会兵庫大会(8月18日~20日)

 ◆全国盲学校弁論大会岐阜大会(10月2日)

 ◆科学へジャンプinひろしま(11月22日)

 中国・四国地区の大会は、他県からの参加生徒に顔見知りも多く、また出会えることを楽しみにしていた生徒のみなさんにとって、大変残念な思いもあるでしょう。特に高等部3年生は、すべてが学生最後の大会です。中国・四国地区の大会については、何とか開催できないものかと各盲学校長同士で検討もしましたが、難しいとの最終判断に至りました。イメージしていた盲学校生活最後の一年への期待に応えられなくて、本当に申し訳なく思っています。加えて、大学受験に向けての学習や事業所等への就労に向けた学習に対しても、大きな不安を抱いているものと思います。校内でも各教科等の授業確保のために学校行事も見直さざるをえませんが、生徒のみなさんの意見も聞いて考えたいと思います。また、夏季休業日については期間を短縮し、7月末まで1学期を延長するとともに、8月24日から2学期を開始する予定にしています。

 話は前後しますが、29日までの臨時休業中にも各担任より学習課題をお渡ししますので、児童生徒のみなさんは、生活リズムを崩さないようしっかり取り組んでください。5月25日以降については、18日の県内の感染状況等にもよりますが、分散登校による授業が可能という連絡もありましたので、本校では、少人数の良さを生かして授業が開始できるよう調整中です。来週中には、生徒・保護者のみなさまにお知らせできると考えています。

 この新型コロナウイルスに対しては、政府の専門家会議から「新しい生活様式」という提言がなされています。今後もこの感染症と向き合いながら生活していかなければならないという意味で、「新しい」という表現をもって私たちの生活を変えるべきであるとの内容です。具体的に取り組むべきことの詳細は、厚生労働省のホームページや新型コロナウイルスに関する特設サイト等をご覧いただければいいのですが、何かしっくりこない感じもします。

 日常生活の中で気をつけることの一つに「身体的距離の確保」と示されていますが、仕事に関していうと身体的距離の確保が難しい職業がたくさんあり、その最たるものがあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師です。業界ではこれの頭文字をとって「あはき師」とも表現します。そのほか、「師」のつく職業、例えば医師、看護師、助産師、保健師、理容師、美容師などは、対象となる人々に直接触れることで成り立つ職業です。提言では、正面からの接近した会話なども控えるよう示されています。「あはき師」を考えた場合、患者に触れるだけでなく患者と会話しながら身体の状態を把握し、最適な施術を試みます。また提言の最後には、業種ごとの「感染防止ガイドライン」を作成することが求められていますが、身体に触れる職業そのものに対する偏見やそれを忌避する雰囲気につながらないか心配です。現在、「あはき師」を正業としている多くの卒業生や、いま理療科で「あはき師」をめざしている在校生にとって、希望の持てる「新しい」生活様式を私たち自身も考えていかなければなりません。コロナ禍の収束に向けて、専門家からの提言を守って生活するべきだとは思います。しかし、そういった人からの指示を待って思考を停止させるのではなく、それを受けて、自分はどう考えるのか、当事者意識をもって行動することが大切ではないでしょうか。

 教師も「師」のつく職業です。遠隔授業も新たな発見があったりして今後も展開していくべきだと思いますが、身体的距離は確保しながらも正面で向き合って伝え合う、お互いの熱気も感じながらぶつかり合って授業をすることに教師としての醍醐味がある、私はそう思っています。

 まだしばらく自粛する日々が続きますが、再開後の学校生活を思い描いて、準備しておきます。

 

令和2年5月8日

 

香川県立盲学校長  田中 豊