校長からみなさまへ

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2020年8月18日 11時26分

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<第2回かがわロービジョン研修会を開催しました>

 

昨日8月17日(月)の午後から、今年度第2回目となるかがわロービジョン研修会を開催しました。第1回のロービジョン研修会の様子については、6月25日付の校長からのお知らせでも紹介しましたが、その中で第2回のことについても少し触れました。今回の研修会は、愛知教育大学の相羽大輔先生をお招きして、視覚障害のある子どもたちが大学入学までに身につけておいてほしい力などについて話をしていただく予定でした。しかしながら、いったん下火になったこの感染症が7月に入って徐々に拡大し、7月中旬から第2波の様相を呈するようになり、愛知県も県独自の緊急事態宣言が出されました。こうした状況等を総合的に判断し、相羽先生には大変申し訳なかったのですが、オンラインでの研修会に変更させてもらうことにしました。すべて双方向通信のオンライン研修会ができないか本校の担当の先生方が様々模索してくれましたが、校内のWi-Fi環境が十分でないために、2コマの講義については音声を入れたデータを事前に送っていただきオンデマンドの講義として、最後の約30分間だけZoomによる生中継でのお話と質疑応答の時間とさせてもらうこととなりました。

相羽先生の講義テーマは『高等教育までに身につけたいコミュニケーションスキル』。大学入試に臨むにあたって必要な準備や、大学入学後に必要な支援技術についても話していただきました。前半は生徒・保護者対象、後半は教職員対象の講義でした。前半、後半の講義ともに共通していたのは、障害のある子どもたち自身が周囲に自分の障害のことを説明(障害開示)し、必要な支援を依頼(援助要請)できるようになること、そのためには周囲との円滑なコミュニケーションの力を小学生から段々に養っていく必要があるということでした。小学校、中学校、高等学校の各段階で身につけておくべき力を、具体的事例を挙げながら分かりやすく説明してくれました。講義資料の抜粋ですが、「高校生になると、様々な場面で自分のニーズや必要な支援について、適切な方法ではっきりと周囲に伝え、かつ、円滑に支援がもらえるようなコミュニケーションができるようになる必要があります。また、信頼できる友達をつくり、上手に人間関係を育み、彼らを頼りながら、情報を補うこと、プライベートを充実させることが求められます。」と、本人の障害開示と援助要請というのは、周囲の温かい理解だけでなく、時には対立してぶつかり合い、語り合って、そして分かり合える本当の友達がいてはじめて可能なことだと改めて思いました。「プライベートを充実させる」というのもとても大事なことです。

相羽先生ご自身が、生まれつきアルビノというメラニンが欠乏する疾患により、先天性の弱視があります。小学校は地元で学び、中学校から筑波大学附属盲学校(現 視覚特別支援学校)に進学され、大学では心理学を専攻されたそうです。ロービジョンの当事者としてこれまで様々な経験をされてきたと察しますが、たいへん穏やかで優しい語りには説得力があり、障害のある子どもたちに寄り添う姿勢と愛情が感じられました。直接お会いして、もっと時間をかけていろいろな話を聞いてみたいとつくづく思いました。本当にありがとうございました。ぜひまた機会をつくって、本校に、香川にお呼びできればと考えています。相羽先生、よろしくお願いいたします。

本校で初めて催したオンライン研修会、双方向通信の時間は短く、通信の状態は十分とは言えませんでしたが、コロナ禍の収束が見通せない中、今後の研修の在り方の一考となったのではないでしょうか。他校より参加いただいた子どもたち・保護者の皆さま、熱心な先生方に敬意を表するとともに、オブザーバーとして参加いただいた眼科医の星川先生、視覚障害者福祉センターの中口さんに感謝申し上げます。そして、会の運営のために力を尽くしてくれた本校の先生方、ありがとうございました。

 

令和2年8月18

香川県立盲学校長 田中 豊