第10回  チーモの「ビニールハウスの張り替え」


短い夏休みが終わりました。今日は4時間授業です。
3年生は実習と専攻の授業時間が2時間ずつなので、今日はお昼まで農場での作業が続きます。
ということで、今日はチーモが野菜専攻で午前中の作業を手伝います。

農場本部前での点呼が終わり、野菜の管理室の前に整列すると、
先生が今日の作業の内容を専攻生達に伝えました。


先生「それでは、今日はみんなでビニールハウスの張り替え作業を行います。張り替えるのは「1号ハウス」です。ビニールハウスは3~5年で張り替えます。1号ハウスもだいぶ傷んできたので、そろそろ張り替えなければいけない時期です。一度張り替えると、3年以上は使います。ということは、みんなが張り替えたハウスを後輩たちが使う、ということです。失敗は許されません。暑いけど、しっかり動いて午前中には作業を終わらせよう!」

チーモ「ビニールハウスって、専攻生達が張り替えているんだなぁ。今日は暑いけど、数年に一度の貴重な体験だから、しっかり手伝おう。」

まずは、みんなでマーラの小屋の横の1号ハウスに集合します。

先生「それでは、みんな作業をするのでビニールハウスの左右に分かれて散らばって下さい。最初に、ビニールを押さえている黒いヒモをほどきます。」

専攻生「結び目が固いなぁ‥先生、これは再利用ですか?」

先生「いや、新しいものに取り替えるから、外したヒモは捨てます」

専攻生達はみんなでカチカチになったヒモをほどいて外しました。

先生「次にビニールを押さえているスプリングを外します。高いところのは脚立に登って作業して下さい」

専攻生はハウスの縦横の柱の溝にはまっている『スプリング』という針金を外していきます。

チーモ「外すのが大変そうだなぁ。道具は使わなくて大丈夫なの?」

先生「スプリングは強風でビニールが飛ばないようにビニールをしっかり固定する役割をしています。太くて硬い針金だけど、端っこの部分だけ溝から外せばあとは手で外せるよ。」

専攻生は脚立に乗ってファン(=換気扇)の周りのスプリングも1つ残さず外していきます。

先生「硬い柱は乗ってもいいけど、弱いパイプは曲がりやすいから足を乗せたらいかんよ。」

    

全てのスプリングを外し終えると、いよいよビニールを外します。

先生「それでは、ハウスのこちら側からゆっくり引っぱるよー!!」


古いビニールが取り外されて、ビニールハウスは骨組みと防虫ネットだけの姿になりました。

先生「それでは、四隅の補強をして下さい。」

専攻生達は、出入り口の横と四隅の部分に補強をしていきます。下の方も丁寧に張り終えると一旦休憩に入りました。

     
   
給水の後、日陰に入って、これまでの工程で使った道具の説明や、今後の作業工程についての説明がありました。

専攻生はテントのパイプの太さや素材について、先生の説明を熱心に聞きながら手帳に書き付けています。

先生「休憩が終わったら、今度は新しいビニールを張っていきます。ビニールには裏表があるので気をつけて。ビニールの中心の文字をハウスの骨組みの柱に合わせてください。骨組みに引っかけて穴を開けないように。しわになったら強風にあおられてしまうから、しわにならないようにピンと張って。」

 

 
                                                       
          

休憩が終わった専攻生は一定の間隔を開けてハウスに張るビニールを持つと、ハウスの横に一列に並びました。

ビニールの両端を持った先生が骨組みに登り、少しずつビニールを張っていきます。

専攻生は先生の指示に従って動き、ビニールが骨組みに引っかからないように持ち上げたり、端を押さえたり、引っぱったりしながら、みんなでビニールを張っていきます。

    

骨組みが新しいビニールで覆われると、専攻生がスプリングでビニールを固定していきます。それを反対側から引っ張り、押さえて固定します。この日は緩い風が吹き、作業がやりにくい時間帯がありましたが、ビニールが破れないように、しわにならないように、専攻生達はみんな集中しています。

チーモ「これは大変な作業だなぁ。張り替えを業者さんに頼んだりはしないのですか?」

先生「連棟のハウスは難しいから頼んだりはするけど、見積もりを取ると○○万円もかかったりするんだよ。」

チーモ「へぇ、たいへん。でも、自分たちで作業する方がハウスの仕組みが分かっていいかもしれないなぁ。」


ビニールを張り終えると、出入り口のビニールを切り取ったり換気扇の部分をくりぬいたりしました。

先生「両サイドのビニールの端を一定の間隔を開けて巻き上げのパイプにクリップで固定して!!」

専攻生「分かりました。‥こんな感じでいいですか?」

先生「はーい、それでは巻き上げテストしてみます‥そこ、もうちょっと高くして。」

専攻生「このぐらいでどうですか~?」

先生「OK!‥では反対側もいくよ!同じ要領でお願いします。」

ハウスの両サイドは温度調節や換気のために巻き上げる必要があるので、それができるようにビニールに切れ目を入れたり、パイプに固定したりしてうまく巻き上げられるようにしました。それから、最初にほどいた「ビニールを押さえている黒いヒモ」を作り、それでビニールを押さえました。

       
ここまでできたところで時間が来たので、午前中の作業は一旦終了です。

残りの細かい仕上げと片付けは、放課後当番の作業です。

チーモ「なんとか午前中でここまで終われてよかったですね。」

先生「これでまたあと何年かはこのハウスが使えます。みんな暑い中、よくやってくれたなぁ。」

このハウスには来週から早速、トマトの植え付けが始まると言うことで、チーモはこのハウスで大きくなるトマトが食べたくなりました。





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