ミーモとチーモの夏休み
2021年7月26日 08時00分
七月下旬のある夕方のことです。
薄暗い農経高校の駐車場には先生方の車が一台もありません。
チーモ「夏休みが始まったね。」
チーモは果樹の専攻生が収穫したブラックベリーをつまみながらつぶやきました。
ミーモ「そうだね。農場では農経生たちの夏の当番実習が始まっているよ。」
ミーモは環境園芸科デザイン専攻生が育てた枝豆「おつな姫」の塩ゆでを食べながら体育館の方を見ています。
チーモ「なんか、おもしろいことないかなぁ…」
ミーモ「よし、じゃぁ体育館の裏に行ってみよう。」
チーモ「…??」
二人は,体中に虫除けスプレーを振りかけて、体育館と剣道場の間のケヤキの木の所に行きました。地面には無数の穴が空いています。毎年、この場所からおびただしい数のセミの幼虫が巣立っていきます。
ミーモ「ねぇ、これを見て。」
ミーモが地面の穴のひとつを指さして言いました。
チーモ「なになに??…」
チーモが穴をよく見てみると
チーモ「穴の中になにかいるみたい。動かないでじっとしているね。生きてるの?」
ミーモ「これはセミの幼虫だよ。穴から掘り出すから、ちょっと見ていてね。」
ミーモは近くに落ちていた細い小枝で穴の中をこちょこちょしました。すると…
チーモ「うわぁ、なんか出てきた!これって抜け殻で見るやつ?なんかおもしろーい!!」
ミーモ「これはクマゼミの幼虫だよ。何年も土の中で過ごしてきた幼虫が、今晩羽化するために地中の深いところから上の方にあがってきたんだね。小さい穴から外を見て、暗くなってから木に登ろうと考えていたんじゃないかな。」
チーモ「すごーい。もっとたくさんいるの?」
ミーモ「地面に空いている穴をよく見てごらん。外をのぞいているセミの幼虫と目が合うと思うよ。」
チーモとミーモはセミの幼虫を見つけては小枝でこちょこちょして、あっという間にクマゼミやアブラゼミの幼虫を5匹捕まえました。
チーモ「元気に動き回っているね。これって、今日の夜にセミになるの?」
ミーモ「そうだよ。持って帰って、カーテンや網戸に止まらせておこう。部屋の電気を消しておけば、暗くなって羽化を始めるから、その様子が観察できるよ。」
チーモ「部屋の中でセミになっちゃうの?」
ミーモ「そうだね。そして明日の朝日が昇る頃に一斉に部屋の中を飛び回ってくれるよ。それを捕まえて、外に逃がしてあげよう。明日も朝から農場当番を見に行くんでしょ?目覚まし時計代わりにちょうどいいんじゃないかなぁ。」
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「ミーモとチーモ2021~【真夏の当番実習編】」では夏季休業中の当番実習の風景をお伝えしていきます。暑さに負けずに頑張る農経生の奮闘ぶりにご期待下さい。