校長からみなさまへ

校長からみなさまへ(9月18日付)

2020年9月18日 11時35分

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<校内グループ研修を行いました>

 

9月17日(木)の放課後、校内グループ研修がありました。本校では、教員の「現職教育」として、寄宿舎の先生も含めた全教員が年間をとおして複数の研修グループに分かれ、月に1回程度、放課後に研修の時間を設けています。グループの研修内容等については年度ごとに見直していますが、今年のグループは「歩行指導」「点字指導」「情報支援機器」「(視覚障害者)スポーツ」「重複障害教育」の5グループです。いずれも盲学校らしいグループの名称で、盲学校にとって必要不可欠な教育をテーマに研修が行われています。

今日の校内グループ研修は、毎月のグループ研修とは別に開催されました。テーマは『重複障害のある子どもの図画工作~主体的に関われる造形活動~』。小学部の新進気鋭の若手教員2名が2年間の研究成果を発表しました。実はこの研究、本年7月30日から31日にかけて松山市で開催されることになっていた「第95回令和2年度全日本盲学校教育研究大会」(通称:全日盲研)で、中国四国地区代表として実践報告される予定になっていた内容でした。全日盲研は毎年全国各県持ち回りで開催されており、昨年度の第94回京都大会では470名を超える参加者があるなど、視覚障害教育に携わる教員等にとっても全国最大規模の大会です。95回ということは、95年以上続いている研究大会であり盲学校での教育の歴史を感じるところですが、やはり今年は感染症拡大防止を理由にやむなく中止となりました。主管校であった愛媛県立松山盲学校の先生方には、早くから準備を進めていただき、いざ本番という矢先にこの状況となったこと、心中察するに余りあります。中国四国地区として協力校でもあった本校も、大変残念でした。

こうしたことから、せっかくの研究成果を校内で共有しようと、この研修の実施となりました。

研究に取り組んだのは小学部重複学級の図工の授業で、個性豊かな児童3名が在籍する学級です。平成30年度・令和元年度の2年間、図工の中でも「造形」活動に焦点を当て、子どもたちの成長と先生方の試行錯誤の様子がよく分かる実践発表となりました。盲学校では、目が見えない、見えにくい子どもに対して、積極的に触覚が活用できるように指導します。でも想像してみてください。目隠しした状態で、知らないモノを触るには結構勇気が必要です。触るモノに対する知識を自分が持っていれば、躊躇なく触ることができますが。未知のモノを既知のモノにしていくこと、そのモノの概念を子どもたちの中に作り上げていくことが様々な学習を進めていく上でとても大切になってきます。この実践、まず子どもたちにモノを触ることへの安心感を与え、感覚的な遊びの段階を踏まえてモノに対する概念を形成し、造形活動による表現力の育成にまで高めることができました。一人の児童は、自分の作品を家族に見せたい、作品を説明したいと鑑賞を楽しむまでに成長していることも報告されました。子どもたちのこれからますますの成長が期待できます。研究発表に向けて一生懸命取り組んだお二人の先生に、改めて拍手を送るとともに、発表を支えサポートしてくれたベテランの先生方にも感謝したいと思います。

学校というところは、よく閉鎖的と言われます。たぶん学校での取組についての発信が十分でないのかもしれません。でも、先生方は目の前の子どもたちのことを一番に考え、日々悩みながら一生懸命に努力しています。これからも、生徒の成長や先生方の頑張りを(校長目線かもしれませんが)発信していきたいと思っています。

 

令和2年9月18

香川県立盲学校長 田中 豊