校長からみなさまへ

校長からみなさまへ(11月18日付)

2020年11月18日 11時40分

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<新番丁小学校5年生よりお手紙をいただきました>

 

1029日、30日の2日間、新番丁小学校5年生が総合的な学習の時間の授業として本校を訪れてくれたことについては、以前の校長からのメッセージでお話したところですが、一昨日、その5年生のみなさんからたくさんのお手紙をいただきました。1通1通ゆっくり読ませてもらいましたが、それぞれ個性豊かな筆致で、本校を見て、体験して、思ったこと感じたこと考えたことをそれぞれの表現で記していて、とてもほっこりとしたうれしい気持ちになりました。

 

子どもたちが共通して書いていたことは、盲学校と新番丁小学校との施設面での違いでした。校内の動線に沿って敷設された点字ブロック、点字ブロックを確認しやすい廊下の色、階段の境目が分かりやすいような配色のコントラスト、手すりの位置など校舎の外から見たのでは分からない学校の様子について、まずみなさん驚いたようでした。次は便利グッズコーナー(支援機器などの展示コーナー)を見学した感想で、ある子は『ユニバーサルデザインは、不自由な人のために作られているんだと思っていたけど、みんなのためにあることが分かりました。』との気づきを書いてくれました。二人一組になって体験した視覚障がい者への手引きについてもたくさんの感想がありました。『困っている視覚障がい者がいたら勇気を出して声をかけたい』、『この町でこまっている人がいたら、視覚障がい者はもちろん、お年よりや車いすの人など、話を聞いてだれかの役に立ちたい』など同じような言葉がたくさん見られました。一歩踏み出す決意にもとれる素直な思いに頼もしさを感じました。大人になっても、どうぞこの思いを忘れずいてほしいです。

 

いずれの手紙も素晴らしく、もっと紹介したいのですが、私が興味を惹かれた手紙をちょっと紹介します。『ぼくは、盲学校の前を通るとき、いつも「盲学校の中はどうなっているのだろう。」となぞがたくさんあったのですが、先日見学させてくださったおかげで、そのたくさんのなぞがとけました。』と書いていました。この子にとって、盲学校は「なぞの学校」だったようで、1年生のときから本校の前を歩いて小学校に通っていたとするなら、積年のなぞが解け、とてもすっきりした気持ちになったのではないかと思いました。見学して解けたなぞも多かったようですが、その文章の最後は、『くわしく調べてみます。』と締めくくっていました。この子は本校訪問のあと、また新たな「なぞ」を発見したようです。この子の知的好奇心や探究心は素晴らしい。これこそ教科書のない総合的な学習の可能性と広がりを示すものとも言えます。

 

子どもたちの手紙を読んでふと考えたこと。段々と歳を重ねてきて少しは世の中のことが分かったような気になり、世の出来事に「なぞ」を感じても何となく蓋をして、挙げ句に「しょうがない」とやり過ごすことが多くなってきたように思います。子どもたちの手紙をもう一度読み直して、世の中に渦巻いているたくさんの「なぞ」にきちんと対座し、それを探究していかなければだめですね。

 

令和2年1118

香川県立盲学校長 田中 豊