校長からみなさまへ

校長からみなさまへ(1月29日付)

2021年2月1日 16時48分

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<防犯訓練を行いました>

 

1月29日(金)の放課後、体育館で教職員対象の防犯訓練を実施しました。高松北警察署生活安全課から警部補、巡査長の2名の警察官に来ていただき、不審者が校内に侵入して来たときの初期対応の方法やさすまたを使った撃退法、そしていざというときの護身術等の研修に取り組みました。

 

学校現場で防犯訓練が積極的に行われるようになったのは、平成13年6月に大阪教育大学附属池田小学校で起きた侵入者による殺傷事件が契機かと思われます。それまでも学校に不審者が侵入して事件を起こすことはありましたが、この事件は衝撃的で現場の教員の対応にも様々な意見や批判がありました。この痛ましい事件のあと、児童生徒が在校している時間帯の学校の門は閉ざされることとなり、国立大学附属の各学校においては正門に警備員を常駐させるなどの対応をしました。

私が小学生だった昭和40年代後半、小学校はとても開放的で、学校の門はいつも開いていました。学校には泊り勤務の用務員さん(当時の表現)がいて、学校を守ってくれているイメージがありました。また昼休みに運動場で遊んでいた私たちの様子を、近所のお年寄が運動場の端にあったベンチに腰掛けて眺めていた、そんな記憶もあります。のんびりした時代を懐古しても仕方がありませんが、いま学校内の安全も組織的に確保していかなければならない社会状況であり、学校を支える地域の力も、昔のように自然発生的に何となくというのではなく、組織的に機能させていく時代になっています。学校現場だけでなく、地域社会にも昔のようなゆとりや余裕、余力というのが随分減ってきているように感じます。

 

さて、不審者への対応訓練の様子です。今年は感染症対策で接触を控えるということもあって、昨年度実施した防犯訓練のように、不審者役の警察官をさすまたで取り押さえる実戦的な訓練ではなく、学校に入ってきた不審者を発見したときの最初の声かけと誘導の訓練でした。不審者役には身長180センチ超え、体重も優に100キロはあろうかという巡査長さんが担当。正門から入って来たとの想定で、第一発見者の教員による声かけ、続いて応援が一名、そしてもう一名が応援に来て、三名で対応し事務室へ誘導するという訓練でした。巡査長さんの不審者役も板についていましたが、本校の先生方の対応も良かったと思います。まずは用件を聞くこと、さり気なく手を前に出して相手との距離を取ること、複数の応援が駆けつけたら誰かがさり気なく事務室に行って通報することなど、警部補さんからも事後の講評で褒めていただきました。私が良いと思ったのは、三人目に応援に駆けつけた女性の先生が、「ここは寒いので、事務室で温かいものでもどうですか?」と話しかけたことでした。ひょっとしたら、相手は危害を加えてやろうと懐に凶器を忍ばせた凶悪な人間かもしれません。それでも、相手を落ち着かせる、人間の「良心」に働きかける温かみのある良い声かけだと感心しました。

 

初期対応訓練のあとは、3グループ程度に分かれてさすまたの使い方を指導していただき、グループ内で模擬的に使ってみました。そのあと、女性でも簡単にできる護身術のデモンストレーション、不審者、特に女性に対する犯罪を防ぐためのVTR視聴をして研修を終えました。

最後に校長より謝辞ということで、警部補、巡査長のお二人にお礼の言葉を述べました。校内で見知らぬ人に出会い、それに対応するというのは、ある程度の「胆力」も必要です。いざとなったら(きも)を据え、周囲の状況を俯瞰し判断し行動する。簡単にできることではありませんが、訓練を積み重ねていくことで少しはできるようになると思っています。加えて、普段からのイメージトレーニングも大切です。実際にそういう場が生じないことを祈りますが、いざというときには、何はともあれ私も現場に駆けつけたいと思います。公務お忙しいなかご指導いただいた警部補さん、巡査長さんには改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

令和3年1月29

香川県立盲学校長 田中 豊