校長からみなさまへ

校長からみなさまへ(3月31日付)

2021年3月31日 12時52分

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<運動場の傍らに咲くソメイヨシノが満開になりました>

 

今年の春の訪れは、例年になく駆け足でやってきた感じがします。いつも入学式のころに満開となり、桜吹雪を舞い踊らせる運動場の傍らに咲く樹齢数十年?のソメイヨシノも、すでに満開となっています。

3月23日、県内の教職員の異動発表がありました。本校でも事務職員の方も含め4名の方がご退職、8名の方がご転任となりました。転任職員の中に校長である私も含まれていました。転任のみなさんのうち教諭・講師の先生は5名おり、そのうち4名は20代というフレッシュな先生方が異動することとなってしまいました。いずれも3年から6年という比較的短い勤務年数でしたが、どの先生方も本校にとっては貴重な戦力であり、本校にとっては大きな痛手となりました。しかし、若いうちに他校を経験することはたいへん意義あることだと思います。新しい学校でのご活躍を大いに期待したいと思います。

私は平成31年4月に新任校長として本校に赴任して2年というたいへん短い勤務でした。明日からは、さぬき市長尾にある香川東部養護学校で勤務することとなりました。本校在任中にたくさんのみなさまからいただいたご指導、ご支援、ご厚情に深く感謝申し上げます。

 

本校に勤務して2年間続けたことがあります。毎朝早めに出勤して学校の周囲を散歩しながらついでにゴミを拾う、そして、ご近所の方やすれ違うみなさんにこちらから「おはようございます」とお声がけさせてもらいました。「おはようございます」と挨拶を返してくれる人もいれば、黙って会釈だけしてくれる人もいます。誰だこの人といった少し怪訝そうな視線を向ける人もいました。人それぞれだなあと思いながら、挨拶を返してくれなかったからといって相手にそれを求めるような仕草もしませんでした。でも挨拶を返してくれるとこちらも気持ちがいいですし、今日はきっといい一日になるぞと私も元気をいただいていました。

本校の周りの道は、近隣中学校の通学路になっていて、私も大体同じ時間帯に歩いているので、よくすれ違う生徒もいました。生徒もそれぞれで、こちらが挨拶をする前に向こうからはきはきと挨拶してくれる女子生徒、こちらが挨拶をするとボソッと挨拶を返してくる男子生徒、それらの生徒たちの中に、いつも二人並んで楽しくおしゃべりをしながら登校している男子生徒たちがいました。最初はこちらが挨拶をしても、二人とも何の返答もなく無視している感じでしたが、ある時から二人のうちの一人が、小さな声ではありますが「おはようございます」と挨拶を交わしてくれるようになりました。4月からも根気よく声をかけて、何とかもう一人も、会釈だけでもいいから返してほしいなあと欲が出てきたところで、今回の転勤となりました。

 

人を育てるということは、簡単な道のりではありません。繰り返し繰り返し長い時間をかけて、根気よく取り組まなければならないことを、この二人組の中学生から改めて学ばせてもらいました。もしこの二人の中学生に会うことができたら、今度は「ありがとう」と言ってみようと思います。

いよいよ今日、盲学校を去ることとなります。たくさんのみなさまに恵まれて勤務できたこと、本当に感謝の一言です。どうぞみなさま、ご健康には十分気をつけられて、盲学校、視覚障害教育を盛り上げていってほしいと思います。2年間、本当にありがとうございました。

 

令和3年3月31

香川県立盲学校長 田中 豊